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華言葉の呪い -Freya-  作者: 衣吹
華言葉のある日
16/24

エルダーナ復興大作戦4

もうすぐ2000pv行きます!とても嬉しいです!皆さんいつもありがとうございます!

 エルダーナの冬の朝はとても冷える。ヘレーナは朝日が昇るとともに目覚めたが、毛布の外が寒すぎてなかなか出られない。意を決して毛布からでた後は魔導士のドレスに着替え、伸びをした。少し動き始めると身体も温まってきた。他の男たちはまだ眠っているようだ。炎を灯し、水を沸騰させる。調合したハーブに熱いお湯を注げばすぐに葉が開き、色づく。温かいお茶を蒸らしている間に、赤子の様子を見に行くことにした。赤子が眠っているゆりかごの傍ではイレネーとレオンがまだ眠っていた。イレネーはヘレーナの気配に気が付き、目を覚ました。


ヘレーナ「おはよう。ごめん、起こしちゃった?」


イレネー「おはよう、こちらこそ寝坊してしまった。起きろ、レオン。」


ヘレーナ「お茶入れてるけど、飲む?」


イレネー「ぜひ、ありがとう。朝は冷えるな。」


 ヘレーナはそうだねと同意した後、昨夜アブニールと名付けられた赤子の顔を見た。へレーナに気が付いたのかアブニールも目を覚まし、大声で泣き始めた。へレーナはよしよしと赤子を抱き上げ、あやしている。その声でやっとレオンも起きた。


へレーナ「あら、元気いっぱいね。体洗ってあげるわ。ねぇ、この子名前は付けたの?」


イレネー「あぁ、とりあえずアブニールと名付けた。今日この子を神の国へ連れて行ってくれるか。もし、この子を探す者がいたらすぐに伝える。」


ヘレーナ「分かった。アブニール、お姉ちゃんとこっち行こうね~。」


レオン「眠いな……。」


イレネー「そうだな。……たまには朝食を作るか。しっかり働いてもらうわけだからな。レオン、お前も手伝え。」


レオン「え〜。何作るんだよ、朝飯ってパンしか食べたことないんだけどな。」


イレネー「スープ位は欲しいだろう。朝だしポトウでも作るか。」


レオン「ポトウなら切って煮込むだけだから簡単か。まぁいいや、手伝ってやるよ。……いつか時間があったら、カスエが食べたいな。」


イレネー「あぁ……、それは名案だな。それに、もうすぐ新年だ。サナの店のガレットデロウは食べてみたかったな。」


レオン「あぁ、お前あれ好きだったな。一年に一回なのが惜しいっていつも言ってたし。サナって、あれか。パン屋の娘か。」


イレネー「そう。やっと、店を持てたのにな。」


 イレネーとレオンは顔を洗ったあと、ヘレーナに食材を出してもらった。ヘレーナはアブニールに新しい服を魔法であれこれ着せ替えている。お茶入ってるから飲んでと言われ、一杯ずつもらった。アルベルトたちはまだ眠っているようだ。芋や玉ねぎの野菜を刻み、大きな鍋へいれていく。そこにたっぷりの水を入れて火にかけていく。じっくりと煮込んでいくうちにいい匂いが漂ってきた。まだ煮上がるには時間がかかりそうなため、この間にパンも切っておくことにする。アルベルトの手下たちの分も合わせると、かなりの量になった。やがてアルベルトとその手下たちも匂いにつられて起きてきた。最後に塩と胡椒で味を整えれば完成だ。一人ひとりにポトウとパンを渡していく。


ヘレーナ「美味しい!凄く優しい味だわ!」


イレネー「口にあったなら良かった。エルダーナの家庭料理の定番でね。王宮でも、兵士は良く食べていたな。」


レオン「毎日毎日食ってると飽きるけどな。久しぶりに食べると美味い。」


イレネー「アルベルト、食べないのか?」


アルベルト「俺は朝食わん。」


レオン「なんで。」


アルベルト「な、なんでって言われてもな。俺はまぁ、パンだけでいい。」


ヘレーナ「ガスト国の朝ごはんは何を食べるの?」


アルベルト「そうだな……。エルダーナとガストは隣国だ。それほど文化に大きな変わりはない。料理はかなり違うが、ガストも朝はエルダーナと同じパンとコーヒーだな。」


レオン「俺ガストの料理は結構好きだぞ。そうだ、今度お前らが料理してくれよ。」


アルベルト「お前らは、なぜそれほど我々を警戒しない?毒でも混ぜたらどうする。」


イレネー「それはないだろうな。7年もここで私を倒すために留まった人間が、毒なんて姑息な手を使うとは思えない。手下の彼らは、私達に何の恨みもない。彼らはガストの人間だけではないからな。殺す理由もないだろう。ま、料理はレオンの戯言だ。気にしないでくれ。」


 朝食を終えた後、また街の片づけを進めていく。瓦礫はある程度片付いているが、まだまだ街には足場のない場所も多い。引き続き、瓦礫の片づけがしばらくの課題だった。手下たちが仕事についたころ、ヘレーナは神の国へ戻るための身支度をしている。ヘレーナが持っていた食料は元に戻し、城の厨房だった場所に置いておいた。


