表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界と絆な黙示録  作者: 八神
第三章~エーラの気術士~
42/121

第40話:最年少の才能

「ぜぇっ……ぜぇっ………死ぬ……。」


「主、あそこでマルサが意図的にスピードを落としておる。」


「よし、愛の鞭決定。」


ぴしゃあぁぁんっ!!


「ギャアアアアアアアアアッ!?!? わ、分かった、ちゃんと走りますぅううううっ!!!」


「お、鬼ですね………。」


 司羽がリア達に頼まれた訓練の最中、空からリア達全員の動きを観察していたトワの一言により、鞭を持った司羽が物凄い速度でマルサに詰め寄り鞭を打った。マルサの悲鳴が森に響き、他の皆も気合いを入れ直した様子だ。満足げな表情で定位置に戻って来た司羽を、ユーリアは何とも言えない複雑な表情で迎えた。


「やっぱり鞭はやり過ぎでは? 女の子の体に鞭打つなんて、やっぱりちょっと問題ありますよ。」


「大丈夫だ、女の子の場合はハリセンを使ってるからな。手加減もしてるし、俺の精神衛生上も全く問題ない。」


 そういって司羽はテーブルの上に置いていたハリセンを手に取った。ユーリアはそれを興味深げに見詰めて、溜息をついた。


「ハリセンって、その紙を折り曲げて作ったやつですか? まぁ鞭よりは幾分マシかも知れませんが………。と言うより、その本格的な鞭は一体何処で買って来たんです?」


「あー、これか………実は随分前にミシュに貰ったんだけど、処理に困っててさ。いや、ルーンの期待に応えるにしても流石にこれは痛いだろ。ミシュも何考えてんだか……。」


「………あー、成る程。納得しました。」


 恐らくミシュナは鞭の用途等に興味は無く、単純に司羽の困った顔が見たかったのだろう。まさかこんな風に有効活用されるだなんて思ってもいなかったに違いない。そんな事を考えていたユーリアの後ろで、倒れていたナナが身じろぎをした。


「ううん…………あれ………私………。」


「あっ司羽様、ナナちゃんが起きました。」


「ああ、眼が覚めたか。回復力も中々あるようだな。とは言っても、今日はこれから別の事をするから暫く休んでてくれ。……時間になったらそこで寝てる子達も起こさないとな。」


 司羽はそう言って、ナナの隣で横になっている面々に視線を移した。現在リアとネネ以外の女子は全員倒れたので回収して寝かせてある。男勢のジナスとアレンはまだ余裕がある、ルークとマルサはスピードが致命的に落ちてきているのでそろそろ限界だろう。リアとネネもかなり頑張っている様に思うが、こちらもそろそろ危険な感じだ。


「本当に全力ならジナスさんとアレンの体力もとっくに空になってる筈なんだけどな。やっぱり体に染みついたリミッターってのは中々外れないもんだ。前回よりは力を出してる様だけど。」


「速度を変えずに走り続けてるのって本来なら褒めるべき所なんでしょうけど………司羽様的には駄目なんですね。」


「駄目って訳じゃないさ。自分の体の限界を伸ばすのも立派な技能だ。だが、俺の訓練を受ける以上は自分の力配分を自分の意思でコントロール出来る様になって貰わないとな。俺に言わせればナナちゃん以外の皆はそう変わらない。この子達だって単純に自分のキャパ以上の走りをしたから倒れたに過ぎないし、力配分のコントロールが出来てる訳じゃない。皆には自分の意思で限界まで体力を使えるようにして貰わないと。」


 辛い訓練をすれば体力が切れていずれ倒れるのは当たり前、だが司羽が言っているのはそういう事ではないのだ。………とは言え、こういう訓練を続けて何度も倒れている内にそれは自然に身に付いて来るとは思うが。司羽がそう考えていると、ナナが不安そうな表情になって言った。


「体力の使い方とか、限界以上の走りとか、私、そんなに意識してるつもりはなかったんですけど……。私がジナスさんやアレンさんよりも優秀だと仰ってくれた様ですが、やはり司羽さんの勘違いだったのでは……。」


「………まぁ、そう思っちまうのも無理はないか。実際表面的な成績だけ見ると最下位の上、魔法も殆んど勉強して来なかったって聞いたし、事実あの二人も一般的な視点で見るとかなりの秀才だからな。比べられてお前の方が優秀だ、なんてそのまま受け入れられないわな。」


