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第十七話 飼い主と奴隷

 その後、セリナは何事もなかったかのように「リーヴ、食堂に行くわよ……」と言って、僕を食事に誘い、僕は「しょ……承知しました。お嬢様……」と、セリナからの食事の誘いを承諾し、寮の中にある食堂で、僕はセリナと夕食をとった。


 ――そして現在。

 僕はカミラに『先に()()()()に行ってて』と伝え……とある人物の部屋の前で立っていた。


「楽しみだな~……!」


 僕は笑みを浮かべながら、部屋の扉をノックした。


「…………ガチャ!」


 扉を開けたリアヌ()は、僕を一目見ると、青ざめた顔で小刻みに身を震わせていた。


「なな、ななな……なんですか?」

「おっ! しっかり敬語を使ってる! 偉いね~! ()()()()()()……!」


 そう言って僕は、奴の頭を撫でた。


「ヒッ……!?」

「そんなに怖がらないでよ~! ただ頭を撫でただけじゃ~ん! あっ、でもそっか! 君が僕の奴隷として学園生活を送れるのは()()()()だから、君の頭を撫でれるのは今日限りだね!」 

「えっ……?! ど……どういうことですか!?」

「アハハハハハハハハ……! 奴隷くん、僕についてきて!」

「えっ……!? 今からどこに……?」


 僕は眉根を寄せて奴に言う。


「うるさいなぁ……。君は奴隷なんだから、黙って飼い主()の命令に従えよ……」


 奴は顔面蒼白になりながら、唾を飲んだ。


「は……はい……」


 僕は満面の笑みを浮かべて、奴に言う。


「それじゃあ、ついてきて……!」


 僕は奴を連れて、空き教室に向かった。




★ ★ ★ ★




「入って……!」

「こ、ここここ……ここって……!?」


 僕についてきているときは、奴は顔面蒼白で小刻みに身を震わせていたが、空き教室に着くと、奴はパニックになって冷や汗までかき始めた。


「リ、リリリ、リリ……リーヴさん! こ、こここ、こん中に入って……な、なななな、何を……!?」


 奴がパニックになっている顔を見て、僕は笑いを噛み殺した。


 めっちゃパニクってる……!


 僕はわざと眉根を寄せて奴に言う。


「あれ~? 奴隷くん……僕がさっき言ったこと、もう忘れちゃった?」

「えっ……!? あっ……いや……」


 僕はパニックになっている奴を見て、こう思ってしまった。


 ――もっとパニックにさせたら面白そうだ!


 僕は不適な笑みを浮かべて、奴にわざと大きな声で言う。


「奴隷くんさ~! 僕がさっき言ったことを忘れたか忘れてないか聞いてんだけど……!」

「す……すいません!」

「はっ……?」

「えっ……?」

「僕今、奴隷くんに謝ってほしいって言った?」

「えっ……いや……言ってないです」

「じゃあなんで謝ったの?」

「えっと……それは……その……」


 僕はわざと大きなため息をつき、激しく足を踏み鳴らしながら奴に言う。


「あ~もう! マジ腹立つなぁ!!」


 僕はわざと頭をかいて、奴にイライラをアピールする。


「ごごご、ごめんなさい……! あっ、また謝っちまった!? な……なんでまた謝ってんだよ!? 俺……!? リ、リリリ、リーヴさん! 本当にわざと謝ったわけではな――」


 僕はわざと奴の左頬を右拳で殴った。


「ドゴッ!」

「ガッ……!?」


 奴はよろけると、殴られた頬を手で押さえ、小刻みに身を震わせながら下を向いている。

 僕は奴の前に立って呟く。


「あんまり僕をイライラさせないでくれよ……。奴隷くん……」

「は……はい……」


 僕は奴の肩に手を置き、不気味な笑みを浮かべてこう言った。


「これ以上僕をイライラさせたら、動けない体にさせちゃうよ……!」

「き、ききき、きき……気をつけます」


 僕は奴の肩から手を離す。


「とりあえず入ろうか! 奴隷くん……!」


 奴は唾を飲んで、僕の言う通りにした。

 僕は空き教室の引き戸を開けて、奴を先に入れさせ、引き戸をロックした。

 空き教室に入った奴は、机に座っていたカミラを見て、思わず声を出した。


「なんで……!?」


 僕は口元を手で隠して、ニヤニヤ笑う。


 これは……十分に愉しめそうだ!


 カミラは机から立ち上がり、奴に話しかけた。


「リーヴ・レクトルに【決闘申請】で無様に負けて、奴隷になった気分はどう……?」

「う……うるせぇ!」


 ……()()()! 僕の()()()()()()だったでしょ! カミラ……! あとは、()()()()に……!


 僕はカミラにアイコンタクトを送った。

 カミラは僕のアイコンタクトに気づき、計画通りに進める。


「ねぇ、リーヴ・レクトル。あんたの奴隷、口が悪すぎるわ。しっかり(しつ)けてんの?」

「ちゃんと躾けてはいるけど……少し甘かったかな~?」

「こんなにも口の悪い奴隷には、もっと厳しく躾けないとダメよ」

「厳しく躾けるって言われてもな~……どうやって躾ければいいの?」

「うーん。そうねぇ……あんた、仰向けになりなさいよ」

「は……はあ!? 誰がお前なんかの命令に従――」

「リーヴ・レクトル……」


 僕は背後から奴の肩を軽く叩いた。


「ヒッ……!!」

「奴隷くん、これは僕からの命令だ。仰向けになって……!」

「で……でも……」

「まさか、奴隷が飼い主の命令に背いたりしないわよね!?」

「この……クッ……!」


 僕は(ひそ)かに奴の表情を(うかが)うと、奴は額に青筋を浮かべて、目を吊り上げながら唇を噛み締めていた。

 僕は奴の表情を見て、笑いを噛み殺す。

 奴はしぶしぶその場で仰向けになった。

 カミラは奴が仰向けになっている姿を見て、鼻で笑った。


「リーヴ・レクトル、手伝いなさい」

「は~い……! んで、何をすればいいの?」

「この奴隷が()()()()()()()()()しておいて」

「OK……!」


 奴は怯えた声でこう言った。


「は……はあ? 口を閉じないようにって……?」


 僕は奴の頭上に移動し、奴が口を閉じないように上顎と下顎を手で押さえた。

 すると奴はパニック状態になって、僕に何かを言っているが、何を言っているのかよく聞き取れず、僕は適当に返事をした。

 カミラは奴の上に馬乗りになって、奴の両腕を足で踏みつけた。


 カミラは不適な笑みを浮かべて、僕にこう言った。


「リーヴ・レクトル、よく見てなさい。口の悪い奴隷には……こうやって厳しく躾けるの――!」 


 怯えた表情をしている奴と、不適な笑みを浮かべているカミラを見て、僕は口角を上げてニヤニヤしながらこう思う。


 ――さあ、君たち……僕を愉しませてくれ!

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