ヘレーナ「じゃあ、私もう行くね。今帰れば昼頃だし。」


イレネー「あぁ、ありがとう。アブニールを頼む。本当に、なんと礼を言っていいか。また、手が空いたら見に来てくれ。少しでも、見せられるものを用意できるようにする。」


ヘレーナ「いいのいいの!イレネーが見つけてくれたから、この子を助けられたんじゃない。名前も持たないまま、この子だって死んじゃうところだった。神の国ならみんながいるから大丈夫よ。きっと誰かしらは手が空いてるわ。皆でお世話する。」


レオン「お前がいないと、ここは一触即発になりそうだな。対応を悪くしてるわけじゃないが、まあプライドがな。」


ヘレーナ「う~ん。アルベルトはきっと大変だよね。イレネーも、レオンも、私も、全部信頼できるわけじゃないし。本当に情けで生かされてるって気持ちなのかもね。手下の皆は心を開いてきてくれてるけど、アルベルトはそう簡単にはいかないもの。」


イレネー「そうだな。事実、アルベルトを全て信じてるわけではないのは、私もレオンも同じなんだ。信じていない相手に、信じろとは言えないな。」


ヘレーナ「少しずつでいいのよ。イレネーとレオンは歩み寄ろうとしてるし、ここの復興と一緒にゆっくりでいいんじゃない?」


レオン「そうだな、まぁ何とかするさ。お前はさっさと帰れ。」


 ヘレーナはムッと口をへの字に曲げてレオンを睨みつけた。すぐに顔を背けて歩きながら魔法を使う。


ヘレーナ「もうちょっと言い方ないの?素直に応援も出来ないじゃない!じゃあね!!」


 ヘレーナの身体が光に包まれ、その眩しさに目を閉じる。光が収まると、そこにヘレーナはいなかった。


イレネー「お前も、素直になれないのか?」


レオン「何の話だ。」


イレネー「さぁな。……さぁ、続きをやろう。魔法にはもう頼れないからな。」


レオン「こんだけ男がいるんだ、3日で終わらせてやる。」



 へレーナが神の国へ戻ると丁度セオドアとマユキが帰ってきたところだった。赤子を抱いたヘレーナの姿に二人は驚いていた。


セオドア「あ、ヘレーナおかえり。……その子、誰?」


ヘレーナ「イレネーが拾ったの。アブニールっていうんだ。」


マユキ「イレネーが?どういう事?」


 ヘレーナは二人に事の顛末を話した。アカツキが温かいお茶を淹れてくれ、アブニールにも温かいミルクを与えてくれた。アブニールは今、マユキがレクイエとして巫女をしていたころの侍女たちが面倒を見ている。ここの者達は協力して子育てをするようで、皆子供の扱いに慣れていた。


ヘレーナ「ふ~、神の国はやっぱり空気が澄んでるな~。お水も美味しいし。そっちはどうだったの?」


マユキ「アルバディアでも歓迎を受けたわよ。まぁ、王国の侍女たちはイレネーがいなくて残念そうだったわね。」


ヘレーナ「やだ、マユキったら嫉妬してるの?」


マユキ「そんなんじゃないわよ。でも、ちょっとびっくりしたわ。」


セオドア「エルダーナ俺も手伝いに行きたいな。すぐまとめ上げるなんて流石だな、あの二人。」


ヘレーナ「連れて行ってあげようか?」


セオドア「いや、まだこっちも終わってないんだ。次はエディに行かないと。」


マユキ「そうね、ヘレーナはどうする?私達と一緒に来る?」


ヘレーナ「ううん、私はここでアブニールを見てるよ。ちょっとゆっくりしたいし。」


セオドア「一人で大丈夫か?」


ヘレーナ「うん、アカツキがいるし、シュウの美味しいご飯が食べられるもん。あとはエディの街だけなの?」


マユキ「そうね、エディが最後だわ。アズールたちのところにもここに戻る前に寄ってきたの。だからすぐ戻るわ、ソフィのお店にも行って、ご飯沢山買ってくるわね。」


ヘレーナ「それは楽しみ!ねぇマユキ、エディから帰ってきたら……」


マユキ「分かってるわ、二人で行きましょ。」


セオドア「どっか行くのか?」


ヘレーナ「う~ん、秘密!」


セオドア「そ、そっか。じゃあマユキ、そろそろ俺たちも行こうか。」


マユキ「えぇすぐ戻るわ、ちょっと待ってて。」


ヘレーナ「うん!」


 マユキとセオドアを見送ったあと、ヘレーナもアブニールのもとへ戻った。アブニールは笑顔で侍女を追いかけていた。その姿に愛おしさを感じヘレーナも参戦する。小さな子供の笑顔は私達の心も癒すのだと知った。皆それぞれやるべきことを進めている。ヘレーナも、その手伝いができて嬉しかった。戦いは終わっても、新しい日々が続いていく。今日の空は、青く澄んでいる。

エルダーナの話は一旦ここで一区切りです!イレネー達が復興してる間に、いろいろな話ができたらと思います!

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