宮代さんはブレない。
「李玖の何、と言われましても……先輩の後輩以上でも以下でもありませんが。今のところは、ですが。」
一見大人しそうな宮代さんだが、堂々とヤンキーモードの雪菜に噛み付いていく。
「あ!? 今のところはって事は、後々何かあるって事だよな!?」
ズイッ!っと雪菜は宮代さんに歩み寄り、更に問い詰める。
「そうかも知れません。でも、私の頑張り次第ですので、誠心誠意尽くさせて頂くつもりです。」
「ぐぬっ…………!!」
ーーーー。
「李玖、あの女は一体何なんだよ!?」
雪菜はそれから何度も宮代さんに噛み付いたが、宮代さんの一切ブレない態度から、雪菜自身が折れた。
俺と雪菜は特に行く宛も無く歩いていた。まだまだ日が落ちるまでには時間がある。
「宮代さんは花凛と同じクラスの生徒らしいんだけど、俺も詳しくは知らないんだよなぁ。」
「はぁ!?それであんなに懐かれてるのかよ……。」
「ま、まぁ……。でも、俺自身も何であんなにも懐かれているのか分からないんだよ。」
「そういや、何処かで会った事があるな。………あ、屋上でたしか李玖と一緒にいたのをチラッと見た様な。」
金持との闘いの時、雪菜が屋上で見ていたんだな。しかし、基本一人ぼっちだと言っていた割には、肝が据わっているし、あの堂々とした態度は只者ではないな。
「そうだ李玖、今から李玖の家に行っていい?」
「今から?……別にいいけど…………。」
何を考えているんだ、雪菜は。また突拍子も無い事を考えてないといいんだが……。
俺は雪菜を連れて自宅へ向かう。今の時間帯は姉妹揃って自宅にいると思うんだが、とにかくいざこざが無い事を祈るばかりだ。
「ただいまーー。」
「兄さん、おかえりなさ……って! 何で雪菜さんも一緒なんですか!?」
俺と雪菜が家の玄関を開けると、パタパタと花凛が出迎えてくれる。しかし雪菜がいると知った瞬間、笑顔から一転、一気に不機嫌な顔つきになってしまった。
「実は、花凛ちゃんに聞きたい事があるんだ。」
雪菜はいつにもなく真剣な顔つきで花凛を見てくる。その様子に花凛もただ事ではないと思ったようで……。
「お話聞かせてください。兄さんに関係する事なんですよね?」
花凛の言葉に、雪菜は無言で頷く。花凛は雪菜をリビングルームに通し、俺と雪菜と花凛の三人で作戦会議とやらを始めることになった。
「なる程……。宮代さんがそんな事を……。それは許し難き事。看過できませんね……。」
花凛は腕を組み、何やら考え込んでいる。雪菜も一緒に宮代さんについて何か考えているようだが、一体何をどうしたいのか俺には全く分からなかった。