「ううっ………なんだかアレンさん達に申し訳ないです、騎士団のエースが私なんかと比べられてしまって………。」


「ふむ、ナナは少々自分に自信が無い様じゃの。主がそう言っているのだから間違いはないのじゃ。」


「あはは………トワさん、その考え方をナナちゃんに押し付けてはいけませんよ。」


 卑屈になって溜息を吐いたナナに、トワが胸を張ってそう励ましたのを聞いて、苦笑しながらユーリアがそれを制した。とは言え、ユーリアも司羽の観察眼を疑う事はしていない、トワの様に司羽が言うならば間違いはないと断言はしないが、それでも司羽の超人的な能力を知っているが故に、そういう部分での間違いをする様には思えなかった。ユーリアがそう思って司羽を見ると、司羽もナナの言葉を受けて何か考えている様だった。


「まぁ仕方ないな、あれは殆んど無意識でやってた訳だし。そもそも才能ってのは自覚しがたい物だ。それにその才能はまだ完全にナナちゃんの物になってない。前回の訓練では無我夢中になったが故に偶然その片鱗が、無意識に現れただけだ、このままただの才能として埋もれる可能性もある。才能は生かさなければ何の意味も成さないんだからな。」


「…………本当に、私に才能があるんでしょうか。魔力だけは高いみたいなんですけど、魔法だってお姉ちゃんみたいに上手く使えないし……。」


「それはナナちゃん次第だな。それに俺が見出したのはナナちゃんの自分に対する制御力の才能だ、物事に対する集中力の才能と言っても良いかもしれないな。だがそれは魔法の才能じゃない。それこそ魔法だったらリアや君のお姉さんの方が詳しいだろう。」


「自分に対する……制御力…………。」


 司羽はそこまで言って話を区切った。今走っている者もこれ以上闇雲に走らせても意味は薄いだろう。そろそろ次の訓練に入った方が良い。そうすればこの訓練の効率も上がるはずだ。


「よーし、このまま次の訓練に入る!! 走っている者は全員この場に集合!! ユーリア、トワ、寝ている者を起こしてくれ。」








ーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー

ーーーーー










「ううっ………なんだか全然休んだ気がしないぃ………。」


「寧ろ休んだせいで疲れがどっと来ますね…………。なんて言うと、走り続けたフィリア様達に失礼ですが。」


「はぁっ、はぁっ、き、気にひてっ、ませっ、からぁっ。」


「リア、お前も水分補給しろ。と言うか無理して喋るな、舌噛むぞ。」


 戻ってくるなりその場に崩れ落ちた六人に、先に休んでいた者達がドリンクを配って行く。司羽は直ぐに次の訓練に入ろうと思ったが、それは難しそうだ。そんな司羽がどれくらい休憩を取るかを悩んでいた時、濡れたタオルで顔を覆ったまま倒れていたアレンが、司羽の足を掴んできた。


「つ、司羽っ、今回はっ、どうだっ!!」


「だから無理して喋るなって!! ………正直闇雲に体力を使う事を考え過ぎだ。走るフォームが崩れれば誰だって多く体力を使う。俺が言っているのは、一秒でも速いスピードで走り続ける事に全力を注げって事だ。自分の体を顧みないレベルで走る事だけに集中すれば自然に体力は切れる。………そうなれば、俺に言われなくても自然に気付くさ。自分の限界を出し切ったって事実にな。」


「………本当に教官殿は厳しいねー。飴と鞭の飴が辛いよー。」


 アレンの問いに厳しくそう返した司羽に、ネネとナナを含めて七人いるフィリアのメイドの一人であるメールが苦笑混じりに溜息を吐いた。メールは赤茶髪のセミロングで、見た感じの歳は、スタイルも考慮すると司羽と同じか少し下くらいの少女だが、背はユーリアと同じくらいなので、良く分からない。そんなメールの言いたいことは分かるが、司羽は正直基本を叩きこんでいるだけでそこまで厳しくしているつもりはないのだ。


「なんだ、甘くして欲しいのか? でも俺の飴と鞭は表裏一体でな、甘く成れば成る程、鞭が激しくなるんだ。」


「そ、それ意味ないじゃん…………。」


「メール、無駄口はそれくらいにしなさい。今の司羽様は私達の教官なのですから。」


「いいや、気にしてない。アリサもあまり硬くならないでくれ、休憩中くらいは気を抜き過ぎない程度に心も休めろ。これは結構重要な事だぞ。」


「………分かりました。」


 メールに注意を飛ばしたアリサに、司羽はそう言いつつ苦笑を洩らした。童顔で子供っぽいメールに比べ、均整の取れた大人びた顔立ちにスタイル、栗毛のショートカットが特徴のアリサは、聞いた話ではネネと同い年で、補佐として副侍従長をしていると言う事だ。メールも素直に言う事を聞いている所を見ると、信用のある良いリーダーであるらしい。


