自殺論
社会は自殺を図り間違えている。
だからよく無責任な大人はこんなことを言うね。
自殺なんて弱い人間のすることだ。
あるいは、辛いことがあるなら止めれば良いじゃないか。
そんな風に。
社会は自殺を図り間違えている。
例えば、家族が死んだ時、葬儀の時には全然悲しくなかったのに、ふと家でその人の使っていたグラスなんかを目にした時に涙が溢れちゃうような。
生きてることが辛いんじゃない。
世の中が嫌になってしまうわけでもない。
ただそう、世の中に関心がなくなるんだ。
例えば焼きそばパンが売り切れていたり、紙で少し指先を切ってしまったり。
そんな時に、世の中がとてもそう冷たくて、自分とは何の関連もないもののように感じるんだ。
その後はすごくスムーズ。
もうわかってくれたと思う。
その行為には熱い思いとか、哲学的なメッセージなんてこれっぽっちもない。
そう、僕はただ、面倒くさくなってしまったんだ。
昔書いた小説の一節です。詩として読んでいただけるとよろしいかと。