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異世界と絆な黙示録  作者: 八神
第二章~恋の矛先~
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第28話:罪と罰は微笑みに

『ルーンの家に来るのは久々で、少々迷ってしまいました。やはり、あの森は厄介ですね。』


「そうですね、私も早く道を覚えなくてはいけません。このままでは一人で買い物へ行く事も難しいですから。……あ、司羽様は直ぐにいらっしゃると思いますので、こちらでお寛ぎ下さい。」


『ありがとうございます。でも、司羽さんは休日でも朝が早いと聞いていましたが、お昼まで寝ているなんて事もあるんですね。』


「それはまぁ、司羽様にも色々とあるようですから、お疲れなのでしょう。」


 それは入れ替え試験とユーリアの歓迎会の翌日、試験休みとなっている日の昼過ぎの事だった。

 朝早くからリアが司羽を訪ねてルーンの屋敷まで一人で来た事は、応対に出たユーリアも始めは驚いた。とは言え、ユーリアもリアがその内に自分を訪ねて来るだろうとは予想していたので、行動が早いな、くらいの驚きでしかなかったが。


『少々、急な訪問になってしまったのがいけませんでしたね。驚かせてしまってごめんなさい。』


「いえ、その様な事は。私としても、その内とは予想していましたので……。それでリア様、今日の用件とはやはり?」


『………そうですね、多分貴方が思っている通りだと思います。貴方に話を聞くならば、主である司羽さんに許可を取るのが礼儀ですから。それに実際問題、ここで話せる事ではないですし、私の屋敷に来て頂く事になります。そうなれば結果的に、ユーリアさんにはお暇を取って頂かなくてはなりません。ですから、どちらにしろ司羽さんにお願いしなくてはならなくなりますので。』


「やはりそうでしたか。私自身、リア様に付いて行く事は全く構いません。ですが、こればかりは司羽様次第ですね。私は司羽様の侍従ですので、司羽様が反対なされればそこまでです。とは言え、恐らく反対はなさらないと思いますが……。」


『そうでしょうか? 司羽さんはユーリアさんの事を大事にしていますし、貴方と元敵対関係にあった私の家に、貴方を送る事には反対なさるかも知れませんよ。』


「そうですね……ですが、私から話を聞かないとリア様も困るでしょうから、司羽様も考慮なさると思いますが。……あ。」


 そこまでリアに伝えて、ユーリアは突然背後に気配を感じて振り向いた。


「……うーん、そうだな。反対したいっちゃしたいが……ユーリアが行っても良いって言うなら、別に俺も構わないかな。ただし、その条件として俺も同行する。リアの言う通り、あまりユーリアを一人で行動させたくないからな。」


「………司羽様、居たのなら教えてください。びっくりするじゃないですか。」


「悪い悪い。何を話してるのか気になってさ。ほら、筆談は近付かないと盗み聞きが出来ないだろ?」


「……私が言いたいのは、気配を消してまで盗み聞きをしないで下さいって事です。と言うか司羽様、業とやってますよね?」


 ユーリアは、二人の隣に忍び寄っていた司羽をジト眼で睨んでそう言った。一方のリアは司羽が来た時こそ驚いた様子だったが、直ぐにもう慣れたとでも言う様に肩を竦めた。


『構いませんよ、お話する手間が省けましたし。司羽さんが言う条件も問題ありません。それに、司羽さんが一緒の方がユーリアさんも安心でしょうから。敵対していた人間の家に行くわけですし。妥当な条件でしょうね。』


 リアはそう書いて、司羽に見せた。司羽にはリアの正体がバレているので今更隠す様な事もないし、勿論ユーリアのメンタル面での事もある。リアとしては特に問題のある条件ではない為、拒否する理由もない。そこまで考えて、リアはふとある事に気付いた。


『そう言えば、ルーンは何処に居るんです? 司羽さんをお連れするならルーンにも伝えて置かなくてはいけませんし……。それに昨日の暴走の件もあります。先程から姿が見えないので気になって居たのですが……。』


「ぼ、暴走……ですか? そういえば昨日ミシュナ様がおっしゃっていた様な……。」


「はは……、まあ心配しなくても大丈夫だよ。ルーンは俺の部屋で寝てるし、起きて来ないのは単に寝不足で寝足りないだけだろうから。取り敢えず、こんな事だろうと予想はしてたから外出するとは言って来たし、トワとミシュも居るから大丈夫だろ。遠くに居ても、トワを介して俺と会話も出来るからな。」


