第1話:森の中の遭遇
何か気付いた事がありましたら、作者のスキルアップの為にも評価感想をお待ちしております。
「うん、やっぱ旨いな、これ。」
司羽はそう言って何だか分からない動物の肉にかぶりつく。森の中に置き去りにされてから、もう三日目になろうとしている。
言われた通りにあの少女を捜そうにも名前すら分からないし、幾ら森を彷徨っても村や街にも出ない。そのせいか生きる為に食物を採るのにも慣れて来る始末だ。
しかしまさか、こんな良く判らない世界でサバイバルをする事になるとは思ってもいなかった。まぁ多少のスキルはあったが、それもいつまでも続ける訳にはいかないし、何か考えなければならないだろう。ちなみに、今食べているのは何だか兎の様な可愛らしい動物で、正直最初は何だか食べるのに抵抗があったが、今ではスッカリ主な食料になっている。
「ったく、何時までこんなサバイバルな事しなきゃならないんだ? 大体あれから人に会ってないぞ。本当に人がいるのか、ここは。」
何だか悲しくなってきた。あー、でも夢じゃないんだよな? 本当に現実っていつもいつも傍迷惑だよなぁ。と、司羽は何か達観した事を考えながら、食べた動物の骨を土の中に埋める。供養して罪悪感を紛らわさないとあのチワワ以上の攻撃力を持った瞳の力に耐え切れない。
「ごっそさん。さて、そろそろ行くか。」
確かに行く当てもないが、動かなければしょうがないし。もしかしたらそのうち町に出るかもしれない。司羽がそう思って立ち上がった、その時だった。
「きゃああああああっ!!!!!」
「……悲鳴?」
女の悲鳴、声色からするとまだ幼い感じだ。響きから判断して結構近くからのようだが……。
「熊か露出狂でも出たのか……?」
まぁどちらにしろ人がいて、助けを必要としているのだろう。そう考えるより先に、司羽は悲鳴の聞こえた方へ急いでいた。
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『グルルルル……。』
「なっ……そんな……魔力が足りないなんて……。」
普通の熊を更に巨大にした様な生物が、獲物を捕らえるように少女にジリジリと近寄った。
「駄目……やっぱり使えない………こんな、こんな事って………。」
『ガァァァァッ!!』
「っ……きゃああああああっ!!!!!!」
少女の悲鳴が森に響き渡る中、少女が諦めて眼を閉じた瞬間にその生物が少女に飛び掛かった。だがその時、真横から現れた影も同じように熊へと飛び掛かっていた。
「食料風情が人様を襲うなど、付け上がるなぁぁぁぁぁっ!!!」
『ガウッ!?』
ドゴッ!! ………ドサッ
飛びかかった影、司羽はその生物の顔面に躊躇いなく飛び蹴りを放つ。そして次の瞬間には、鈍い音と共に、熊っぽいその生き物は泡を吐いてその場に崩れ落ちていた。間一髪、だったようだ。
「………えっ?」
「なんとか間に合ったか。えっと……。」
司羽は少女の方を見て、暫く固まった。なんとそこにいたのはこの前の銀髪少女と同じく、凄い美少女だった。綺麗な金髪の長い髪に、今は驚きで丸くなっている大きく意思の強そうな碧い瞳。発育はまぁまぁだが、背がそれほど高く無いので、悪くはないはずだ。此処に来る際に見た、銀髪の子に似てる気もするが……もうちょっとやつれた感じがしたし、髪の色も……と、そこまで分析して、取り敢えず今は優先順位が違うと気付き、直ぐに少女へと駆け寄った。
「おい、大丈夫か?」
「……あ。」
「……怪我はないか? 俺が分かるか?」
司羽はスッカリ腰を抜かしているらしい少女に近寄り声をかけた。少女は今何が起こったのか分かっていないらしく、暫く呆然としていたが、司羽が声を掛けてきたのに気付くと我に戻った。
「あっ、え、えとっ……た、助けてくれてありがとう。怪我とかはないけど……でも、腰が抜けて立てない……かも。」
少女は、「あはは……。」と笑いながらそう言った。司羽はそんな少女を見て、少し考えた後、背を向けてしゃがんだ。自分も迷子みたいなものであるが、いくらなんでもこんな所に置いて行く訳にはいかない。さっきみたいな大型生物がまた出ないとも限らないし、何よりせっかく出会った人間なのだ。
「ほら、おぶってやるから乗りな。」
「えっ………いいの?」
「良いから早く乗れよ。立てないんじゃ、しょうがないだろ。それに、こいつは群れになってる場合があるしな、仲間が近くにいるかも知れないぞ。昨日もそんなの見たし。」
「確かに、そうだけど……。」
司羽がそう言うと、少女は熊を見て少し悩んだ後、怖々と背中に乗って来た。
「あ、ありがとう……。」