「さて、リンにユリ、それとファムとジナスさんにネネとリア。今呼ばれた六人は腕にこれを巻いてくれ。」


「………赤い腕章? 教官は今度は何をさせるの?」


「うーん、途中リタイア組と完走組って訳でもないよね? フィリア様達はずっと走ってたし。」


 トワが配る腕章を各々受けとった後、メイドの中でも小さな双子のリンとユリは、顔を見合わせて首を傾げた。普段見た目には薄桃色の長髪が降ろされているのがリン、ポニーテールなのがユリと判断するしかない程似ている二人は、運動の為にリンがポニーテールにしてしまうと見た目だけでは見分けがつかない。実は姉であるリンの方がほんの僅かに背が低いのだが、それが微妙にリンのコンプレックスだったりする。


「取り合えず死ぬ気でやらなければならないのは確定ですね。」


「ふふっ、分かってるじゃないか。」


「うわー、嫌な笑顔……。」


 最後の侍従隊の一人であるファムは、特に侍従隊の中で役職がある訳ではないが、女性にしては背も高く、ネネやアリサとも良く親しげに話している為、二人とは歳も近いのだろう。深い青色の髪は長く、肩の少し下まで伸びている。そんなファムの嘆息混じりの一言に対して、ニヤリと笑った司羽の表情を、メールは嫌な笑顔と評して表情を引き攣らせた。


「赤い腕章は単なるチーム分けだ。これからする模擬戦の為のな。」


「も、模擬戦ってまさか……俺達で戦うのかよ? 騎士同士ならともかくよ………。」


「………俺もフィリア様の騎士として、主君に剣を向けるなどしたくはないな……。」


「そうですね、訓練とは言え………。」


 司羽がチーム訳の旨を伝えると、各々の口から反対の声が上がる。特にリアと別のチームの騎士はかなりの難色を見せていた。そんな中、司羽は苦笑して一つ溜息をついた。


「ま、そう言うと思ったよ。安心してくれ、模擬戦は模擬戦でも敵はお互いのチームじゃない。」


「………それじゃあ誰と………って、まさか。」


「おう、お前らの相手はこの俺だ。」










−−−−−−−−−−−

−−−−−−−−

−−−−−










「あいつら、俺が相手だって言った瞬間嬉々として賛成しやがって………。」


「あはは……リア様や一部の侍従の方は気まずそうでしたが、ネネ様や騎士の方は眼が本気でしたね。」


「皆も主に扱かれて色々ストレスも溜まっておったのじゃろう。無理もないのじゃ、いきなりむやみやたらに走らされたのじゃからの。」


「ったく………、まぁそっちのが俺も都合が良いんだけどな。」


 現在腕章を付けたAチーム、及び付けていないBチームは、司羽が詳細の説明を終えるとそれぞれ森の中に消えて行った。ルールは単純、先に司羽に有効打を与えたチームの勝ちだ。魔法、打撃のどちらでも一撃の判定となり、制限時間は一時間である。尚、司羽は初期の立ち位置から半径約十メートルの円の中で行動しなければならない。


「あらかたのルールは分かりましたが、あのチーム分けにはどんな訳が……?」


「うむ、童も分からぬ。何も分ける必要は無かったのではないか?」


「まぁ、実際そこまで深い理由はないんだけどな。個々の魔法適性が近い人間を近付けたってだけだ。上手く行けば競争心も沸くしな。それと、リアや仲間と敵対した時の反応も見ておきたかった。………あの様子じゃ、双方のチームでの模擬戦は難しそうだけど。」


「ああ、やっぱりやるつもりだったんですね。」


「当然だ、前回の試験で使ったフィールド装置を学園から拝借すれば良い話だからな。」


 事もなげに学園から拝借すると強奪宣言した司羽に、流石にこの二人も苦笑いを隠せない。そんな二人の表情を気にも留めず、司羽は訓練用の信号弾を打ち上げた。


「トワ、ユーリア、下がっていろ。何なら参加しても良いが?」


「遠慮しておくのじゃ、主と戦っても何も面白くないからの。」


「右に同じく。訓練とは言え、主に害を加えたくないのは騎士様だけではありませんので。そもそも武器がありませんし。」


「………そう言えばそうだったか。」


 ユーリアの杖もそろそろ護身用に持たせるべきだろう。リアの家臣達も、既にユーリアが武器を持った所で気にしない筈だ。


「…………考えておくか。」


「さてユーリア、童達は邪魔にならぬ様に空から眺めるのじゃ。」


「いや、ですから私は飛べなっひゃああああああっ!?!?」


「まぁ………落とさない様にな。」


 ユーリアがトワの言葉に苦笑しながら反論すると、ユーリアの体は何の予告も無しに宙へ舞った。どうやらトワは他人を浮かす事も出来るらしい。今度やってもらおう。


「便利だなー、あれ。やっぱり汎用性なら魔法だよな。……無駄な気がするけど、ちょっと本気で勉強してみようかな。でもミリク先生に言っても間違いなく話のネタにされるし……。」