『それならば良いのですが……ちゃんと寝ているのですか? 寝不足と言っていましたが、やはり昨日の無理が祟ってしまったのでしょうか。』


「あー…、昨日は帰って来てから随分と寝たし、無理が祟ってとかいう訳じゃないんだけど………いや、ある意味無理が祟ったのかも知れないけどな……。」


「……司羽様、そういう話は生々しいので止めて下さい。リア様もどう答えて良いか困ってしまいますよ?」


「あ、いや……、すまん。」


 ユーリアが司羽の発言に対し、顔を紅潮させながらそう言って睨むと、司羽はちょっとバツが悪そうに頬を書いて謝った。当のリアはその発言の意味が分からず暫く考えて居たが、その意味に気付くとスケッチブックに何やら素早く書き込んで司羽達に見せた。


『その……、司羽さんとルーンの仲が良いのは私もとても嬉しいのですが……。』


 と、リアはそこまで書いて見せ、唐突にスケッチブックに追加の文を書き足した。


『いえ、何でもありません。それより私は先に外に出ていますので。……ルーンに言って来たと言う事は、私の家に来ていただけるのは今日で問題ないのですね?』


「あ、ああ。」


『それでは準備が出来たら声を掛けて下さい。』


 リアはそれだけ素早く書くと、逃げるようにその場から立ち去った。後に残ったのはユーリアの責める様な視線のみ。


「司羽様? 私が言えた義理ではありませんが、王女への破廉恥な言動は下手をすれば極刑になりますよ? リア様は純な方であらせられるみたいですし。」


「……そうだな、自重する。」


「……出来ればリア様が居ない所でも自重して下さい。私も、その………。」


「……すまん。」


 その後、ユーリアの赤い顔が冷めた頃にリアに声を掛けた。何だか視線を逸らされている気がして居心地が悪くなった司羽だった。









ーーーーー

ーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーー










「へえ、此処がリアの家か。思ってたよりも全然大きいな、屋敷って言っても問題ないくらいだし。」


『ありがとうございます。ですが、家臣も全員此処に住んで居るので、必然的にこれくらいの広さになってしまうんですよ。』


「成る程な……。リアは王家の人間だし、当然逃げる時には家臣もかなり居たと。」


『はい。私を含めて12人の大所帯ですが、もう何年も一緒に暮らしている私の大切な家族です。』


「………そうか。」


 司羽はその時のリアの発言に笑って答える事が出来なかった。ユーリアもそれは同様の様で、僅かに震えた様に見えたリアの腕を悲し気な眼で見つめていた。当然その中に血の繋がった家族は居ないのだろうから。


『お気になさらないで下さい。私は皆が居ればそれで幸せですから。』


「ああ、分かってる。」


 司羽が薄く微笑みながら一言そう言うと、リアは沈黙し、何も言わずに二人を振り向いた。


『お二人共、ようこそ我が家へ。それでは、御案内致します。』


 リアがそう書いて何か魔法を使うと、門が独りでに開いて司羽達を招き入れた。門の奥にあるのは西洋風の屋敷で、ルーンの家とそう変わらない大きさに見える。屋敷の前には庭も広がり、丁寧に手入れがされているらしい。司羽はリアの屋敷にそんな印象を抱きながら門を抜けようとして、そこで眉をしかめた。


「ユーリア、もっと俺の側に寄れ。」


「…………えっ?」


「そんな顔をするな!! 別に何かする訳じゃないから、取り敢えず言う事を聞いてくれ。というかその反応は何気に傷付くんだけど。俺はセクハラなんかしないからなっ!?」


『司羽さん、どうかされましたか?』


 ユーリアに体を隠されながら一歩引かれた事にショックを覚えながらも、司羽はそう叫んだ。リアが何か疑問の視線を向けて来たのも何でもないとジェスチャーして返す。


「ふふっ、冗談ですよ。何だか司羽様が難しい顔をなさったので、侍従なりにお茶目を働いた訳です。」


「まあ、良いけどさ。取り敢えず言う通りにしてくれ。……っと、この門……この屋敷って、門を誰かが通ると分かる様になってるみたいだな。」


『良くお気付きになりましたね。私の都合上、我が家のセキュリティは万全にしなければなりませんから。』


「……そうだったな。まあそれ自体はどうでも良いんだけど……。」


 司羽がそう言って溜息をつくと、リアとユーリアは揃って首を傾げた。どうでも良いなら、何故聞いたのだろうか。何だかその一言から様子が変わった司羽を疑問に思いつつも、三人は門を抜けて、庭を横目に玄関まで進んでいく。ユーリアも雰囲気が変わった司羽を疑問に思いつつも、司羽の真横にピッタリと付いて行った。


『それでは中へどうぞ。』


「ああ、それじゃあ失礼する。」


「それでは、私もお邪魔致しっ……!?」


「おっと。」


 ヒュンッ!!


