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華言葉の呪い -Freya-  作者: 衣吹
華言葉のある日
13/24

エルダーナ復興大作戦1

エルダーナの今後の話を少し書いてみました。まだどうなるかは決めていませんが、ゆっくり続けられたらと思います。

 戦いも終わり、世界はもとの理を取り戻した。セオドアとマユキはアルバディアに王の書を返しに向かった。一方イレネーとレオン、そしてヘレーナはエルダーナの城下町が見下ろせる丘の上にいる。レオンの剣を取り戻した際に城を占拠していたアルベルト達盗賊がどうなっているか確認に訪れたのだ。だがあの日訪れてからそれほど日は経っていない。何も変わっていない事など分かっているが、そもそも彼を許すつもりもない。


ヘレーナ「イレネー、顔怖いよ?レオンはいつもだけど。」


レオン「なんだとガキんちょ。」


イレネー「すまない。だが、私たちにとってこれは故郷を取り戻すための新たな戦いだ。ヘレーナを巻き込んで申し訳ないと思っている。」


ヘレーナ「気にしないで。そんな気張らなくても、私達はそうそうどんな相手にも負けないよ?だって、世界変えちゃったんだもん。セオドアは来れなくて悔しそうにしてたわ。」


レオン「アルバディアの女たちはイレネーがいなくて残念だろうな。」


イレネー「なぁレオン、たとえこの土地を復興したとして、ここに人は住んでくれるだろうか。ここに住んでいた者たちは誰一人としてもはや生きていない。」


 レオンは呆れた顔でイレネーの背を叩いた。


レオン「まだ取り戻してもねぇのに先の心配すんな。今の状態じゃ誰もここには来ないだろうな。だが人々にまだエルダーナの記憶は戻ってる。あの綺麗な街を、取り戻そうじゃねぇか。話はそれからだ。」


 イレネーはふっと笑い、それを答えとした。近くにはアンランジュの華がまだ美しく咲き誇っている。ここに彼女は残っていない。今まで華に閉じ込められていた魂はフレイヤが全て昇華させたはずだ。アールヴヘイムへの道に咲いていた華たちは消えていたが、ここには残っていたらしい。この華は彼女だ。イレネーはその華に跪き、深い礼をした。


イレネー「カリーナ王女、ご報告が遅くなって申し訳ありません。精霊は消え時代は変わり、私も愛する人を得ました。あなたからは与えられてばかりで、今まで何もお返しできませんでした。これから、エルダーナを復興します。あなたの愛した国を、取り戻して見せます。そして、いつか彼女をここに連れてきますね。あなたとの約束ですから。」


 イレネーが微笑みかけると華はわずかに揺れた。風も吹いていないのに、不思議なこともあるものだ。ヘレーナがまた遠い目をしている。


レオン「どうした?」


ヘレーナ「王女様、綺麗な人だね。」


 イレネーは驚いてヘレーナを振り返った。


イレネー「彼女が見えるのか!?」


ヘレーナ「うん、イレネーの目の前でしゃがんでる。真っ白なドレスを着て、凄くきれいな髪飾りをしてる。」


 ヘレーナの答えた姿は街の人々の前に立った時、最後に王女として思いを伝えた時の姿だとすぐに分かった。彼女はいつまでも王女だったのだ。王女はヘレーナに気がつき、その声を届けた。


ヘレーナ「そう、あなたも私が見える?いや、違うよ。私はイレネーの恋人じゃないの。イレネーの恋人は今別の所にいるの。……こちらこそ、イレネーと出会わせてくれてありがとう。あなたの話は聞いていたわ。でもイレネーほとんど話してくれなかったのよ!自分が騎士だっ……」


イレネー「ちょ、ちょっと待ってくれ。何がどうなってるか……。」


レオン「どういうことだ。王女は死んで、華の中に魂もないはずだろ?」


 ヘレーナは王女の話を頷きながら聞いている。


ヘレーナ「彼女もよく分かんないって。突然目が覚めて、でもここから動くことは出来なかったみたい。そしたらフレイヤが来たみたいなんだけど、生まれ変わるために連れて行かれそうになったって。でもここに残るって言ったら、今度はイレネーが来たんだって。生まれ変わりたくなったらまた来てくれるみたい。あ、レオンにもおいでって言ってる。」


 レオンは複雑な顔をしていた。彼は彼自身をまだ許していない。騎士団の隊長が国を売ったと言えばそれは事実だ。


レオン「俺は行けねぇよ。あんたに見せる顔なんざないんだ。」


 ヘレーナは王女がいると思われる場所を見て頷いている。一通り話を聞いたのか、レオンの方を振り返った。レオンには、ヘレーナの姿がカリーナ王女に見えた。


ヘレーナ「国を守れなかったのはあなたの責任じゃない。私の責任でもある。レオン、あなた想いは分かっているつもり。何より、私も一度はこの国を裏切ったわ。イレネーと、自由になれると思った時、エルダーナを捨てたようなものよ。だけどあなた達が生きて、この国を復興させようとしてくれている。私はあなた達が元の関係に戻ってくれただけでもすごく嬉しい。そのうえ、復興を成し遂げようとしているなら、敬意を払わなくてはならないわ。」


レオン「王女……。俺は……。」


ヘレーナ「何も言わないで。あの日あなたは全てを捨ててでも守ろうとしたものがある。もちろん、その罪は重く、許しがたいものでもあります。しかし、絶対に間違いだったとは思いません。それに、もはやあなたを裁けるのは副団長だったイレネーくらいです。そのイレネーも、私があの日任を解いてしまいましたから、もはや裁ける人はいません。だから、罪を雪ぎたいならせめて私達を覚えていて。私はここから見守っています。そう思っていましたが、あなた方が来てくれたから欲が出てしまいました。人や命は戻らなくても、そこに彼らがいたことを忘れられたくありません。もし、この街を救ってくれるというのなら、今ここで二人にエルダーナの騎士の任を再び与えます。どうか二人で、あの街を取り戻して。」


レオン「あぁ、この命に誓って。」


イレネー「仰せの通りに、必ずエルダーナを取り戻します。」


 その言葉を今一度胸に刻んだ。街の方を振り返り、その焼けた瓦礫の街並みを見る。以前の思い出と重なり、心臓が重い。王女の方を振り返ると、ヘレーナしか見えなかった。


ヘレーナ「お話しできた?」


レオン「……お前に言われるとなんか癪だな。」


ヘレーナ「あ!ひどい事言った!!」


レオン「さ、行くぞ。まずは城だ。あいつらをどうにかしないと何も始まらん。」


イレネー「そうだな。行こう。」


 王女の華は静かに揺れている。そしてまた新たな戦いに向けて丘を下っていった。

愛っていろんな種類がありますよね。イレネーがカリーナとレクイエに抱いている愛は全く違うものですし、仲間という関係にもまた愛があります。言葉は難しいですね。

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