 司羽がそんな事を本気で悩み始めたその時、後ろで微かに土を擦る様な音がした。


「油断大敵っだぜ。」


ヒュンッ


「油断何かしてないよ。訓練は本気でやってこその訓練だ。」


「へへっ……それを聞いて安心したぜ、兄ちゃん。」


 マルサの言葉と、訓練用の木刀での奇襲に、攻撃を避けつつ司羽がそう答えると、マルサはにやりと笑って追撃を放つ。司羽はそれを受けずに一歩下がって避けた。その瞬間、マルサとは反対側の茂みから三つの影が唐突に表れ突進してくる。


「メール、ナナ!!」


「了解っ!!」


「行くよっ、教官!!」


「魔法で強化してるのかも知れないが………マルサとのコンビネーションには遅過ぎるな。」


 少しの間を空け、数歩の間に近付いて来た三人の侍従に対して司羽は逆に近付くと、三人の真ん中に居たアリサの腕を掴んで脚を掃った。


「きゃっ!?」


「ア、アリサっ!!」


「メール、ナナ、油断するな!! 心配してる暇があるなら攻撃しろ、お前達のせいでアリサが死ぬぞ!!」


「は、はいっ!!」


 アリサが司羽に倒されると、二人の脚は止まり、剣撃の代わりにアリサを気付かう声がメールから漏れた。司羽がそんな二人を恫喝すると、二人の元から同じタイミングで剣撃が放たれる。それは司羽を捉えているだけで、威力が足らない一撃だったが、司羽はアリサから木刀を奪うと、アリサを解放してそのまま後ろに飛び退った。そして司羽が着地すると同時に、後ろ左右の三方向から一気に気配が近付いてくる。


「貰ったっ!!」


「ハアッ!!」


「ったく、タイミングが遅いんだよ!!」


 司羽がそちらに振り向く前に、ルーク、マルサは僅かに剣撃のタイミングを外して魔力を込めた高速の一撃を放った。司羽はその二人からの渾身の一撃を、振り向き様にアリサから奪った木刀の一振りで逆に打ち払う。そしてそのまま、最後の詰めであるらしいアレンに詰め寄った。


「ちいっ。」


「反応が遅いぞ。」


 剣の懐に飛び込まれて反射的に間合いを取ろうとしたアレンを、司羽は木刀で薙ぎ払った。アレンは司羽の一撃を木刀で受けはしたものの、跳び退る途中で受けた為に体制を崩してしまった。そのせいで着地時に数瞬の隙が出来る。司羽はアレンに一瞬で近付くと、そのまま自分の木刀で、アレンの木刀を打ち掃った。木刀はアレンの手から離れ、近くに転がり落ちる。


「早く体制を立て直せ!! 死にたくなければチンタラするな!!」


「ぐっ……。」


 アレンはその場から飛び跳ねる様に退避すると、転がった木刀を回収して構え直した。そして、六人が司羽を中心に円を描く様に陣形を取る。


「まったく………策も無く全員で突っ込んで来るからこうなるんだ、もっと頭を使え。………何の為に一時間与えてると思ってるんだ。今のお前達じゃ、俺相手に一時間ずっとやり合う事は出来ない。そう言う配分もしっかりチーム分けに考慮した筈だぞ。」


「成る程、この程度は策と呼ぶに値しないと。………やはりマルサじゃ駄目か。」


「おい、ルーク。そりゃあどういう意味だ。お前だって考えて時間を無駄にするより早く攻め込むのに賛成してたじゃねーか。」


「二人共集中しろ、こんな事ではフィリア様に顔向け出来ない。」


 司羽の言葉に乱れかけた騎士二人の集中力を、アレンの一声が制した。二人はアレンの声に言い争いを止め、再び司羽に対し剣を向ける。司羽は一つ溜息をついて、笑った。


「お前達は良く見ておくんだな。………これが、強者に対する策ってやつだ。」


「……えっ?」


 司羽がそう言うと同時に、黒い文字のような、絵の様な何かが、様々な方向から六人の間を通って司羽の足元に這い寄ってきた。そしてその黒い何かは瞬く間に司羽の足に絡み付き、最後はさながら蜘蛛の巣の様な形状に変化した。そしてそれを見ていたアリサは、その形状の魔法に見覚えがあった。


