独り言。
「い、今からデカい独り言、言おうかな……。」
俺はそう言うと、近くに設置されていたベンチに腰掛けて、背もたれに思い切りもたれ掛かり、仰け反る。
「俺の……俺の初恋の相手、実は『水無瀬歩乃華』だったんだよなぁ……。 でも、中々勇気が無くて言えなくて、偽の恋人になれるって聞いて、本当はめちゃくちゃ嬉しかった。 でも、いくらもがいても偽の恋人は偽の恋人で、それ以上でもそれ以下でもなくて……。」
俺の言葉に、水無瀬の顔がみるみるうちに赤くなっていくのが、鈍感な俺ですらハッキリと分かった。
「ちょ、え、あ、え!? 李玖君……い、今の独り言は本当、ですか!?」
さわさわっと風が吹き、水無瀬の髪の毛を吹き上げ、紅潮した水無瀬の顔をそっと撫でる。
「で、でも……さっきは友達としてって……。」
「うん……。初恋相手は水無瀬に違いないんだ。でも、最近は俺に取り巻く環境が変わったのと……水無瀬と接する機会も少なくなって来ていて、よく分からなくなってきたんだ……。 この『好き』は恋の『好き』なのか、それとも友達としての『好き』なのか。」
優柔不断が招いた結果がこれだ。全部自分自身のせいだ。
「俺は……どうしたらいいか、分からない。急にこんなにモテたって、ちっとも嬉しくない!」
ベンチで頭を抱え込んでいる俺に、ふわりと柔らかなものが覆い被さってくる。ミントの香りと、水無瀬といるとたまに香る甘い香り。
「夏休みの数日間、逃げちゃおっか?」
こそりと水無瀬が囁いてくる。水無瀬は頭を抱えて俯いた俺の背中に頬を当て、身体で俺自体を包み込んでいた。
「に、逃げるって……どこに?」
「どっか遠くだよ。」
パッと俺から離れた水無瀬は、ニコッと微笑んで俺の手を掴んでくる。
「親にはさ、友達と旅行とか言って、数日間、私と二人きりで出掛けるの。理由としても間違った説明はしてないでしょ?」
ま、まぁ確かに水無瀬と俺が友達だと言い張れば、この旅行計画は上手くいくけど……水無瀬は本当にそれでいいのだろうか。
「一応確認なんだけど、相手は俺でいいんだよね? 俺は所謂陰キャだよ?まぁ、知ってるとは思うけど……。」
「…………李玖君以外に誘う人なんかいないから。知ってるかも知れないけど私、『氷のいばら姫』とか言われてて、告白してくる男子生徒をこっぴどくフッてるの。 その理由は一つ。前にも言ったけど、李玖君の事が好きだから。李玖君しか眼中にないから。」
「何で俺なんかを……………。」