「どう致しまして。で、早速で悪いんだけど。少し聞きたい事があるんだ。」
そう切り出した司羽に、少女は首を傾げて司羽の言葉に耳を傾けた。
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「私の名前はルーン。この辺りに住んでるよ。聞いたことないかな? 魔法学関係なら、それなりに名前が知れてるんだけど。」
質問は一通り終わり、司羽は少女、ルーンとも大分打ち解けた。ルーンが言うには、ここの森は魔結界と磁力だかの関係で魔力の流れが見えない人が入ると、迷い続けて出られないらしい。それなりに危険な場所だが、ここでは良質の薬の材料が取れるらしく、ルーンは散策していた所を原生生物に襲われたと言う事だ。まぁ取り敢えずルーンが居れば森から出れる様なので、司羽はそのままルーンが住んでいると言う場所に行く事になった。
「それで? 魔法とやらが使えたりするのにあいつに襲われて泣いて居たと。」
「むっ……な、泣いてないよ。」
司羽はそう言って、訝し気にルーンの方を見た。魔法と言う物がどのような物かは判らないが、おそらく司羽がここに飛ばされたのもその魔法によるものだろうと推測できた。
しかし、ルーンの様な年齢の子がそんな凄い物をほいほい使えるのなら、あの魔法を手掛かりに銀髪少女を探すのはかなり困難じゃないだろうか。あの銀髪少女が抜きん出た魔法使いである事を祈るが……。
「仕方ないじゃん、魔力が足りなくなるなんて考えてなかったんだもん!! ……つまり、あれだよ、想定外ってやつだよ。計算段階では分からなかった事なの!! うん、仕方ない。」
「そんな学者特有の言い回しで、自分の準備不足を棚上げされてもなあ。」
「むーっ、むーっ!!」
話を聞く限りでは、魔力と言うのは常時少しずつ体に蓄積されるらしく、人によって溜め込める限界値があり、限界が大きい程回復もまた比例して速いらしい。ちなみにルーンの話ではこの森は地形の関係で魔力の回復が完全にではないが、あまり出来ないと言う事だ。あの野郎、なんつう危険な場所に連れて来やがった。実は、かなりヤバい状態だったんじゃないか? 人も全然こないし。何がゲームだ。殺す気じゃないか。
「あっ、でもさ、司羽が助けてくれたんだから何にも問題ないよね。運だって魔法使いの力の一部だって言われてるし。」
「……まぁ、俺も困ってたからな。おあいこって事にしよう。」
「うん、わかった。ありがとう、司羽♪」
ルーンは司羽の首に回した手でギュッと抱き付いて来た。なんと言うか、甘えられている、のだろうか? この数時間で随分と懐かれたようだ。前の世界じゃありえない感覚だ、皆避けて来るからなぁ………とは言え、過度なスキンシップはいけない、胸が当たってる、押し付けられてる。先ほどは多少失礼な感想を抱いてしまったが、実はそこそこある事が分かってしまう。
「あーはいはい、抱き付くな戯れつくな………それで、後どれ位で付くんだ?」
「あ、もうすぐだよ。ここまで出ると魔法磁力の効果もないしね、一安心だよ。」
ルーンがそう言った途端に森の奥から光がさした。それに気付いた司羽は、急いで光がさす方に向かう。すると、直ぐにある建造物が目の前に現れた。
「これはデカいな。豪邸だ。」
森を抜けた先にあったのは洋館な雰囲気の巨大な屋敷。正確には森の中の木が生えていない所に家が立っている感じだから、抜けたと言えるのかは疑問だが。
「うん、大きいよね。……独り暮らしには。」
「ん? 独り暮らししてるのか?」
そう言うとルーンは、言ってなかった? と返して来た。司羽には一瞬、ルーンが哀愁を帯びた眼をした様な気がしたが、それも一瞬。ルーンは直ぐに笑顔を見せた。
「取り敢えず入って、これ鍵ね。というより、私が歩けないからそうして貰うしかないんだけど。」
「……了解。」
ルーンが鍵を出して司羽が受け取る。鍵を開けて中に入ると、中も西洋風の作りになっている。流石に甲冑等は無かったが。かなり本格的なお屋敷だ。夜とか結構怖そうな感じがする。
「あ、直ぐそこの部屋だよ、リビングになってるから。」
ルーンに促されるままにリビングに入ると、そこもまた広い。取り敢えず、司羽はルーンをソファーに座らせた。何故か降りる時に少し渋られたが、無理矢理剥して座らせる。
「ああ、我が家だぁ〜。 何だかんだ言って、やっぱり我が家が一番落ち着くよねぇ。」
「なんか暫く家に帰って無かったサラリーマンみたいだな。」
「さらりーまん? んー、家政婦さんのこと?」
「あははっ、いや、まあ気にしないでくれ。」