「これはフィリア様の束縛………はっ!! 皆、退避!! この巣の上から退避して!!」


「はいはいっと!!」


「そういう事かっ。」


 アリサはその魔法からこの後の展開を予測すると、全員に退避の指示を飛ばす。一斉に六人がその黒い蜘蛛の巣の上から退避すると、次の瞬間、司羽の真上に青い五方星の魔法陣が浮かび上がり、発光した。


「さぁ、来い。」


「全員攻撃開始!!」


 姿の見えないリアの叫びと同時に、魔法陣から青白い光線が司羽に向かって降り注いだ。眼を開けられない程の激しい光が辺りを包み込む。そして、その光が止む前に再びリアの声が響いた。


「第二派攻撃開始っ!! 私が止めと言うまで続けなさい!!」


 そしてリアの声に呼応するかの様に五方向から直線的な魔法攻撃が行われる。司羽に迫るのは、ある方向からは赤い光線であり、ある方向からは前にルーンが使用した様なエネルギーの円柱であり、ある方向からは風を切り裂いて飛ぶ多数のかまいたちであった。青白い光が消えた後にもこの連続攻撃により砂埃が上がってしまい、司羽の姿は見えなかった。


「フィリア様、このまま攻撃を続けても良いのでしょうか……。」


「も、もう止めた方が……司羽教官が………。」


「リン、ユリ、攻撃の手を緩めないで。トワさんが何も言わずに見ている以上、大丈夫の筈です。それよりも、このチャンスを逃してはなりません。私達は走り込みで体力が削られているのですから、全身全霊を込めなさい。私もいつまで司羽さんの動きを封じて居られるか分かりません。」


「りょ、了解。」


 不安そうにリアに尋ねたリンとユリは、リアの命令を受けて躊躇いと迷いを振り切った。そして、リア達が攻撃を始めてから数分がたった頃、リアの攻撃中断の声が森に響いた。


「はぁっ、はぁっ、さ、流石に疲れましたね。」


「ふふっ、ファムももう少し魔法の訓練を積んだ方が良いんじゃない? まぁ、これで司羽の奴も少しはフィリア様に対する態度を改めるでしょう。」


「………ネネ、司羽さんへの悪態はそこまでにしなさい。それと、くれぐれも油断はしないで。」


 ファムの疲労の声に対しネネが微笑で応えると、それを諌めるような声が指揮官であるリアから飛んだ。同じくかなり疲労しているリンとユリ共々気合いを入れ直し、段々と砂埃が晴れていく魔法攻撃の着弾点を、その場にいる全員が注視する。そして視界が晴れたと同時に、ジナスが苦虫をかみつぶした様な表情になった。


「………おいおい、こいつはどんな冗談だ。笑えないぞ。」


「そんな……。」


「っ………喰らえ!!」


ヒュオッ!!


 砂埃が晴れて表れたのは、数分前と何も変わった様子のない司羽の微笑。全員が驚愕の表情を浮かべる中、ネネは咄嗟に十字を切って、神速の一撃を赤い真空波として司羽へ放った。司羽の足はリアの魔法の束縛により未だ動かない状態にある、避けられる道理はない。


「これでっ……!!」


「良い判断だ、棒立ちしている奴よりかは。」


 司羽がそう言って笑うと同時に、ネネの赤い真空波は司羽の元へたどり着く。だが、それは司羽の体を、そして服を切り裂く前に霧散した。司羽が動くまでもなく、一人でに。そんな光景は当人のネネやジナス達だけでなく、アレン達にも大きな衝撃を与えた。


「今のは………なんだ。」


「……初撃の協力魔法一つ取ってもルーンの光弾以下じゃ、近付く前に無力化くらい出来るさ。避けるまでもない。力押しの作戦にしちゃあパワー不足だったな、急造の策にしては割と良い線行ってたけど。」


「これでパワー不足………ならっ。」


 呆然とする両チームの前で、司羽が今自分のした事が何でもない事の様にそうコメントすると、司羽から一番遠く離れていたリアは素早くスケッチブックにペンを走らせ、司羽へと距離を詰めた。


「………そう来るか。」


「足を止めてる今ならっ……!!」


「駄目です、フィリア様!! くそっ……。」


 一人司羽へと特攻するリアに、ジナスが叫ぶ。そして、リアを追い掛けて司羽へと接近した。リアがスケッチブックのページを破ると、紙は槍へと変化する。リアはスケッチブックを放棄し、司羽へと突きかかった。


「これでどうですか!?」


「……何がさ。」


「えっ……!?」


 司羽はリアの槍から繰り出された突きを槍を掴む事で止めると、そのまま槍ごとリアを引き寄せた。その瞬間、リアの後方からジナスが司羽に飛び掛かる。


「ジナスっ……!!」


「フィリア様を離せ!!」


「良いぜ、別に。」


 司羽は槍からリアの首へと片手を移し、リアを軽々と放り投げた。そしてそのままジナスの剣撃を余った片手で受け止める。リアが近くの木に叩き付けられた次の瞬間、ジナスの体がくの字に折れた。司羽のリアを離してフリーになった拳が、ジナスに突き刺さる。


