第十八話 化け物じみている隠れた怪物
カミラは胸元から、僕が渡したペンチを取り出した。
それを見た奴は、大声で「やめてー!!」と叫んでいるように聞こえた。
奴を見て、カミラは狂気じみた笑みを浮かべていた。
カミラの表情を見て、僕は思った。
君も立派なサイコパスじゃないか……。
「エヘヘヘヘヘヘ……! ねぇ! 口の悪い奴隷! 今どんな気持ちか私に教えて!」
奴は慌てふためきながら大声で言っているが、なんて言っているのか僕にはよく聞き取れない。
「ふーん。そうなんだ~……。なんて言ってんのか全然分かんな~い!」
そう言いながらカミラは、ペンチで奴の上の前歯を掴み、引き抜いた。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
奴の引き抜かれた箇所からは、大量の鮮血が吹き出していて、奴の口の中にその鮮血が溜まっていくのを見て、僕は思う。
うわ~、めっちゃ痛そ~! ……だけど、君たちが僕の計画通りに進んでくれたおかげで、僕は今、めっちゃ愉しい!!
奴は前歯をペンチで引き抜かれて、涙目になりながらカミラに、なんて言っているのかは聞き取れないが、多分謝っているんだと思う。
しかし、今のカミラは立派なサイコパスだから……奴が謝っているのを見て、カミラは狂気じみた笑いをした。
「アハッ! アハハハハ! アーハハハハハハハハ……!! ねぇ、分かるでしょ? 恐怖と痛みで感情がぐちゃぐちゃになるのが……! 模擬戦の時、あんたは私を同じ目に遭わせた……! いいや、あんたよりももっとひどい目に遭ったわ! ……そうよ。私と比べれば、あんたは全然壊れてないわ……。アハハハハハハハ……! だから……私と同じ目に遭わせてあげる!!」
カミラの言葉を聞いた奴は、パニックになって大声で叫び出した。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
カミラは狂気じみた笑みを浮かべながら、大声で叫んでいる奴の上の前歯をペンチで掴み、引き抜いた。
奴は足をバタバタさせながら、痛くて大声で叫んでいる。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
「アハハハハハハ……!」
僕は満面の笑みを浮かべて、奴らの光景を眺めていた。
いや~! 女の子って恐ろし~! あのカミラが、こんなにもサイコパスで……隠れた怪物だったとはね~! 入学式の時、学園長も言ってたけど……やっぱりこの学園は、すべてが狂ってる!
「は~い! それじゃあ3本目の前歯、引き抜くわよ~! アハッ! アハハハハハハ……!」
奴は顔を真っ赤にして、激しい息遣いをしながら泣き叫んでいる。
カミラは奴の下の前歯をペンチで掴んで引き抜いた。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
「あっ、そうだ!」
そう言うとカミラは、胸元からもう1つ同じペンチを取り出した。
カミラは取り出したペンチを見つめると、突然笑い出した。
「アハッ! アハハハハ……! 次は、2本の前歯を同時に抜いてみようかしら!! アハハハハハハハ……!」
奴はずっと顔を真っ赤にして、激しい息遣いをしながら泣き叫んでいる。
カミラは両手にペンチを持ち、奴の下の前歯2本をペンチで掴んで、同時に引き抜いた。
「アハハハハハハ! アーハハハハハハハハ……!」
狂気じみた笑いをしているカミラを見て、奴は多分こう呟いた。
――化け物、と。
奴隷の君だって、女の子のゲロを舐める変態化け物だと思うけど……。だけど、今のカミラが奴よりも化け物じみていることは確かだ。
奴は、上の前歯2本と下の前歯3本をペンチで抜かれて、気を失いそうになっていた。
僕は奴に声をかける。
「奴隷く~ん! 今から僕とゲームをしよう!」
「あえ……?」
「もし、君がこのゲームに勝ったら……僕とカミラは、この学園を明日までに自主退学して、君を奴隷から解放してあげる!」
「!?」
「いいよね! カミラ……?」
「ええ……あんたがそのゲームに勝てたら、私は明日、自主退学してやるわ……!」
「その代わりもし、君がこのゲームで負けてしまったら……今まで通り、学園を卒業するまで僕の奴隷になる……プラス! 明日から毎日、僕とカミラから厳しい躾けをされる……! さあ! 選びたまえ! 僕たちとゲームをするか! しないか!」
奴は眉を寄せて目を閉じ、考えている。
まっ、奴が僕たちとゲームをするとして……いや、絶対に僕たちとゲームをするを選ばざるを得ないんだけど……。奴が僕たちとのゲームで勝てる確率は、0%だけどね……! そう! つまり、奴にとって俺たちとのゲームは、負け確ってわけ! それに……計画通りに奴を誘導できてる!
