宮代さん。その2
「あれだけ俺の連絡先を教えるのを渋ってたクセに、急に連絡先交換を暗にオッケーしたのは何故だろうか……。」
俺は宮代さんを途中まで送る為、彼女と一緒に街中を歩いていた。時間は昼中、商店街は買い物客で賑わい、真夏という事もあってかめちゃくちゃ暑かった。
「先輩って……花凛ちゃんの言う通り、めちゃめちゃ鈍感ですよね。」
「そうかな。俺自身そうは感じないんだが……。」
でも、宮代さんが言うのならきっとそうなのだろう、と妙に納得してしまう自分がいた。
俺達は近所の商店街を抜け、高級住宅街へと足を踏み入れる。俺が住んでいる地域とはガラリと景観が変わり、やたらとデカい豪邸が軒を連ねる。
「み、宮代さんはこの高級住宅街に住んでいるの……?」
宮代さんの身に付けている高級ブランド品の数々を目にしているから、この高級住宅街に住んでいる事自体はそれ程までは驚きはしなかったが、俺は別の事で驚く事になる。
「はい。この住宅街の……あ、あの家です!」
宮代さんが指差す先には、他の豪邸よりも更に一周りデカい超豪邸が建っていた。
俺の実家並みにデカいな……等と思いつつ、彼女を家の前まで送り届けた。
「本日は送っていただき、ありがとうございました!」
深々と頭を下げてくる彼女を見て、本当に良く出来た子だと感心する。
見た目こそ高級ブランド品に身を包んでいるが、礼儀正しく清楚な女性なのだなと改めて思った。
まぁ、ブランド品を身に着けているからどうとかいう訳ではないが……。
「しっかし、めちゃめちゃデカい家だね……。」
俺は5メートルは軽く超えているであろう塀や門を見ただけでも、生活水準が一般人のそれとはかけ離れているだろう事は容易に想像ができた。
「大きいだけですよ……こんな家。」
「ごめん……大丈夫……?」
俺はハッとし、宮代さんの顔を覗き込むが、彼女の瞳からはうっすらと涙が浮かんでいた。
俺はそっとポケットからスマホを出すと、宮代さんに向けてメッセージを送る。
『泣きたくなったら電話するか、呼んでくれればいいから。話、聞くよ?』
ピロン!と宮代さんのスマホの着信音がバッグの中から聞こえてくる。
「……………フフッ! 先輩はいつも優しいですね! あ、先輩……髪の毛に糸くず付いてますよ?」
彼女は目尻に溜まった涙を拭うと、俺の髪の毛に付いた糸くずを取ろうとせのびをしてくる。
ーーーーそして。
無意識に屈んだ俺の頬に宮代さんはキスをしてきたのだった。




