夜の告白。
「私ね、中学の時にココで李玖に助けられてるんだよ。」
唐突な雪菜の発言に俺は驚いた。しかし、改めて落ち着いて考えてみたけれど、ココで雪菜を助けた覚えはないんだよな……。
「覚えてない?無理もないよね……。中学生の時は見た目も話し方も、今とは全然違ってたから。」
どこか寂しそうな表情を浮かべるその雪菜の横顔に、まるでノイズがかかった古いビデオテープの様に記憶が僅かながらに思い出された。
「…………もしかして黒髪でおさげして、メガネを掛けてたあの女の子!? 不良に絡まれてたあの子が雪菜!?」
ハッキリ思い出した…………。確かに俺は昔、この公園で中学生の女の子が不良達に絡まれているのを助けた事がある。
相手は明らかにヤンキー共で、後でその女の子に話を聞いたら、道をすれ違った時に女の子のバッグがヤンキーの膝に当たったとかで、公園に引きずり込まれたんだとか。
「そう、そうだよ!やっぱり憶えててくれたんだね!あの時からは大分見た目が変わっちゃったけど。 でも、李玖が颯爽と助けに来てくれて、その背中を見て私は李玖しか見れなくなった。この公園が私達を結び付けてくれたんだ。」
そっか、雪菜とはそんな意外な所で接点があったんだな。だから、俺みたいな陰キャにも話し掛けてきてくれたって訳か。
理由が無きゃ、わざわざ俺に話し掛けて来たりしないもんな。
「李玖、私はあの頃からずっと李玖の事が好きなんだ。 告白しようかどうしようか、めちゃくちゃ悩んだ。ギャル化した私なんかを見てくれるのか不安だった。 でも、李玖は普通に接して来てくれた。 勿論今でも内心、李玖が何を考えているのか、不快な思いをさせてないか、不安で不安で仕方無い。」
「……………雪菜。」
「だけど、もうネガティブに生きたくない。あの頃の私は、勉強しか脳の無いガリ勉メガネだったけど、今は好きな事は全部する! 勉強もファッションもスポーツも、そして恋愛も! あの時とは違って、ギャルになっちゃって、李玖のタイプとは違うかも知れない。 だけど、今すぐじゃなくていいから、私を見て欲しい…………李玖。」
真っ直ぐなその瞳は、すっかりと日が落ちた夜空に輝く月に照らされ、キラキラと眩く光り輝いていた。
「雪菜…………分かった。俺も雪菜を見るよ。 この際だからハッキリ言っちゃうけどさ……『隣の席にめちゃくちゃ可愛いギャルがいる!』って、一人テンション上がってたんだよ。 だから、嫌いとかじゃないから。」
俺はそう言い、雪菜の頭を気が付いたら撫でていた。
ーーーーーー何やってんだ、俺は!?
「兄さん、何を……しているんですか!?」
「李玖君……いつの間に雪菜さんと……!?」




