バタバタ生活開始
朝になり、ムクリと起き上がる。
もちろんよく眠れるわけもなく寝不足のままである。
その理由はただ一つ…この天使、ユミルの寝相の悪さにある。
昨晩消灯してからはや5分でユミルは眠りについた。
そして俺も寝ようと目を閉じたあとから地獄が始まった。足は絡まれ、首は絞められ、布団ははぎ取られの三段構え。無論無傷では済まされない。いつか死ぬんじゃないかと思い、顔を青くする。早々に何とかして別々に寝ないといろいろな意味で死ぬ。そう誓った今日このごろ。
「ユミル…起きて〜起きて!」
ユサユサとさすること10分ようやく天使様のお目覚め。そこからが大変。寝ぼけて服を脱ぎ出す、顔の洗い方が分からず結局洗ってあげる。歯磨きの仕方も分からずどうやって生きていたのか不思議なレベルである。話を聞くと天界では魔法が使えるとのことで何でもそれに頼っていたとか何とか。
それなら仕方がないかと思いつつも覚えてもらわなければ俺の理性の危機である。
現に今もボンバーヘッドと化したユミルの髪をとかしている。
正直言って生活どころではない。
駄目駄目な女神である。
しかし家事は得意らしく洗濯、掃除、料理は卒なくこなしている。もう俺には何ができて何ができないのかよく分からなくなっていたので考えるのを止めた。
一段落ついたところで買い物へと向かった。
生活に必要なものというのは今考えてみるととても多い。服はもちろん下着や靴、日常用品、ベッドなどなど買ったものは沢山ある。
問題は部屋が狭いことである。高校生である俺だけなら十分足りる部屋なのだが、女性と住むのはとてもではないが無理である。
これは引っ越しの検討が必要そうだ。
親の許可は?と思う人もいるかもしれないが生憎生まれた時には親は他界しているので許可を取れる人はいない。更に言うとつい最近まで育ててくれていた祖父も一月前旅立ってしまったため、俺は一人なのである。しかし祖父が残してくれた資産がとても多く、資産の相続が可能な人が俺しかいないためお金の余裕はある。何ならこの先の人生働かなくてもいいほどだ。これを期に一戸建てを買うのもいいのかもしれない。
俺一人狭いだけならいいが…彼女に狭い思いはさせたくない。
「引っ越しかなぁ」とさりげなく彼女の前で言ってみる。みるみるうちに彼女が泣きそうになる。
「も…もしかして私を置いて何処かに行くのでしょうか…」嗚咽の混じった泣きそうな声が聞こえる。
「いや…そうじゃなくて2人でここは狭いだろ?」
そう言うと一瞬で涙が消える。彼女の涙は出入り自由なのだろうかと思うほど切り替えが激しい。