「ぐぅっ………。」


「迂闊だったな。リアも、あんたも。」


「なん……のっ…………なっ!?」


グシャッ


 ジナスが顔を上げて司羽を睨みつけたその時、ジナスの顔面が司羽の膝に叩き付けられる。アレン達の頭の中に、そんな鈍い擬音が響き渡る様だった。脳が揺れる様な感覚に意識が飛んだジナスは倒れ際、そのまま司羽の追い撃ちの踵打ちを背中に受け、地に伏した。長い時間の様に思える沈黙の中、全員の視線が倒れたジナスに集まる。そして、ルークが譫言の様に呟く。


「足は………、動かない筈じゃ……。」


「誰が動かないなんて言ったよ。動く必要がないから動かなかっただけだ。」


「策の始めから、全て演技か……。」


 司羽が淡々とした口調で放った言葉に、ネネが悔しげに唇を噛んだ。マルサは、そんな様子を見ても当然と言わんばかりに表情を変えない司羽に対し、小さく舌打ちをした。


「………魔法は効かない、剣術も効かない………本当に化け物か何かかよ、兄ちゃん。」


「俺は化け物じゃない、お前ら全員よりも遥かに戦い慣れていて、力も強い人間だ。ま、戦いに人種も何も関係はないけどな。それが誰であろうと戦いになったら倒さなくてはならないんだ。」


「……………。」


 司羽はそう言うと、空から見ているトワに思念を送った。取り合えずこの場にジナスを寝かせて置くのは良くない。司羽がトワに意思を伝えると、ジナスの体をふわふわと浮き上がり、近くの湖まで運ばれた。そして司羽は、ジナスを見詰めて呆然としていたリアに視線を移した。


「ジナスさんは脱落だ。制限時間以内に眼を覚ます事はないだろうからな。………さて、初の戦死者を出した気分はどうだ、リア?」


「………戦……死者……っ。」


「お前のミスだ。ジナスさんはどうやら束縛が効いていないかも知れないと疑っていた様だからな。あの人の予測は当たっていて、ジナスさんが死んだのはお前が判断を誤った為だ。………リア、お前は全員の命を預かって居る。それを胆に命じて置け。」


「……………。」


 司羽がジナスの向かって行った方に眼を向けながらそう言うと、リアはその場で拳をギュッと握り締めて俯いた。それから暫くの時を経て司羽が腕時計を見ると、そろそろ終了の時間が近付いて来ている様だ。途中から司羽の攻略方が見付からずに全員攻めあぐねてしまい、結局あれ以降まともな攻撃は行われなかった。司羽は一つ嘆息すると、そのまま終了の通達をするべく顔を上げた。


「よし、そろそろ終了の時間だから各自………。」


 そこまで言った所で、司羽は足元にあったジナスの木刀を素早く掴み、自分の真後ろに投擲した。その場にいた全員が、司羽のいきなりの行動に反応出来ず硬直する。そしてその木刀は、その先に居た少女の木刀を弾き飛ばした。


「きゃっ!?」


「何………?」


 小さな悲鳴を上げて、自分の木刀が弾かれた先に視線を向けた少女に、アレンが驚きの声を漏らす。そしてその姉もまた、驚いた様に眼を瞬かせた。


「ナナ………貴方。」


「くっ……。」


「………良い判断だ。リアの行動に合わせて後ろに回り込んだまでは上出来だった。最後の油断をついての攻撃も、タイミングとしては悪くない。………さて、時間切れだ。全員武器を片付けて、各自チーム毎に反省会をする様に。それと、誰かジナスさんを迎えに行ってやれ。それじゃあ解散!!」


 ナナの最後の隙を突いた攻撃も、司羽に事前に察知されて防がれた。気が抜けた様に座り込んだナナから視線を逸らすと、司羽は改めて終了の号令を飛ばすのだった。









−−−−−−−−−−

−−−−−−−

−−−−










「ごめんなさい、ジナス。私が迂闊に攻撃したばかりに………。」


「はっはっはっ、心配はいりませんよフィリア様。どういう訳か骨折もしていない様ですし、フィリア様を護るのが家臣の役目でございます。」


「そういえばジナスさんがここに運ばれる前に、鬼教官が何かやってたよ。あんなに攻撃されて何ともないなら、何か魔法でも使ってくれたんじゃない?」


「メール、教官に向かってその言い方は………ですが、魔法が使われた感じはしませんでした。先程の良く分からないレジストもそうですが、何か秘密があるのでしょうか。」


 解散後、フィリア達は揃ってジナスの様子を見に来ていた。相変わらずのメールの態度に溜息をつくアリサだったが、やはり司羽の力については興味があるらしい。


「………ありゃあ噂の次元魔法って奴じゃねぇのか? 確かあの兄ちゃんのツレって、フィリア様の友人の次元の魔女だろ。」


「いや、だから魔力が感じられなかったって言ってるじゃないか。それに次元魔法はただ恋人ってだけでホイホイ使える様なレベルの物じゃないよ。それこそ次元が違う魔法なんだから。」


