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酒場での出来事

 ガモストレン城下町のとある酒場。古いオルガンが奏でる曲に合わせて舞うように戦う、1人の女エルフがいた。戦いといっても殺気といったものは無く、殺し合いと言うよりは、賭け事に近いかもしれない。

 女エルフは黒い色調の騎士団の服を着ていて、人の目を引き付ける艶のあるストレートの赤い髪を持っている。

 相手は3人の男。全員体格がよく、太い木の幹のような手足がある。純粋な腕力としては明らかに男達が勝っているだろう。


「おぉらあぁ!」


 出された男その1の拳。しかし、女エルフは後ろに下がり、避けた。空を分ける拳。いくら腕力が強くても当たらなければ意味が無い。


「クソッ、いい加減当たれよ!」


 当たらないことに苛つき3人の男達はそれぞれ時間差で攻撃を仕掛けるが、彼女は最小限の動きでそれを避けた。


 彼女はたまに酒場に現れ、腕に自信がある者に勝負を仕掛け、大抵勝つという負け知らずの強者だ。攻撃をひらひら避け、最後はいつも一撃で仕留める彼女は、その変わった髪の色から『赤の悪魔エリザ』と呼ばれていた。


 エリザが攻撃を避けるたび、10人程度のギャラリーが盛り上がりを見せ、曲も負けじと盛り上がっていく。オルガン奏者はリズムを取りながら、古いオルガンの鍵盤を壊れるのでは、と思うほどに叩き付けていた。


 


「来た・・・」


 エリザは唐突に呟いた。そして目の前にいる男その1の攻撃を避けずに手のひらで受け止める。


「なっ!」


 今まで全ての攻撃を避けていたため、男達は無意識の内に今回も避けるだろうと思っていた。だから反応が出来なかった。そのままエリザの拳が男その1の腹に入る。たったそれだけで、男の体から力が抜けた。

 さらに男その1が地面に倒れる前に、後ろを振り返った。脚を高く振り上げながら。


「ふぎゃ!?」


 背後から攻撃しようとしていた男その2はエリザの踵がこめかみに直撃し、間抜けな声を上げながら飛んだ。

 続けて男その3の方を向いた。その目は驚愕に染まっており、現在の状況が理解出来ていない。チャンスとみたエリザが右手を構えると男その3は慌てて避けようとするが、右手はフェイント。左手を下から上へ突き上げた。


 3人共倒したがエリザは戦闘態勢を解かない。そしてそのまま走り出した。その先にあるのは開きかけの出入り口のドア。そこから今まさに酒場に入ろうとする、黒髪の青年だった。エリザと同じような黒のマントを身に纏っており、その青年の隣の金髪の背の低い朱色の鎧を着込んだ戦士らしき人と楽しそうに何かを喋っている。


 黒髪の青年がふと前を見た。


 すぐ目の前には膝を曲げ、攻撃態勢になっている赤い髪をもつ、女エルフ。その奥に膝から崩れかけている男1人。仰向けに宙を舞う男2人。・・・そして、何故か目を輝かせ女エルフを見ている男10人程。



 理解できるはずが無かった。理解しようとしても上手く頭が回らない。黒髪青年は混乱した。

 混乱したが、このまま殴られる訳にもいかない。

 だから持ち前の速さで行動することにした。


 まず、後ろに下がった。そして隣にいた金髪戦士の肩を掴み、自分のいたところに立たせる。・・・要するに身代わりだ。これはタイミングが重要で、早いと金髪戦士に反応されて拳が当たらないか、このエルフに気付かれる。だが、遅いと自分に当たる。自分の経験だけが頼りだった。


 そして・・・


「何故こうなるんだあぁ!?」


 叫びながら星になる金髪戦士ルギナスに、黒髪青年アーサーはガッツポーズをとった。

 ちなみにその後ろではレゴラスとロイドが、ルギナスに敬礼をしていたという。


 状況理解は不可能である。

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