表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

十三夜

作者: 逢乃 雫

星明かりの下で


待宵草を


探したあの日



星月夜から


十三の夜を数えて



薄雲の彼方に浮かぶ


美しき空の鏡



そこに


映るものを見つめて




それは海


満ちては引いて


引いては満ちていく


さゆらぐ人の心のように



それは光


太陽から浴びた


光が空へと反射して


水面(みなも)に浮かぶ夕映えのように



それは自分


何か足りないと


この手を伸ばし続ける


今宵の空に輝く月のように




十三夜


満月に向かって、時を重ねて



やさしさは


寄せては返す波のように



いつか誰かの砂浜に届き


また自分へと


還る波となるから



 

十三夜


たとえ今、満月でなくても



闇夜にやわらかに寄り添う


月の光があるように



時に不安や恐れに囲まれ


昏くなった心の中でも



夢や情熱の煌めきが


誰かの想いの灯火が


言葉が持つ光が


照らしてくれる道を




十三夜


まだ満ちていない、未完の月



二夜目の満月が


ないように



いつも完璧な人も


いないから



足りない自分


弱い自分も愛せたら



もっとやさしく強く


もっと自分らしく


なれると信じて




十三夜


満月より、なお美しく



足りないのではなくて


欠けているのではなくて



それがきっと


生きているということ


かもしれない



満ちゆく時には


生きる喜びを



影をつくる時には


生きるその意味を



月は


教えてくれるから



それは空の鏡


そして心の鏡



そこに映る自分を


見つめる十三夜













10月8日の今夜は、中秋の名月(十五夜の満月)に次いで、あるいはそれと同じくらい月が美しいとされる、「十三夜」です。満月より少し欠けたこの月を、風流として大切にしてきた古の人々の心を感じます。お読みいただき、ありがとうございます。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
>満月より、なお美しく >10月8日 完全に見逃してしまいました…… 来年、見ます。
2024/10/26 10:59 退会済み
管理
すごいです! > やさしさは寄せては返す波のように 月の満ち欠けは星の回転によります。波は水の回転運動の移動です。あらゆる周期は回転や波に似ていますね。周期があるから、私たちは時間を感じ、私たち自身の…
 夜空に浮かぶ心の鏡、少し歪にまん丸ではない辺りに人らしさも感じられ、完璧を求めるよりも大切な事を教えてもらえる大いなる魅力を眺め観る…☆  心を映すように月に投影されるは地球の影ですものね…☆
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