昔の話
昔々あるところに、1匹の鬼がいました。色は黒く、頭には角が生え、手が6本ありました。
鬼は常に渇きを訴えていましたが、その渇きを潤せるのは他者の絶望だけでした。
そこで鬼は、人々を苦しめ始めたのです。
ある村では、全てを焼き尽くし、生き物も建物も灰にしました。
ある町では、1人の子供の目の前で沢山の人々を殺しました。
ある国では、国を支配して国民に重税をかけました。
世界は闇に包まれ、光が消えました。人々は彼を恐れ、悪鬼邪神と呼ぶようになりました。
そして彼は潤い、満足していたのです。
しかし、あるとき変化が起こりました。また彼は渇きを感じたのです。しかも今度は潤いません。
それは人々が光を見つけたからでした。4つの小さな、それでも一際強い光を。
鬼はそれが気に食いませんでした。だから、鬼は4つの光を潰しかけてみたり、周りに集まってきた人々を蹴散らしてみたりもした。
光はそれでも絶望することはありませんでした。揺らぐ時はあっても、いつも必ず輝いていました。いつも変わることなく人の上で行く道を照らしていました。
鬼は怒りました。しかし、同時に良いことも思い付きました。
それは、光の消滅。希望の光を消すことで、邪魔者はいなくなり、人々は絶望のどん底に突き落とされます。まさに、一石二鳥でした。
鬼は狡猾でしたので、まず他の者から邪魔されないようにと、光を自分の城に閉じ込めました。
そして、勝負を挑んだのです。
そこで一体何があったのか、知る者はいません。しかし、鬼も光も、その城から出てくることは一生ありませんでした。
今では、城があった場所は雪原が広がっています。そしてたまにそこを通る商人達はみな、ある唸り声を聞くそうです。
殺してやる………、と。
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「や、生きてるけどな」
アーサーが借り物の馬に乗りながら軽く笑う。その横でルギナスは苦笑を返した。
「全部『あれ』で吹き飛ばしたからな。生きてたと思う奴の方が少ないだろう」
そんな4人の英雄が活躍した実話は、長い時を経て伝説となり語られ、やがては童話として遺された。
そして、今。
「全ては実話へ逆戻り、か………」




