宮代さん。その3
「では、私はこれで失礼致します!」
キスの後、暫くの間沈黙が続き、宮代さんは慌てた様に自宅の中に入って行ってしまった。
ーーーーこ、これは所謂モテ期というやつか!
しかし、この状態はあまり宜しくは無い……というか、非常にピンチ。初恋の相手の水無瀬、雪菜、妹の花凛、そして宮代さん。
これだけの相手に挟まれて、俺は一体どうすれば!?
ていうか、待てよ!?そもそも宮代さんはどういうつもりで頬にキスをしてきたんだ?
もしかしたら、外国人とかがやる挨拶的なキスなのかも知れない! もしそうだったとしたら、俺は相当イタイ奴なんじゃないか!?
「あれー?李玖、こんなところでどうしたの!?」
いきなり後ろから声を掛けられ、俺は心臓が口から飛び出しそうになる程にビックリした。
「ゆ、雪菜か…………。ビックリしたーー。」
相手が雪菜だと知り、ホッとしたのも束の間。
「宮代…………?李玖の知り合い?」
デカデカとした門に、立派な石で彫られた『宮代』の文字をまじまじと見つめる雪菜。
「い、いや、知り合いと言うほどではないというか何というか……。」
「ふーーん?」
しどろもどろになり、声が上擦ってしまった俺を見て、雪菜はジトーっとした目つきで俺を見てくる。
ーーーーピンポーン。
「な、何チャイム押してんだ、雪菜!?」
『はい?どちら様でしょうか。』
こ、このインターホン越しの声は宮代さん!?
「私、李玖のクラスメイトの高崎雪菜です!さっき、李玖が来てませんでしたか!?」
ゆ、雪菜の奴………何考えてんだ!?
『あ、はい……先程までいらっしゃいましたが……。』
何も知らない宮代さんは、先程俺達が会っていたという事を正直に話してしまう。
しかも、今の話し方だとまるで俺が、この豪邸にお邪魔していたかの様な発言だ。
「へぇ……。李玖、可愛らしい声の女がこう言ってるんだけど、聞き間違いかな!?」
殺気に満ちた雪菜が、ゆっくりと俺の方へと振り返ってくる。 その顔は怒りに満ちたヤンキーそのもの……。
『え!?城ヶ崎先輩、まだそこにいらっしゃるんですか!? すぐに行きますね!』
プツッとインターホンが切れて、暫くしてから宮代さんが門から出てくる。
「先輩、どうしたんですか!? 何かお話があるんですか!?」
詰め寄る宮代さんだったが、ブチ切れモードの雪菜が俺と宮代さんの間に割って入る。
「ねぇ、アンタさ、李玖の何!?」