「あ……ある。あります……」
「やるってことでOK?」
「あい……」
「OK! それじゃあ、ゲームの説明をするよ! これから行うゲームは、『辛抱ゲーム!』奴隷くんは今、上の前歯2本と下の前歯3本を抜かれてるよね! 人間の前歯は、上と下を合わせて8本ある。奴隷くんの前歯は残り3本……」
僕はニッと笑い、奴に続けてゲームの説明をする。
「この残り3本の前歯をカミラがペンチで抜いたとき、奴隷くんが気絶せずに辛抱していたら、辛抱ゲームの勝者は君だ! 逆に奴隷くんが、3本の前歯をペンチで抜かれるまでに降参する……もしくは、残り3本の前歯をペンチで抜いたとき、奴隷くんが辛抱できずに気絶していたら……君は辛抱ゲームの敗者になり、さっきも言ったけど、今まで通り、学園を卒業するまで僕の奴隷になって、明日から毎日、僕とカミラから厳しい躾けをされるからね……! 辛抱ゲームの説明は、これで以上だよ! それじゃあ早速、辛抱ゲームを始めようか!」
奴は激しい息遣いをしている。
僕は満面の笑みで辛抱ゲーム開始の合図をする。
「辛抱ゲーム……スタート~!」
するとカミラは、いきなり奴の上の前歯をペンチで掴んで引き抜いた。
「えっ……!?」
突然の出来事に奴は動揺し、少し間が空いてから奴は、痛みを感じて泣き叫んだ。
「あ……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
カミラは続けて奴の下の前歯をペンチで掴み、引き抜いた。
奴は痛みを感じて泣き叫び、まだ気絶せずに辛抱しているが、明らかに先程とは様子が違い、虚ろな目をしている。
僕は奴に声をかける。
「奴隷くん! すごいね~! 次、上の前歯をペンチで抜いて、気絶せずに辛抱していたら君の勝ちだ……!」
「お……おれ……かち……」
「ヤバイね~! カミラ! このままだと僕たち負けちゃうよ~! あ~、ヤダな~! 僕まだこの学園でやることとやりたいことがあるんだけどな~!」
僕はわざと大きなため息をつく。
「悲しいな~……悔しいな~……!」
「リーヴ・レクトル、それで茶番はおしまい?」
「うん!」
「えっ……?」
「奴隷くん! この辛抱ゲームで君が勝つ確率は、0%なんだ!」
「えっ……!?」
「奴隷くんは、負け確のゲームを――」
僕が話している途中で、カミラが奴の上の前歯をペンチで掴んで引き抜いた。
「あ゛……あ゛あ゛……」
「あ~! ちょっとカミラ! 僕まだ奴隷くんと話してたんだけど……!」
「長い……。それにもう私、眠いから……。ほら、リーヴ・レクトル……」
「ん?」
奴を見ると、白目を向いて気絶していた。
「うん。気絶してるね……」
「計画通り、ゲームは私たちの勝ちだから、あとは明日を待つだけよ。ということでリーヴ・レクトル……私、もう眠いから寮に戻るわ。後片付けよろしくね~」
「あっ……ちょ……」
カミラは引き戸を開けて、空き教室から去っていってしまった。
僕は大きなため息をついてこう思う。
――あいつ、人格が変わったな~……と。
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