宣戦布告。
「やっぱり兄さんの部屋にいたんですね。泥棒猫が二匹、ギャーギャー喚いて何を話しているのかと思えば。わざわざ敵を増やす様な情報を兄さんに与えてしまって、もし学校でモテ始めてしまったら、どうするつもりですか!?」
花凛は俺の部屋に入ってくるなり、凄まじい勢いで雪菜と水無瀬に噛み付いてくる。
「お前、その言い方だと俺にはモテて欲しくないような言い方だな。」
「当たり前です。兄さんは私と結婚する予定ですから。」
今、花凛の奴……ドサクサに紛れてサラリととんでもない事を言い放った気がするんだが……。
「兄さんと血縁関係では無いと分かった以上、もう私を縛るものは無くなりました。ですから、雪菜さんや水無瀬さんの様に、私も兄さんの嫁候補として堂々と戦えます。」
花凛は俺とは随分長い間、兄妹として暮らしてきたが、確かに血が繋がっていないと判ってからは、意識をしてしまう事が増えたのも事実。 そう、例えば風呂とか……。
「よ、嫁候補…………わ、私も負けないから……!」
「水無瀬さんが張り切るなんて珍しいね。でも、李玖は渡さないから。嫁になるなら今からでも色々勉強しなきゃだしね!」
水無瀬も雪菜も、花凛の下らない挑発に乗ったのか、二人共何故かやる気満々になっている。
「その前にお前ら三人共、勉強してんのか……? 俺は毎年学年一位だからいいが、進路とかあるだろ……。」
俺は取り敢えず三人を冷静にさせる為、話題を逸して現実に目を向けてもらう事にした。
確かに三年生最後の夏休みで、俺も初めこそ『休みだ、ヒャッホーイ!』位に考えていたが、俺はノートPC一つあれば仕事を回せるが、他の三人にはそれぞれ進路がある筈だ。
「兄さん、それは心配ありません。私はそのまま大学に進みます。そして経済学部に入り、卒業後は兄さんの会社で働くつもりです。」
花凛はそう言うと、雪菜と水無瀬をチラッと見るような素振りをするが、雪菜も水無瀬も花凛とは何故か目を合わせようとはしなかった。
「兄さん、恐らくは見たところ、こちらのお二方も私と同様の考えの様です。まぁ、こうなる事は予想済みでしたが……。」
ハァッ……と深いため息をつき、花凛は更に衝撃の一言を口走った。
「こうなる事は全て予想済みの上で、姉さんは予め経済学部へと進学をして行ったんです。つまり、兄さんを狙っているのは私、雪菜さん、水無瀬さんだけではなく、姉さんもという事になります!」
つまり花凛の言う通りならば、こうなる事を見越して姉は経済学部へ進み、先手を打ったという事なのか…………?