 突然その場に、何かが風を切る音が響く。


 全ては、ユーリアが屋敷に一歩足を踏み入れた瞬間の出来事だった。



 司羽は風を切る音より速く、ユーリアを抱き寄せて横に飛んだ。ユーリアは、司羽のいきなりの行動に混乱し、抗議しようとしたが、同時に自分が元居た場所に振り下ろされた黒塗りの刀剣が視界に入り、今の一瞬で何が起こったのかを理解する。

 視界に入った二十代中盤に見える男。そしてその刀剣の使い手の男は、獲物を逃がした事を察すると直ぐに、そのままユーリア目掛けて横凪に剣を振るった。


「ひゃあっ!?」


「死ねっ!!」


「無礼な奴だ。」


 憤怒の形相でそう言った男に、司羽も短く言葉を返すと、司羽はユーリアを抱き寄せたまま、肉薄するその剣を手で掴み、剣ごと使い手の男を自分の前に引き寄せた。その時に男の表情が驚愕に歪んだのを見て、司羽は何となく笑ってしまった。太刀筋は中々の物だが、どうやら反撃されるなど思ってもいなかったらしい。甘い男だ。


「寝てろ。」


「が、はっ……!!」


ドサッ


 司羽が、自分の方に引き寄せた男の腹部に一発蹴りを入れると、男はたちまち意識を失い、剣を手離してその場に倒れ伏した。

 司羽はそのまま、倒れた男の頭に足を乗せて踏みにじる。そして周りに潜む気配へと目を向けた。


「隠れてる奴は動くなよ? 動いたらこの男の頭を踏み抜くからな。」


「えっ、なっ、何事ですか!?」


「おいリア声が……って、ここはリアの家だから良いのか。」


 リアが声を発している事に若干緊張した司羽だっだが、良く考えて見れば当たり前の事だと気付いた。そして一方で、眼の前で一瞬の内に起こった出来事に混乱していたリアは、司羽の足元で気絶している男に気付くと息を呑んだ。


「あ、アレン……なんで………。」


「それだけじゃないみたいだぜ? 俺達の後ろに3人、屋敷でこっちを警戒してるのが7人いる。仲間総出で歓迎とは………嬉しいじゃないか。」


「そんな……。」


 司羽はそういうと、それぞれの方向へ視線を走らせた。リアはそれを聞いて呆然となってしまったが、先に呆然状態になっていたユーリアが正気を取り戻すと、司羽の方へ頼りなさ気な視線を送った。


「つ、司羽様、これは………。」


「はあ……、俺達は待ち伏せされていたんだよ。この様子だとリアは知らなかったみたいだが……、一緒に付いて着て正解だったな。………おい、お前らもいい加減に出て来い。お前達の考えてたプランはもう実行不可能だ。この男がお前達の主力だったんだろう? 勝ち負けが分からないなら、俺が直接、分からせてやろうか?」


 ため息をつきながら、司羽が足元の男を見てそう言うと、奥の方から一人、また一人と姿を現した。気配を感じた通り、足元にいる男を含めて11人。全員が揃って姿を見せたので確認してみると、男に女、子供に大人、それ自体はまちまちだったが全員が警戒を解かずに司羽とユーリアを見つめていた。リアはその光景を見て硬直していたが、はっとなり我を取り戻すと、ローブのフードを脱いで全員を睨みつけた。


「貴方達、どういうつもりなのですか。この二人は私の客人ですよ?」


「……客人であろうと、それが過去の事であろうと、フィリア様へなされた無礼な行いを許すわけには参りません。あのユーリアとか言う女は、フィリア様を殺そうしたのですよ? それをこうも簡単に許すなど出来る訳がありません。そこの司羽とか言う男にしても、きっとその女に懐柔されたに違いありません。私達の総意は、御覧の通りです。」


 リアの強い視線を受けて数人が目線を逸らしたが、それに対して一人の女が前に進み出てそう言った。そしてそれを聞いて、司羽の腕の中で固まっていたユーリアが身を震るわせたのが分かった。正直そんな所だろうと予想をしていた司羽は、ただ嘆息するしかなかったが。

 そんな女を見て、リアは唇を噛み締めた。


「……私には何の事前報告もなしに行動したのです。私が反対すると分かっていたのでしょう? それでも尚、私の意志に逆らって尚、この方達を傷つけると言うのですか? 私の命の恩人と、その従者を。」


「フィリア様、私達は貴方の為を想って……。」


「お黙りなさいっ!!! 貴方達の今行ったその行為自体が、貴方達が言っている無礼な行い以外の何物でもないと分からないのですか!! 挙句の果てには司羽さんまで侮辱して、それを恥と知りなさいっ!!!」


「っ……!!」


 リアが一喝すると、女だけでなく周りの人間も震えあがった。後ろで見ていた司羽もリアが大声を出して怒った事に驚いてしまったくらいだ。そしてリアは、その一言に押し黙ってしまった自分の家族を見回すと、司羽とユーリアの方を振り向いて頭を下げた。


