花凛、ブチ切れ。
「兄さんは今、嬉しいですか?困ってますか?」
花凛はメロンソーダを飲み、俺の目をジッと見つめてそう言い放つ。 分かっている、この質問は俺の困った顔を見たいが為にしているのだと!
「そりゃ、嬉しいけど……あくまで義妹と来れてと言う事でだ!」
「苦しい言い訳ですよ、兄さん。そんな時は素直に喜んだらいいじゃないですか。」
「ま、まぁ、そうだな……。」
まぁ、確かに客観的に見たら、こんな美少女と一緒に喫茶店にいられる事自体が喜ばしい事なのだが、最近は色んな事があり過ぎて感覚が麻痺してきているのかも知れん。
宮代さんの美容院の施術には結構時間がかかるらしく、俺と花凛は待っている間に様々な店を見て回った。 途中、花凛がお手洗いに行っている隙に、以前花凛が欲しいと言っていたバッグを見つけたので、コッソリ買って郵送にしておいた。
「兄さん、お待たせしました! 何か買ったんですか?」
お手洗いから戻って来た花凛は、早速俺の異変に気付いたらしく、すぐに突っ込んだ質問をして来る。
「い、いや、何も買ってない。」
こういうのは、なるべくバレたくないんだよなぁ。なのに花凛の奴、毎回毎回俺のサプライズをズバズバ当ててくるんだよ!
「ふーん、兄さんの…………浮気者。」
浮気というか、そもそも花凛とは付き合ってないぞーー!?
だが、ここは勘違いしてもらっていた方が有り難い。
「兄さんはああいう控えめな人が好きだったんですね…………知りませんでした。」
うっ…………コレはさっきの隠れて買い物したのが宮代さん宛だと勘違いした結果の八つ当たりだな……。
「兄さんは素晴らしいですね。学校一の美少女と言われるクラスメイト、そして美少女ヤンキーギャル、義妹、そしてその義妹のクラスメイトまで………兄さんはモテますね。」
うぅ…………これは結構心臓がえぐられる言葉だぞ……。
「そろそろ時間ですね。兄さん好みの宮代さんの所にい・き・ま・す・よ!!」
何か知らんけど、めちゃくちゃ怒ってる!そんなに自分に買ってもらえなかったと思って怒ってるのか?
それとも、宮代さんに買い物したと勘違いして怒ってるのか?
ーーーー。
「花凛さん、城ヶ崎先輩……。お待たせ致しました! ど、どうですか?」
宮代さんはクルッと一回転して見せる。あれだけボサボサだった髪の毛がツヤツヤになって、なんか柑橘系の甘い香りがふわっと香ってくる。
元々めちゃくちゃ髪の毛が長くて、縛っていても腰の辺りまできていた髪が、今では縛った髪は肩甲骨の辺りまでになっていた。前髪も綺麗に切り揃えられており、宮代さんの端正な顔立ちがハッキリと分かる。
顔の横に下がる後れ毛がまた艶っぽさを出している。
「めちゃくちゃ変わったね、すごく綺麗で可愛いよ!」
思った事を素直に言った、この言葉がいけなかったみたいだ。
ーーーーガスッ!!
俺は会計後に放ったその言葉で、花凛から股を思い切り後ろから蹴られ、レジ前で撃沈したのだった。




