宮代さんはご立腹。
今日は宮代さんと『一日を使って宮代さんを改造計画』なのだが、俺は引き受けたは良いものの、あまりにも美容やファッションに疎い事に今更ながらに気が付き、花凛に協力してもらう事に……したのだが。
「城ヶ崎先輩、花凛さんも一緒に来るとは、私は伺っていないのですが。」
俺は宮代さんに花凛が一緒に来る事をものの見事に忘れて今に至る。
俺はこの時、他人の悩み事に軽々しく安請け合いをしない様にしようと心に誓った。
「いやぁ、兄さんは困っている人を見ると放っておけないタイプなんだけど、あまりにも美容やファッションに疎くてね。私が代わりに宮代さんのイメチェンを買って出たってワケ。」
買って出たっていうか、俺が土下座して頼み込んだのが正解だったんだけどな……。
宮代さんは身長もそこそこあるし、スタイルも良い。磨けば光る逸材なのでは……などと、陰キャオタクの分際でそんな偉そうな事を小生意気に考えていたのだ。
「では仕方ありませんね……しかし、基本は城ヶ崎先輩のセレクトで進めていきます。どうしてもおかしな所があった場合のみに、花凛さんに協力をお願いします。」
そんな事を言い放つ彼女は、下はダボダボのグレーのスウェットパンツに、上はピンクのパーカーという、陰キャオタクでファッションセンスの欠片もない俺ですら、バリバリに違和感を感じる程である。
『兄さん、その…………言いにくいのですが、宮代さんは壊滅的にファッションセンスが無い様に思えるのですが、大丈夫なのでしょうか……。』
花凛がボソッと呟いてくるが、正直その辺りは全面的に花凛にお願いしたい。
「何をボソボソと話しているんですか……そんなに私の格好が変なんですか!?」
瓶底メガネのせいで、細かな表情まで見て取る事は不可能だったが、その口調から機嫌が悪くなっている事は確かだった。
「いや、何でもない……。行こうか!」
俺達は近くにある大型ショッピングモールに足を運んでいた。ショッピングモールには数多くのテナントがひしめき合い、どの店舗から入ろうかと狼狽していると、花凛が宮代さんを連れて服屋に突入して行った。
「先ずはその格好から変えないと駄目だよ!コレ着てみて!」
今の格好はNGだとバッサリと切り捨てると、夏らしいフェミニンコーデとやらを試着させていた。
「元々スタイルもいいんだから、スラッとした服装がいいよね。シンプルで上品にまとめたいからホワイトの花柄の刺繍が入った、ミントグリーンのワンピースをチョイスしてみたの!」
花凛は何か変なスイッチが入ったのが、あれやこれやと試着させていき、最終的にミントグリーンのワンピースに落ち着いた。
「あとはコレに白のパンプスでオッケー! 次はコンタクト探しに行くよー!」
花凛はノリノリでショップ巡りを始めてしまった。 人選をミスったのかもしれないと、後悔する俺だった。




