花凛のささやかな反撃。
俺と花凛、そして宮代さんは近所の大型ショッピングモールに買い物に来ていた。
今しがた宮代さんは瓶底メガネを卒業し、コンタクトレンズを選択したところだ。
「急にコンタクトレンズにするのは抵抗がありますね……。」
聞くところでは、やはりちょっと抵抗がある為、今日は普通のメガネを買い、後日コンタクトレンズに変えるとの事だった。
「さて、後は……美容院なんだけど、あの店は人気だから空いてるかな……。」
花凛の行きつけの美容院らしいのだが、人気が高くて予約無しではキツいらしい。
まぁ、俺でさえ美容院は予約ありきみたいな所だという事は大体知ってはいたが、運良く飛び込みでも受け付けてくれたらしい。
「もしかして花凛、来る前にわざわざ予約しておいてくれたのか?」
「何の事ですか?それよりも、宮代さんが美容院に行っている間、私は兄さんと行きたい所があったんです。」
花凛は宮代さんを美容師さんに預け、大体の要望を話すと店から出てきた。
俺は流石に予め予約を入れていたのではと思い、花凛に聞いてみたものの、はぐらかされてしまった。
「花凛の言う行きたいとこってのは、この喫茶店か?」
花凛が俺を連れてきたのは、女性達ばかりが席に座っている、可愛らしいデザインの喫茶店。
正直、俺みたいな奴がこんな店にいたら、やたらと浮いてしまうんじゃないか?
俺は辺りをチラチラと見回すと、俺の方を見てくる女性達の視線を感じ、いたたまれない気持ちになった。
『おい、花凛!俺はやっぱり場違いだ!別の店に行こう!』
俺は他の客に気付かれない様に、コソッと小声で花凛にそう伝えるが、華麗にスルーされてしまった。
「兄さんは自分に自信なさすぎです。そんな人が他の人を変身させるなんて不可能ですよ?」
痛いところを突かれてしまった。確かに花凛の言う通りだ。自分が変われないのに、人を変えるなんて無理だし、おこがましいにも程がある。
「よ、よし!俺はこの空気に耐えるぞ、花凛!」
「そうこなくては!さすが兄さんです!」
ーーーー数分後。
俺の目の前には、ドデカいメロンソーダが。しかもそのメロンソーダには、吸口が二つあり、更にハート型をしている要はカップル用のストローが刺さっている。 花凛の奴、俺をハメやがったな!
「花凛、コレどうしても飲まなきゃ駄目か?」
「ダメです。」
俺の義妹は情け容赦無かった。




