邪魔者。
俺は人も疎らな夜の道を、水無瀬と花凛を連れて三人で歩いていた。
「水無瀬は明日からどうする予定なんだ?」
俺の不意な問いかけに水無瀬は一瞬、キョトンとした表情を浮かべるが、『う〜ん』と暫くの間考えた後。
「李玖君と海に行きたいです!」
と、キラキラした瞳で俺を誘ってきた。海かぁ……海なら釣りが出来て楽しそうだが、水無瀬の言う『海に行きたい』のイメージは全く違うんだろうなぁ。
「海かぁ……陰キャオーラ丸出しの俺が行くのは場違いすぎる場所だと思うんだが……。」
「李玖君、李玖君は陰キャなんかじゃないよ!?自分で勝手にそう思っているだけ!」
「そうですね。それに関しては私も水無瀬さんに激しく同意致します! 兄さんは本当は磨けば光る宝石なのに、わざわざ磨かないで道路の片隅に放ったらかし、いわば『路傍の石』状態です!」
水無瀬の発言に激しく頷いて肯定した花凛は、俺を磨けば光る宝石と言った割には、最終的に俺をそこら辺の石ころ扱いする始末。
「おいおい、俺を一体どんだけ下げれば気が済むんだよ。」
「わざわざ自分を卑下しているのは兄さんの方です!私たちは兄さんの能力を高く評価しております。兄さんは運動もできるし頭もいい、顔もいいしスタイルもいい! なのに兄さんは自分からその能力を引き出そうとしていないんです! それはすごく勿体無い事だと思います!」
俺は嘘でも冗談でもなく、本心から言っているであろうその花凛の言葉に、凄まじく感激した。
ーーーーまさにその時だった。
「いやぁ久しぶりだなぁ、まさか夏休み中にお前と出会う事があるなんて、夢にも思わなかったよ。しかも水無瀬と高一のマドンナ『花凛ちゃん』じゃん!? こんなところで出会えるなんて、めちゃくちゃ運がいいな!」
ちょうど家の近くにある、コンビニの前を通り過ぎようとした時、店内から男五人が姿を現す。
「明智………。俺たちに構うな、どいてくれ。」
「はぁ!?李玖、テメェ前に一回マグレで俺に勝ったからって、調子乗ってんじゃねーぞ!?」
夏休みに入って早々、こんな奴と出会うなんて、運がツイてないと言うか何と言うか……。
「俺は喧嘩する気はない。俺が大人しくしている内にとっとと俺達を通せ。」
「おい、聞いたか!? 陰キャが調子に乗ってイキがってんぞ!? テメェ最近調子こき始めてっから、一回ここら辺でシメとかねぇと気が済まねえんだわ。」
明智は取り巻きの連中と一緒になってゲラゲラ笑いながら、俺たちの周りを取り囲んだ。
「そうか……。じゃあ覚悟は出来てるって事でいいんだな?」
「は?テメェこそ覚悟しろよ!? ボコボコにして二度と学校に来れなくしてやっからよ!……やるぞ!」
明智の合図と共に、取り巻き達も一斉に俺に向かって飛びかかってきたのだった。




