李玖の怒り。
「じゃあ、李玖ちゃんにとってはすっごく邪魔な存在よね……あの女。」
ちょいちょいさっきからダークな面が溢れ出してるんだが、今までこんな姉は見た事が無い。
「姉さん、頼むから変な事はしないでくれよ!?」
「分かってるわよ!でも、このままあの女が引き下がるとは思えないわね……。」
「えっ、で、でも自分の教師としての立場が脅かされたら大人しくなるんじゃ……。」
「甘いですよ、兄さん。女は理屈では無いんです。一旦恋に落ちたら後は一直線!周りの事や自分の事は後回しになってしまうんです! しかも霧島先生の様な、今まで恋愛もしてこなかった免疫無さそうな人なら尚更!」
いつの間にかリビングに入ってきていた花凛が熱く語ってくる。何だろう、すごく説得力があるんだが……。
「それにしても、あの霧島先生はあまりにも酷いですね。私達の事はどうでも良いとでも言うのかしら……。」
花凛の言う通りだ。俺はともかくとして、一番の被害者である花凛と水無瀬には一切触れて来ず、代わりに俺に悪人になってもらい、こちらを加害者側にする事で明智を助けようという、教師にあるまじき行動。
やはりここは学校側に証拠を叩きつけて、しっかりと制裁した方がいいのかもしれないな。
「姉さん、やっぱり花凛と水無瀬の為にも、証拠を使い、しっかりと制裁した方が良いと思うんだ。だから、証拠を貸してくれないか?」
「李玖ちゃん……。分かったわ、徹底的にやってやりなさい!お父さんには私から話しておくから。」
姉はそう言うと、証拠一式をリビングのテーブルに置いていく。
「もし弁護士が必要そうなら私に連絡して。すぐに優秀な弁護士を付けるから!」
こういう時姉の存在はとてつもなくデカい。姉も霧島先生の事はよく思っていないようだ。まぁ、当たり前か。
俺はその日の内に水無瀬に連絡をし、家に来てもらい、学校にいる教師を通じて教頭先生に連絡を入れた。すると、すぐにこちらに来てくれると言うので、自宅待機をする事にした。
「城ヶ崎様、この度は霧島が大変失礼な事を!ほら、お前も謝罪をせんか!」
教頭先生は自宅に来るなり、玄関で霧島を引き連れて謝罪に来ていた。 初めはしぶしぶ謝っていたが、どうやら謝るだけしか教頭先生は頭に無いと感じたのだろうか。
次第とふてぶてしい態度に出始めた。
「大体から大人しく帰ったら公開しない約束じゃなかったの!?ふん、まぁいいわ。そこまで言うのなら、証拠を出してください!」
霧島はこの期に及んでまだ証拠を出せと噛み付いてくる。どうやらさっきの話し合いから、コチラは証拠を出して来ないだろうと高を括っているのだろう。
俺は最初は真摯に花凛と水無瀬に謝ってもらえれば許すつもりだった。だが、もうそんな気はとうに消え失せていた。
「分かりました。では、証拠をお見せ致します。どうぞ、こちらにお掛け下さい。」
俺は二人をリビングチェアに腰掛けさせると、テレビのリモコンを操作するのだった。