ルーンが寝っころがりながら言ったのを、呆れながら司羽は見つめた。まぁでも、気持ちは判らないでもない。期待ばかりで居心地のあまり良くない家ではあったが、自分自身あの家にそう感じた事がないでもなかった。
「まぁ確かに落ち着く場所ではあったな。」
あれから三日間帰っていない地球の我が家を思い浮かべる。海外慣れしていて、此処の所の事情もあり、別にホームシックになってる訳じゃないけれど、読み途中の本とかの続きが凄い気になってくる。……なんだが、少しだけ帰りたくなってきた。
「あ、そう言えば司羽は何処に住んでるの? 森の事も知らなかったし、もしかして旅をしてるとか?」
「ああ俺は……この世界に来たばかりだからなぁ。」
一瞬言って良いのか迷ったが、情報を手に入れる為には必要なので、司羽はルーンに自分の此処に至るまでの事を簡単に話し出した。
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「白銀の長い髪の女の子かぁ。」
そう言ってルーンは、うーん、と考え込む。あんまり手応えがないな、やっぱりそう簡単に見つかりはしないか。
「ああ、何か知ってる事とかないか? 何でもいいんだ、そういう魔法について聞いたとかでも構わない。」
司羽が聞くとルーンは知らないと首を横に振る。まぁ、やっぱりと言った感じ。こんな簡単に見つかるなら誰も苦労しない。
「名前も分からないなんて幾らなんでも調べようもないしね。転移に関しては、私も結構詳しい方だと自負してるけど……そんな魔法、聞いた事ないし。」
「……そうか。せめて何かヒントが欲しかったなあ……。」
「…………あ。」
司羽が溜息をつくと、ルーンは何かを思いついた様に、ポンッと手を叩いた。気のせいかもだが、心無しか嬉しそうだ。
「でも違う世界から来たって言う事は、司羽は今は家無き子なの?」
「……そりゃあ、まあ。」
家無き子って……ニュアンスは気になったが、間違いじゃないので頷いておく。
「そっかそっか。ならさ、取り敢えずはここに住まない? ね、いいでしょ?」
嬉々として提案するルーンに司羽は少し考える。それは確かに魅力的な提案だ。だが先ずは一番大事な事から切り出そう。この無防備過ぎるルーンと言う少女に。
「俺は男だぞ?」
「見れば分かるよ?」
ルーンは意味が分からないと言う風に首を傾げる。即答で回答になってない返答をされた。
「お前には警戒心って物が無いのか……?」
「うーん、多分大丈夫だよ!! だって、襲うならさっきだって出来たでしょ? だから大丈夫。」
まるっきり安心し切っているルーンを見ていると、何だかこんな口論をするのも馬鹿らしく思えて来る。それに、足掛かりが必要なのは確かだ。自分はこのエーラについて何も知らないし。
「………じゃあ、厄介になろうかな。」
「うんうん、それが良いよ!!」
司羽の返答にルーンは嬉しそうにそう答えた。それから、居候記念パーティーと言う謎な名前のささやかなパーティーが開かれた。誰かと何かを祝い合う、それは司羽には久々の感覚だった。そしてなんとなく、本当になんとなくなのだが、この少女にとってもそれは同じ事である様な、そんな気がした。
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その夜。ルーンは寝静まり、一方司羽は慣れないベッドで寝れないでいた。司羽は今まで布団派だったので眠りにくいと言うのもあるが、取り合えずの寝床が確保出来た事で、この世界の事を考える余裕が出来たのが大きい。
「まぁ、取り敢えず寝床は確保か。次は街でも探すかな。」
司羽は天井を見ながらそう呟いた。今回は本当にラッキーだった。ルーンがいなければ、ずっとあの森に居続けなければいけなかったかもしれない。流石にそれは言い過ぎとしても、あの白銀の少女には一言言ってやりたい所だ。人をなんだと思っているのか。
「まぁ、今はあまり考えたくないな……流石に気疲れした。」
司羽が疲れから溜息をついた……その時だった。部屋に少女の声が響き渡る。
「何溜息なんかついてるのよ。もっと前向きにいきましょう? まだ始まったばかりなんだし。」
「っ……何……?」
急いで窓の外へ視線を向けると、そこに現われたのは、あの時の白銀の少女だった。いつの間に現れたのかと、司羽は息を飲んで少女を見つめた。相変わらず、何の気配も感じない。
「…………。」
「三日振りの再開ね?」
少女はにこっと笑った。儚げな風貌。自分より三十センチ以上は小さいであろう身長と、その夜に輝く髪がそれを引き立てる。いきなりの再開だったが、司羽は思ったよりも冷静にその少女を観察する事が出来た。
