宮代さんは変われる。
「宮代さん、明日時間ある?」
俺が不意に発した言葉に、宮代さんはキョトンとした表情をこちらに向けてくる。
無理もない、さっきまでの会話と今の会話には接続する言葉が一つも含まれていないからだ。
「えっと………城ヶ崎先輩、それはどういう……?」
「俺、思ったんだよ。普段はそうやって瓶底メガネを掛けて三編みしてるけど、素顔は可愛いんじゃないかって。」
「か、かわっ!?わ、私が可愛いなんて……有り得ません!」
「だからそれを証明する為に、明日時間が空いてるかなって。」
俺の言葉に、宮代さんは暫く押し黙っていたが、やがて口を開く。
「じ、時間はあります……!よ、宜しくお願いします!」
『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?』
花凛と雪菜が何やら煩いが、これは宮代さんが変われるいいチャンスかも知れない。
実は宮代さんは可愛かったという事になれば、自然とクラスメイトのイジメは無くなっていくのでは、と考えていたのだ。
そうすれば、宮代さんに対する思いも変わり、クラスに馴染みやすくなるはずだ。
ーーーー。
「兄さんは優しすぎます!だから女ホイホイとか、天然女たらしとか言われるんですよ!」
あの後、雪菜と宮代さんとは別れ、俺と花凛は自宅に帰ってリビングで寛いでいた。
「おい、誰だそんな事言ってる奴は! 花凛くらいなもんだろ!?」
「いえ……。普通に私の学年では言われてますよ……。」
「いやいや、何で花凛の学年で人気なんだよ、あり得ないだろ。」
俺はソファーでコーヒーをすすりながら、花凛の発言に疑問を呈する。
「兄さんは鈍感ですよね、本当に。あとお節介だし、とにかく優しすぎます。少しは優しさを抑えないと大変な事になりますよ!?」
「わかった、わかった。」
「兄さん、その……明日の宮代さんと出掛ける予定なんですけど、私も同行したいのですが、宜しいですか?」
うーん、確かに陰キャで根暗オタクな俺が服をチョイスしたり、美容院行ったりとか考えていたんだけど……今思うと、やたらとハードル高過ぎなんじゃないか!?
「出来たらお願いしたい!俺だけじゃ心許ないというか、今考えたら無理があり過ぎた!頼む花凛、一緒に来てくれ!」
「し、仕方無いですね!兄さんは!」
頼まれて迷惑なはずなのに、花凛は何故か嬉しそうだった。




