空から降るのは?
「……今日も雨か」
俺こと神代海斗は雨が好きだ。理由はない。小学生の頃から変わらない。雨が降っているときはいつもとは違う世界に居るようでその何気ない時間がとても好きだった。
今年で高校1年生となるがそれでも変わらない。何一つ変わらないのだ。
今日も一人で学校からの帰路についている。次第にポツポツと雨が降り出した。
いつもと変わらないがいつもよりちょっぴり好きな世界をゆっくりと歩く。そんなとき俺は目を疑った。
この世のものとは思えないほど美しいと言うと大袈裟に聞こえるかもしれないが本当にそれほど美しく神秘的な出会いだった。
神秘的と言うのは比喩であるがその言葉でさえ言い表せないような光景だった。
雨が続く道の先…厚い雲が割れ、光が差し込み羽根の生えた美しい女性がゆっくりと降下している。
澄んだ銀色の長い髪に、白い服。そして何よりこの世に存在する女性でこれほどまでに美しい人は居ないと断言できるほどの美貌。そう…この時、この瞬間に雨でしか拭うことのできなかった汚れた俺の心は浄化された。
思わず見惚れ手を出すのもためらわれるほどである。
しかし俺は手を伸ばしてしまった。
彼女は気を失っているようだったがなんとか地面に叩き落ちずにすんだ。
「あの…大丈夫ですか?」少し戸惑いながらも声をかけてみる。しかし返事は返ってこない。
「……仕方がない家まで連れて行こう。」
天使を担ぐと言う人生で一度も経験できなかったであろう事を出来て少し嬉しく感じる。
無事家まで運びベッドに寝かせる。
「ふぅ…とりあえずおかゆでも作るか」
しかしどうして天使が降ってきたのだろう。
海斗はキッチンで慣れた手つきで手早くおかゆを作りながら考えていた。
しかし、結局たどり着くことのない答えだという事に至り思考をやめた。
その時寝室から物音がした。
「あの〜気が付きましたか?」
透き通る宝石のような瞳で見つめ返してくる天使さん。もしかして言葉が通じないのかな…と思ったが違ったようだ。すぐに小さな声で返答があった。
「はい…あのここは?」澄んだ川のせせらぎのような声で話しかけられる。
「空から急に降ってきたので、行く当てがないのかなと思って俺の家に連れてきました」
「そうなんですか、それは失礼いたしました。私の名前はユミル、貴方の名前は?」
「俺は神代海斗、よろしくね」
そう挨拶を済ませキッチンに連れて行く。
熱々のおかゆを皿に盛って天使様に渡す
「熱いので気をつけてくださいね」
「ありがとうございます…何から何まで」
申し訳なさそうに皿を受け取る彼女を見ながら微笑む。
「どうして空から降ってきたの?」
海斗が不思議そうに聞くと彼女は恥ずかしそうに答える。
「人間界の事をもっと知るために遠征に来たのですが…どこで何をすればよいかわからずさまよっていたところお腹が空いて力が出なくなって…その落ちてしまいました」
一瞬キョトンとした後海斗は笑いを堪えながら話しかける。
「ふふっ行く場所はあるの?」
こらえきれず少し笑いながら尋ねる。
「いえ…何処にもありません」
「ならここにいるといいよ好きなだけ」
彼女の顔がぱっと花が咲いたように明るくなり、ブンブンと頷く。
「ほ…本当ですか?ありがとうございますっ!」
嬉しさのあまり抱きついてくる。
あまりのいい匂いと柔らかい感触が海斗を包み込み、固まってしまう。
「うん…どういたしましてじゃあ必要なもの買いに行かないとね」
「必要なもの?」
ベッドや皿、服を指さして「買うものたくさんあるだろう?」
しかし彼女はキョトンとした顔で「一緒に寝ればいいのではないのですか?」と聞いてきた。
普通に嬉しいが男女同じ布団で寝るのは俺にはハードルが高すぎる。彼女いない歴=年齢の俺からしたら彼女と一緒にいる時点でかなり緊張しているというのに同じ布団で寝るとなると相当の覚悟が必要になる。
「いやいや…流石にまずいでしょ」
すると彼女の顔が一気にシュンとし始める。
「そうですよね…私と一緒に寝るのは嫌ですよね」
今にも泣き出しそうな彼女をみていると胸が苦しくなる。思わず抱きしめ、頭を撫でてしまう。
「そんなことないよ…君がそう言うなら一緒に寝ようか」根負けしてそう言うと彼女は元の眩しい笑顔へと戻る。
まぁ…これから色々困ることがあるとは思うけど…なんとかなるでしょ。と俺はこのとき軽い気持ちでいた。
僕の初めての小説です。色々と下手な物語ではありますが、ぜひ読んでくれればなと思います。




