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第十五話 リーヴ・レクトルVSリアヌ・ディヴィス(前編)

 ――放課後


 闘技場の観客席にはたくさんの生徒が、僕対リアヌの【決闘申請】を見に来ていた。


「ほぼ満席じゃ~ん……」

「リーヴ!」


 名前を呼ばれた方を向くと、観客席に座っているセリナが、僕にガッツポーズをしてきた。

 僕はセリナにガッツポーズで返し、奴の方を向くと……奴は突然、笑い出した。


「イヒッ! イヒヒヒヒ! イーヒヒヒヒヒヒヒヒ……! 決~めた。リ~ヴ・レクトル~、【決闘申請】で俺が勝ったら~……お前~、退学な~! イーヒヒヒヒヒヒヒ……!」


 バ~カ。退学するのはお前だよ……リアヌ。


 僕は不適な笑みを浮かべる。 


「OK! じゃあ、僕が勝ったら……学園を卒業するまで君、()()()()()……!」

「イーヒヒヒヒヒヒヒヒ……! 奴隷……奴隷か~。イヒッ! イヒヒヒヒヒ……!」

「笑っていられるのは今だけだよ……」

「はあ?」

「……ブッ……ブハハハハハハ! アーハハハハハハハハ……! 君、僕のことを甘く見すぎ~! だけど……まあ、いっか! 勝つのは僕だし……!」

「イヒヒヒヒヒ! イーヒヒヒヒヒヒヒヒ……! リ~ヴ・レクトル~、お前ごときにこの俺が負けるなんて……100%ありえねぇよ!」


 奴の言葉を聞いた僕は、満面の笑みで奴に言い返す。


「へぇ~、そうなんだ……。僕からしてみれば、僕が君ごときに負けるなんて……100%ありえないけどね~!」


 僕がそう言うと、奴は鼻で笑った。


「しんぱ~ん。試合の合図~……」


 審判の男子生徒が、僕に問いかける。


「リーヴ・レクトル、準備はよろしいですか?」

「いつでもOKで~す!」

「……それでは、リーヴ・レクトル対リアヌ・ディヴィスの【決闘申請】を開始します。……決闘開始!」


 セリナには、あいつが異能力を発動する前に倒すか、異能力を発動させる隙を与えないって言ったけど……それじゃあ全然楽しくないな~。う~ん……。一瞬で奴を倒すわけにもいかないし……どうすれば奴との【決闘申請】を楽しめるかな~?


 【決闘申請】が開始されてからわずか2秒で、僕は奴との【決闘申請】を楽しめる方法を思いつき、不適な笑みを浮かべた。


「アハハッ……!」

「リーヴ……?」

「おいおい。かかってこねぇのか~!? リ~ヴ・レクトル~!」


 セリナには嘘をついたけど、以前行われた奴対カミラの模擬戦を見た時に、僕は奴の異能力を(おおむ)ね理解していた。 

 あの時、奴は模擬戦が始まっても一歩も動かずに、木に向かって攻撃をしたり、話したりしていたカミラのことを見て嘲笑していた。カミラは模擬戦が始まった直後に、木の方を向いて話していた。……奴は模擬戦が始まった瞬間、異能力を発動し、カミラに()()()()()()()()を見せていたのだろう。


 だから僕は、奴との【決闘申請】が始まる前から(すで)に、異能力《能力(アビリティー・)無効(インヴァリッド)》を発動していた。


 【決闘申請】が始まった瞬間、奴は異能力を発動しただろうが、僕の2つ目の異能力《能力無効》は、相手の異能力を無効にする能力だから……実は今、僕は幻覚のようなものを見ていない。だけど奴は、まさか僕が異能力を無効にする能力を持っているなんて、想定していないだろう。


 だから僕は――。


「《身体上昇(ライズ)》」

「イヒッ……!」


 僕は、()()()《能力無効》を解いて、奴の異能力を確認する。


「なるほどね~……」


 僕は奴の異能力を完璧に理解した。

 どうやら奴の異能力は、幻覚を見せる能力ではなかったようだ。だけど……まあ、幻覚を見せているのとほぼ変わらないけどね。

 だって、奴の異能力は――()()()()()()()()()なんだから……。


 今、僕の目に写っているのは、観客席で僕らの決闘を見ている生徒、審判の男子生徒、そして……()()()()()()()()()()()()()()奴だ。


 僕は小さく呟く。


「《能力無効》」


 《能力無効》を発動すると、奴は闘技場の壁なんかに寄りかかってなどいない。奴はその場から一歩も動かずに、僕を見てニヤニヤしていた。


 僕は奴の表情を確認し、不適な笑みを浮かべた。


 やっぱり奴は、僕が誤認識をしていると思ってる。……良かった~! 安心して奴との【決闘申請】を楽しめそうだ!


 僕は《能力無効》を解き、神速並みの速さで誤認識で見えている奴に向かい、右拳で奴の顔面を殴った。

 

「ガハッ……!?」


 僕に顔面を殴られた奴は、勢いよく吹き飛び、地面に倒れた。

 僕は地面に倒れている奴に近づき、わざと挑発する。


「君がかかってこいって言うから、攻撃したけど……君、僕にやられてんじゃん! 【決闘申請】が始まる前に君、僕に言ったよね! お前ごときにこの俺が負けるなんて、100%ありえねぇよって……! ほら! 倒れてないで早く立ちなよ! 僕なんかに負けるのは100%ありえないんでしょ! まさかこのまま僕に負けたりしないよね!?」


 観客席で僕らの【決闘申請】を見ている生徒は、みんな思ってんだろうな~。なんであいつ、闘技場の壁を殴って、地面と話してんだ? ってね……。

 さてと、この光景を見ているセリナは、一体どんな反応をしてるかな~? 


 僕は《能力無効》を発動する。


「何してんのよ! リーヴ! 目を覚ましなさいよ!」

「イヒッ! イヒヒヒヒヒ! イヒヒヒヒヒヒヒヒ……!」


 あぁ……なんて素晴らしいんだ! 

 僕が思い描いた通りじゃないか……!

 ……最高だ~! 実に、愉快な気分だ!

 

 僕は深呼吸をして、少し落ち着く。

 なるほど~。奴の異能力は誤認識をさせるだけではなく、外部の音を一切遮断して、幻聴を聞かせていたのか~。だから、僕が誤認識をしていたとき、セリナは僕に何も言わなかったんだ……。


 つまり、奴の異能力は――誤認識をさせる能力と外部の音を一切遮断して、幻聴を聞かせる能力で、奴は僕やチェイス(あいつ)と同じ、()()()()()()()()ってわけか~……。確かにこれだけ強力な異能力を2つも所持していたら、並の生徒じゃ、奴を倒すのは絶対に不可能だろうね。……そう。並の生徒ならね……。僕やチェイス(あいつ)のような異能力複数所持者や、奴よりも強力な異能力を所持している異能力者が相手なら、奴を倒すのは()()だ……。というか、余裕で倒せるだろう。


 僕は不適な笑みを浮かべ、《能力無効》を解いた。


 ――さ~てと、続きを始めようか……!

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