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1つの情報

「と言うか、どうだったんだ?あっちの方にレゴラスと行ってたんだろ?」


「ん?あぁ、デマだったよ。と言うか罠だったな」


 あの教会の目的は、魂を負に捧げるだけでなく、負の信者を増やすというのもあったらしい。そして、そういう教会は他に5つ程あるということが、今回の潜入調査で分かった。

 一応、本拠地も分かったのだが、どうやら罠だったらしい。


「……入った途端爆発した。危うく、粉々になるとこだった。………恐らく、こいつらに言っていない別の目的があるだろう。味方を爆殺なんて洒落にならんからな」


「そうか……」


 負との契約があると、何も考えなくても、ただ武器を振るうだけで大体の欲しいものが手に入る。

 更にそこに策略などの頭脳面が出てくると、最悪全てが無くなってしまうのだ。

 生物も大地も星も全て………





「そうか……」


 一人の男はその言葉を静かに聞いていた。いや、聞きながら考えていた。


 彼は暗殺者団体『シャドウ』の長だ。金さえ入れば、善悪関係なく人殺しをすると言えばいいだろうか。その団体の中には元犯罪者などの、社会復帰が難しい者達がたくさんいた。そしてこの男もその内の一人だ。


 そんな暗殺者達に命ぜられたのはただ1つ。『証拠の隠滅』だ。

 彼の依頼者がある実験の為に使っていた建物と、関わった者全て消すという比較的簡単なものだ。が、実は彼も少し実験には関わっていた為、失敗すれば自分も消される為、少し緊張していた。

 だから、念のため13人の部下も連れてきていた。別に自信がない訳ではないが、何となく不安を感じたのだ。



 そして、その不安は当たっていた。

 試作品番号E-38を、手さえ触れずにたった2回の攻撃で沈めた、あの剣士の強さは異常だった。正直、彼はE-38を下に見て、負け犬だと軽蔑すらしていたが、実力は自分に近いと認めていた。


 彼は自分の死を、あの剣士から感じていた。部下の声は全くもって耳に入らない。口が乾き、喉が潤いを求める。見ているだけで何万回以上頭の中で繰り返される『死』の光景。



 彼はそれが恐ろしかった。敵は普通に会話をしているだけだと言うのに、こちらのことも見ているのでは、と思えてしまう。


 だから、射程距離に暗殺対象が入っても魔法を発動できなかった。もしかしたら、避けられるのではないか。

 もし……もし、避けられたとしたらそこで全てが終わる。




 そして、彼はそちらに気を向けていたから気が付かなかった。

 いや、向けていなかったとしても、気付かなかっただろう。彼の後ろに静かに歩み寄る、棍を持った人物には。





「……んで?」


 暗殺者だった遺体から、レゴラスが顔をあげるとアーサー、ロイド、ルギナスの全員がこちらを見ていた。


「んー、こいつの中を読んでみたところ、ガレン帝国が絡んできたな。具体的にはわからないが……この建物と人間を使って、何らかの実験をしてたらしい」


 ガレン帝国とは、軍を沢山持つ帝国で、今はオリゾンという国と戦争中だったはずだ。


「戦争中の国が裏で実験、か。そして内容は負、と。こうなったらあるのは……」




「破壊神の形成、及びその利用」



 アーサーが言いかけたことを繋ぐルギナス。そしてレゴラスは続けた。


「…正確に言うと、奴らが再現したいのは悪鬼邪神バルソグだろうな」



 悪鬼邪神バルソグ。それは、ガレン敵対国のオリゾンに伝わるある1つの有名な童話に出てくる、最強で最悪の邪神。

 ………そもそも、童話と言うものは事実を元にすることが多い。よくある英雄物語も大抵は実際にあったものが少し手を加えられて、今に語り継がれてきたものが多い。



 ……そして。



 …これもその一つだった。

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