宮代さん。
俺と宮代さんは、今までの間で数回しか話したことが無い。
だから………とても気まずい……!!
「あ、あの、城ヶ崎先輩。えと、花凛ちゃんとの事なんですけど……。」
ふと宮代さんから声を掛けてくる。ふわっとした柔らかい声。雰囲気そのものがお嬢様っぽい。
「な、何かな!?」
でも、俺はやはり根が陰キャなので、あまり知らない人にいきなり声を掛けられるとビクッとしてしまうのだ。
しかも、夏休みで人と会う機会がめっきり減ってしまった為、余計になのかもしれないが。
「花凛ちゃんから先輩とは義理の兄妹だって聞いたんですけど、本当なんですか?すみません、こんな立ち入った事を聞いてしまって……。」
まぁ、そりゃ疑うよな。本当の兄妹だと思って今まで接して来たんだから。
「まぁ、一番初めに聞いた時はビックリしたし、ショックを受けたけど、今となってはそんなに気にならないかな。 それよりも、元々姉と妹とは外見すら全く似ていなかったから、むしろ義理と言われてしっくりくるかな。」
俺の家庭環境は、確かに他の家庭からしたら珍しいのかもしれない。だけど、それはそれとして今は受け入れている。
「そうなんですね。それでも相変わらず仲良しで羨ましいです!」
「兄弟が欲しかったの?」
「はい…………。妹が欲しくて……。でも、家は私一人でいいからって。」
そっか。一人でいる子はそれはそれで、妹や弟が欲しいって子もいるんだな。
それにしても、宮代さんは花のように柔らかく、物言いの御淑やかな女性だった。
「お待たせしました!宮代さんはどちらに……って、宮代さん!? え、な、何ですか……その格好は……。そんなにお洒落な方だったんですね……。玄関で見た靴もブランド品ですし、まさかこんなところに伏兵がいようとは!」
花凛は帰ってきて宮代さんを見るなり、驚愕のあまり3歩程後退りしていた。しかし、以前屋上で出会った時もそうだったが、宮代さんは所作の一つ一つが洗練されていて、見る者を惹きつける何かがあった。
「花凛ちゃん、急にお邪魔してしまって……申し訳ございませんでした。」
両手をへその当たりで合わせ、深々と頭を下げて花凛に謝る宮代さん。本当に友達なのだろうか……。それとも、花凛に何か弱みでも握られているのだろうか……。
「いいんですよ、宮代さん!お気になさらないで下さい。それよりも、お話というのは……?」
どう聞いても女子高校生同士の会話とは思えないんだが……。まぁ、花凛は昔から敬語ばかり使っていたけど、敬語同士の会話だと業務連絡に聞こえてしまうな。
「はい、実は……………。」
そう言って宮代さんは部屋の隅に花凛を連れていき、何やらヒソヒソと会話を始めた。
「えっ!?無理、無理です!そればかりはいくら宮代さんのお願いでも無理です!!」
急に声を荒げる花凛。何やら雲行きが怪しくなってきたぞ……。
「お願いします、花凛さん!お願いします!」
「無理です、無理ですよ!」
何だ何だ、穏やかじゃないな……これは流石に止めに入ったほうがいいよな。
「花凛、そんなに無理無理言わずに話聞いてあげなよ。」
「無理なんですよ、私は到底受け入れられません!兄さんの連絡先を教えるなんて、あっ……。」
ーーーーへ?