「本当に申し訳ございません。私の家族がとんでもない御無礼を……私が屋敷に招待したばかりに……。」


「俺は別になんとも思ってないよ。さっきの発言だって気にしちゃいない。元々リアは無関係だって分かってたし、ユーリアも怪我してないしな。」


「私も………自業自得ですから。皆さまのお怒りは当然の事だと思います。」


「ユーリアさん……。」


「責められるべき立場の私が、この様な事を言うのはおこがましいですけれど、私も父と母が殺された時には同じ気持ちになりました。それにあの時まで、本当は私だって貴方の事を、力があるのに父母の仇を討たない臆病者だと思っていたんです。だから、あまり皆さんの事を怒らないであげてください。大事な人が殺されそうになって、その当人が眼の前に居れば、誰だってそうなってしまいますから……。」


「……………。」


 リアがもう一度周りに視線を巡らせると、皆一様にバツが悪そうに目線を逸らしていた。自分達の当主であるリアに頭を下げさせてしまったのだから、当然と言えば当然だが。きっとそれだけでもないのだろう。司羽は警戒心よりもショックが大きいらしい面々を見て溜息をつくと、男の頭から足を退けた。


「おい、寝たフリはもういいぞ。」


「………バレていたのか。」


「あんたはまず何よりも殺気を消す事だな。そんなんじゃバレバレだ。剣の訓練では一番かも知れないが、そういう所も鍛えない限りは実践じゃ意味が無い。あっちの魔法使いらしい奴等にも言える事だけどな。」


「……フィリア様と同じくらいの年の奴に言われるとはな……。」


 司羽がそう言うと、男は一言だけそう言った後、立ち上がって他の皆の中に混じった。直ぐに11人の内で最年長らしき男性が近寄って、司羽が蹴りを入れた辺りを探り、治癒の魔法を掛ける。大分加減したので、骨もそこまで酷く折れていない筈だ。リアはそれを見届けると、もう一度ユーリアの方を向いた。


「ユーリアさん、私の家族が貴方を危険な目に遭わせたのは事実です。何かお詫びをさせていただけませんか?」


「………危険な目、ですか。」


「はい、なんでも構いません。私に出来る事なら、何かお詫びを………。」


「………いいえ、その必要はありません。」


 リアがそう言い掛けると、ユーリアはそれを遮る様に言った。そして、微笑みながら司羽の方を見た。


「私は今日一瞬たりとも危険な目になど遭ってはいませんよ? 私のご主人様は、私を危険な目に遭わせる様な方じゃありませんから。……そうですよね、司羽様?」


「……さぁ、まあ今回は運良く俺も一緒だったからな。」


「それならば、せめて司羽さんにだけでも……。」


「……いいえ、それはもっと不要です。寧ろ司羽様が私にお詫びをするべきだと思います。」


「え?」


 リアの言葉を再び遮って、今度はちょっと不機嫌そうにユーリアがそう言うと、今度は司羽を睨むようにしながら言った。リアはきょとんとしてその訳を聞いた。司羽はなんとなーく不穏な空気を感じ取って回れ右をしたくなったが、腕を掴むユーリアの手がそれを許さない。


「司羽様? さっき剣を避ける時に私の胸に触りましたよね? 思いっきり。」


「…………。」


「その後もずっと抱き締めてましたし。もちろん胸に手を当てたままで。」


「……いや、それは一種の不可抗力で………。」


 司羽も咄嗟にユーリアを掴んだ時に気が付いていたが、緊急時だし特に気にしていなかった。だがどうやらそれは司羽だけだったらしい。


「それでちょっとはドキドキしてくれるんなら、私も女として立つ瀬がありますが、無反応ってどういう事なんです? 司羽様は私に謝るべきです。」


「え、ええ……俺助けたのに……。」


「とにかく、司羽様にとって今回の件は役得だったんですから、お詫びなんて不要なんです。寧ろ貸し一つってやつです。ですよね、リア様?」


 ユーリアがそう言うと、司羽も諦めたように溜息をついた。貸し一つとやらで何を要求されるかは分からないが、そういう事なら甘んじて受けよう。それに実際触ったのも抱きしめたのも事実なんだし……。それにしてもユーリアの奴……、トワと同じくらいか、それとも………。


「……司羽様、変なこと考えてませんか?」


「い、いいや、何も?」


「ふっ、ふふふふっ………。」


 ユーリアと司羽のやり取りを見て、リアはクスクスと笑い始めた。リアが、フィリアとして素顔を晒しながら見せた笑顔はこれが初めてだ。それは、つい、それを見てつられて微笑んでしまう様な、綺麗な笑顔だった。


「司羽さん、ユーリアさん、私は改めて歓迎します。ようこそ我が屋敷に御出で下さいました。」


 フィリアの笑顔と会釈に迎えられながら、司羽とユーリアはそれに答えるようにまた、微笑むのだった。

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