「………ルークさん……寒い。ほら、ユリも震えてるし。」


「(……ガタガタ)」


「いや、別にそういう意図はなかったんだけど………なにこれ、凄いムカつく。」


 ルークの発言を拾い過剰に反応して震えるリンとユリに、ルークは表情を引き攣らせた。そんな中、リアは司羽の力の正体について思い当たる所があった。


「ルーンから話を聞いた限りでは、司羽さんの力は気と言うものらしいです。」


「キ………ですか? 聞いた事がありませんね。」


 リアが言ったその言葉に、今まで何かを考え込んでいたアレンも興味を示した。他の者も皆無駄話を止め、聞く体制に入っている。


「気については私も詳しくは知らないのですが、魔法とは似て非なる物だそうで、司羽さんはその熟練者だそうです。次元魔法は使わなかったらしいですが、あの子が何も出来ずに完敗したと聞いています。流石にルーンの贔屓目からの誇張だと思って居たのですが………もしかすると、本当にルーンより強いのかも知れません。」


「つまり教官に一発入れるには、少なくとも次元魔法以外の魔法では次元の魔女クラスか、それ以上にならないといけないのね。」


「………下手するとそれって、レジスタンス達を撃退するよりも難しいんじゃないの?」


 リアの発言にコメントしたファムとネネの言葉に、その場の空気が段々と暗くなる。そんな場に耐え切れなくなったのか、キョロキョロと辺りを見回したネネはその場にナナがいない事に気付いた。


「………あら、ナナは……?」


「……そう言えばさっき、司羽の帰って行った方に向かって行った。」


「……司羽さんの所に?」










−−−−−−−−−−

−−−−−−−

−−−−










「教官の技を、私に教えて下さい!!」


「いや、いきなりそう教えろと言われてもな………。」


 リア達とは反対の方向、司羽はナナに詰め寄られて返答に困った様に唸った。何とも薄情な事に、ユーリアはトワを連れて買い物に行ってしまっている。本当は司羽が買い物をして帰る筈だったのだが、去り際に、


『司羽様は先生なんですから、教え子の悩みが最優先です。買い物は私達にお任せあれ。』


 と、とても楽しそうな笑顔で買い物の役目を引き受けて行ってしまった。


「ナナちゃん、君が覚えたがっている魔法は俺には教えられない。剣術や他の武器も、アレンやジナスさん達に習う方が良いだろう。体術に関しても、君にはまだ早い。まだ体力を付ける方が優先だ。」


「…………また、私だけナナちゃんなんですね。」


「え?」


「訓練の時、ナナって呼んでくれたのに………私だってフィリア様の侍従です!! 私だって、お姉ちゃんみたいに戦いたい、ジナスさんみたいにフィリア様を護りたい!! 私は子供じゃありませんっ!!」


「……………。」


 語気を荒くしてそう叫んだナナに、司羽は何も言えず沈黙した。どうやら、子供扱いしていると思われてしまったらしい。確かにこれは自分の落ち度だったと、司羽は深く反省した。


「………ナナ、君はそうは言うが、力ってのはそう簡単に手に入る物じゃない。アレンやネネだって、リアの為に必死に努力して来たんだ。」


「…………分かってます、私はそれをずっと見てきました。国から逃げる時、私はまだ本当に幼い子供でした。だから私は小さい頃からずっと、皆に護られて生きてきたんです、フィリア様にも………。」


 そう言えば、リア達が国から逃げ出したのはいつ頃の事だっただろうか。この子はその頃からずっと、リアを護ろうとする姉達の努力を見てきたのだ。………それはもしかしたら、何も出来ないこの子に取っては苦痛であったのかもしれない。


「教官は、私に才能があると言ってくれました。私はそれを信じたい。でも私にはそれを伸ばす術がないんです。だから教えてください、私の才能の使い方を。努力を始めなければ強くなれないのなら、少しでも早く始めたいんです!! 時間がいつまであるか分からないから、無意味に時を過ごすのは嫌なんです!!」


