本性。
「何ですか、話って。僕は昨日、警察から事情を聞かれて全て話しましたが。あの後、不良達に何があったのかなんて知りませんし、何も知らない霧島先生の出番ではないと思いますが。」
この霧島、教師のくせに明智とデキているって噂が絶えないし、やることなす事卑怯な手ばかり。
こんな姑息な教師と話す事なんて何も無いのだが。
「実はね、その不良達の中にいた明智君について話があるのよ。」
ほら来た。やっぱり明智絡みだったか。そもそもコイツが生徒の為に、親身になって話を聞いてくれた事なんてあっただろうか。
「何ですか、話って……。」
「貴方から喧嘩を吹っかけて来た事にしてほしいのよ。」
何を言っているんだ、コイツは……。どこまで心根の腐った教師なんだよ……!
俺が怒りを極限まで抑えて踏ん張っていたその時だった。
「何を仰っているのか分かりかねますが、取り敢えず……そんな話、受け入れられる訳ねぇだろ!?」
それまでソファーに黙って座っていた姉は、急に立ち上がったかと思うと、今までの甘い言葉遣いから一変。ドスの利いた声に変わり、霧島を睨みつけていた。
「あら、そんな態度取ると李玖さんの進路に響きますけど、いいんでしょうか?」
「アナタ、教師ですよね?そしてここは私達の家。更に言ってしまえば、我が家は本当は裕福な家庭で家も豪邸。家柄も勿論、超一流。と言う事は、この家に備え付けられている物が何か位はアナタでもわかるでしょ?」
姉は冷え切った目で霧島を睨みつけると、そのまま視線を部屋の天井に向ける。
ーーーーそこには防犯カメラが部屋の四隅に取り付けられていた。
「………………ひっ!?」
霧島は暫く硬直した後、とても慌てた様子で取り繕って言い訳をしてくるが、そんな事が通じる姉ではない。
「貴女が教師としてあるまじき行為、つまり、取引を持ちかけ私達に不利になるようにし、もう片方の生徒を有利にして、工作しようとした。」
「ち、違うんです……これは!!」
アタフタしながら言い訳を考える霧島だが、もはや弁解の余地は無い。それにこちらには実はまだカードが残されている。
「先生、こちらを。」
俺はポケットからおもむろに、スッととあるモノを出して、テーブルの上にコトッと置いた。
「こ、これは……?」
霧島は何を出されたのかイマイチ理解出来ないでいるが、俺は冷静なまま話し始める。
「コレは、ボイスレコーダーです。」
そう、このボイスレコーダーはあのコンビニでの出来事が起きた際、咄嗟にポケットに入っていたレコーダーで録音していたのだ。
「これはあの時に起きた出来事を咄嗟に録画したものです。このレコーダーは普段から勉強用に持ち歩いていたのですが、まさかこんな所で役に立つとは思いませんでしたが。」
俺を今まで小馬鹿にしてきたのも、これで終わりだ、霧島!!