「あんたなぁ、名前も言わずにあんな森に俺を置去りにしやがって……。俺がサバイバルスキル持って無ければ死んでたぞ。」
司羽はまた溜息をついた。それを見て少女はクスッと笑った。もしかして心の中で死ねば良かったとか考えてないよな? 笑顔の奥で考えてそうで怖い。巷で噂のヤンデレってやつか? いや、デレる予定はなさそうだが。そんな事を考える余裕も持てていたが、少女の正体は相変わらず不明だ。
「私だってそうなったら助けるつもりだったわよ。でも貴方、何故か予想以上に強いんだもの。そっちの世界の人間って皆そうなの? あの森の魔物や動物って基本的に温和だけど凄く強いのよ? 貴方が良く食べてたウリュンって言うのも、あの森では最速だし。まさか足で追い付くなんて、化け物かと思ったわ。」
「やっぱりどっかから見てたのか? まぁ、確かに野兎とは比較にならないスピードだったな。だが、この世界の奴らだって魔法ってのを使えるんだろ? 俺はその変わりに幾つかの武術と……力が使える。それだけだ。それに俺は元々、あっちでも少し特殊な位置に居た人間だからな。」
「………もう一つ予想外。もう少し怒ると思ってた。」
少女は司羽の返答を聞いて、嬉しい様な、困惑した様な表情を浮かべた。少女の表情の意味は分からなかったが、まぁ、怒りたい事はある。勝手に連れて来た事とか、そのまま放っておいて監視していた事とか。
「あの兎っぽい動物にカルシウムでも大量に入ってるんじゃねぇの?」
「うーん、そうかもね? 私食べたことないから分からないわ。」
司羽がそう言っておどけると、少女は楽しそうににコロコロと笑った。だがまだ司羽には聞いて置きたい事があった。
「それで、何で俺をここに? あんたは何がしたいんだ? 漫画でも魔王を倒せ、とかじゃなくて自分を捜せなんて聞いた事ないぞ。」
司羽の問いに少女は薄く笑う。少し自嘲する様な、寂しそうな、そんな笑み。
「さぁね、でもこうする事は決めてた。そこで何で貴方を選んだのかは分からない、ただ……私は……。」
そこで少女は言い淀んだ。まるで自分で何を言いだしているのか分からないと言う様に。
「……まぁ、これからは好きにしたら良いと思うよ? 此所で暮らすも私を捜すも貴方次第。名前はやっぱり貴方が調べる事になるけどね?」
少女はまたクスッっと笑って言った。それに、司羽は溜息をついて返した。全く意図が読めない、何をしたいのだろうか。
「教えてくれないって訳か。まぁ、分かってたけどな。じゃあ、後一つだけ。」
「ん、何? スリーサイズとか?」
「それもどうせ教えないだろ? 大体知ってた所でどうしろと……。」
「ほら、男の子なんだし私の裸が想像しやすく……。」
「いらんわっ!!」
少女のおどけた発言に突っ込みを入れながら、司羽は一度落ち着いて、自分の発言を仕切り直した。
「ったく……取り敢えず、人と話す時はちゃんと目の前に来い。君の魔法で作り出した幻影か何かなのか知らないけど、何か気持ち悪いんだよ。」
「…………何で分かったの……?」
一瞬の変化だった。今度は少女が警戒心を剥き出しにしながら一歩後ろへと下がる。どうやら今ので完全に危険人物判定を受けたらしい。その反応はこっちがしたいくらいだったが。
「おかしいと思ったんだよ、気配がないし、全く質量が感じられない。魔法の話を聞いてたから、それを使ったんじゃないかと思ってさ。恐らく監視もそうやってしたんだろ?」
「……迂闊に出ないで良かったぁ、最悪気配を覚えられる所だった。本当、何者なのよ。」
少女があからさまに緊張してそう言った。司羽としては言わない方が良かったのだが、やはり人形と話をしている様で嫌な気分になるし、まぁ、向こうも何も言わなくてもそのくらいの警戒はしてくるだろう。
「ま、それだけだ。取り合えず、君を見付けるまではこの世界を堪能するつもりだ。」
「……もっとあたふたすると思ったのに、何か完全に順応されたみたいね。」
「ははっ、これでも現代っ子だからな。」
「……何それ? まぁいいや。今日はここまでにしておくわ。それじゃあね。」
少女はそう言うと、司羽の前からフッと消えた。
「うーん、便利だな魔法。俺も覚えられたりするのかな。」
手から炎を出す俺、悪魔を召喚する俺、何か中ニな台詞を言いながら魔物と戦う俺。うーん親父と違って戦闘狂なわけじゃないけど、こう、来るものがある。武術や気を使って殴り合うよりは良いだろう。格好いい。
「……小説の中に迷い込んだみたいだな。」
司羽はそう思いながら、改めて知らない場所に来たのだと言うの事を感じるのだった。夜は、ゆっくりと深けていった。