「…………時間がいつまであるか分からない……か。確かに、そうだったな。」


 今までの訓練でも、何もやってこなかった常人ならかなりのハイペースなのだが、どうやらこの子はそれでは満足出来ないらしい。訓練を終えたばかりだと言うのに、何ともタフな事だ。ある意味それも、もう一つの才能なのかも知れない。ナナはただ、才能があると言う言葉に踊らされた訳ではないのだ。司羽はそう考え、一つの道を示す事にした。


「………昔の話だが、君に似た才能を持った子が居た。その子がやった事と同じ事を、ナナに教えても良い。魔法は教えられないが、それなら俺にも教えられる。」


「本当………ですか?」


「ああ、それがもし上達すれば、それは魔法や剣に代わる武器として、ナナに取って大きな力になる筈だ。」


「魔法や剣に代わる武器………。」


 ナナは、司羽が言うそれが何かを理解出来なかった。少なくともナナの周りにいる人達は、魔法や各種武器の技術を磨いている。それ以外に武器になる力とは何だろうか。それが何かが分からなくても、今の何の武器も持たないナナには、その言葉は信じるに値する、とても魅力的な物だった。


「やるか? 勿論上達する保証なんてないけどな。君の才能がこれをマスターするレベルの物なのかも分からないし、才能があってもいつまで掛かるか分からない。」


「やります、私の力でお姉ちゃん達の負担が少しでも減るなら!! 」


「………そうか、分かった………。」


 司羽の言葉に希望を見出した様に瞳を輝かせたナナを見て、司羽はナナに指導をする事に決めた。リア達に訓練を付け始めた時から感じてはいたが………これが武芸を指南して来た家系の血と言う物なのかもしれない。どうにも誰かに教えを請われると断れないのだ。司羽は心の中で一つ溜息を吐くと、何かを探す様に辺りを見回した。


「まぁ、あれでいいか。」


「…………?」


 何かを見付けたらしい司羽が歩いて行く先に、ナナも一緒に付いていく。そして司羽はいきなりしゃがみ込むと、足元にあった枯れかけの白い花を数本摘んだ。


「花………ですか?」


「ああ、花だ。もう枯れかけだけどな…………腕を出せ。」


 その花を持って立ち上がった司羽は、ナナの疑問にそっけなく答えると、その花数本を編んでナナの腕に腕輪の様に巻き付けた。ナナは司羽の意図が分からず、思わず小さく首を傾げてしまう。


「これはなんですか?」


「見ての通りの花を編んで作った腕輪だ。取り敢えず、その花が完全に枯れ落ちるまでにもう一度咲かせろ。」


「さ、咲かせろって…………この花をですか?」


 ナナはそう言って、その花の腕輪をまじまじと見た。その白い花の名前は知らないが、良くその辺りで見かける野花だ。小さい頃に摘んできた事もある。………だが、根っこから切り離された、もう既に咲き終えた花をどうやって咲かせろと言うのか。花が枯れ落ちるまでにと簡単に言うが………。


「枯れたら新しいのを作ってやるから俺に報告しろ。」


「そ、その………どうやって咲かせればいいのですか? 水をあげても、もう。」


「…………そうだな。まぁ、口で言っても分からないだろうから良く見とけ。」


 司羽はそう言うと、もう一度しゃがみ込み、自分が摘み取った花の茎に手を当てた。そして、次の瞬間には茎が伸び、また新たな花の蕾を生みだし、その蕾は鮮やかに咲いた。ナナはその数秒の出来事に、ただただ呆然とするしかなかった。


「………えっと…………魔法ですか?」


「魔法じゃない、魔力を感じなかっただろう。これはこの花、この植物自身の力だ。とはいっても、今のは俺が単純に手伝った所もあるんだけどな。」


「………なんだか、難しいですね。」


「そうでもないさ、何れ分かる。魔法は理論で打ち立てていく物らしいが、気は違う。………まぁ、最初は色々試してみろ。ナナが気を感じられる様になったら、改めて色々教えてやる。………それまでは、失敗を繰り返すと良い。」


「………気……ですか。」


 司羽が言った気と言う単語に、きっとそれが自分がこれから覚えていく物なのだろうと、ナナは納得した。はっきり言って魔法との違いも良く分からないし、この訓練の意味も分からなかったが、今は司羽に従い、言われた事をこなして行くしかない。時間はないが、きっと焦ってはいけないのだ。


「…………それじゃあ、頑張れよ。もうナナを子供扱いはしない。」


「は、はい!!」


 司羽はそう言うと、自宅の方へと足を向けて去って行った。ナナはその後ろ姿を、姿が見えなくなるまで見送りながら、自分の腕に巻かれた花を愛しむ様に撫でたのだった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