状況確認
「すまん。つい、体が動いていた。」
あれから5分程経ってエリザが言った。
それまでの間に、アーサー達4人とエリザにしか分からない結末(アーサーもエリザも速さが異常なので、ギャラリーは追い付いていけていなかったのだ。)によって、冷めかけた空気をルギナスが『俺の出番だ!』とか言いながら、何故か頑張って元に戻してくれていた。
ちなみに彼は今一般冒険者及びレゴラスと飲み比べをしている。
「いや、『つい』じゃないだろ。俺に物凄い殺気が向けられてたし。」
「それもついだ、つい。」
そう言いながらぐい、と結構度の高い酒のジョッキの半分程を一気に飲んだ。ちなみに彼女は既にかなりの量の酒を飲んでいるが、酔った気配はない。
「というか、『剣を持つときは本気で』って教えてくれたのアーサーじゃないか。」
「・・・それと、『師を殺すな』とも言った筈なんだけどな。」
エリザはアーサーの弟子の1人だ。アーサーはその高い戦闘能力を誰かに役立てて貰うため、種族問わずの施設を開いていた。
「む。『戦いの時は本気で。正々堂々など捨てておけ』って言ったの誰だ?」
「本気出す場面違うだろ!?」
「んー?じゃあ、友人からのサプライズってことで?」
「『じゃあ』って何だよ、じゃあって。しかもどんだけ危険なサプライズだよ。」
「別に大したことないぞ。あれって、上に打ち上げるだけで威力がないし。」
「ちょ、そこら辺の建物より高く打ち上げといて『大したことない』ことはないだろ。」
そこまで言ってから、ふうっと溜め息をつき、また口を開いた。
「んで、これからどうすんの?俺達は情報屋んとこ行ってからイデアテイルに戻るけど。」
ガモストレンの情報屋はある1人の獣人が経営していて、情報の正確さで有名だった。
「と、言うことは仕事ができたのか?」
「そうだが・・・何かその言い方、俺らがニートみたいだな。」
「え?違うのか?」
「「違うわ!!」」
アーサーと今まで黙って酒を飲んでいたロイドの声が見事に重なった。
アーサーはエリザに自分達の『仕事』についてはっきりと言ったことはない。だがエリザは、これまでの付き合いから何となく想像していた。大体は家にいて、何か不吉なことが起こっているときくと、数日後には旅に出ていく。彼女も出会ってすぐあたりは偶然かとも思ったが、何十年も続いていたら予想は出来るだろう。
「それでもやはり働いているようには見えないんだけどな。」
「んん?エリザ君なーんか言ったかなー?」
「い、いや何も言っていない。というか笑顔で睨むな。・・・まあ里帰りも終わったし私もイデアテイルに帰ろうかな。」
「よし!んじゃ、決まりだな。明日日の出前には出発だ。」
「うわ、相変わらず朝早っ!」




