情報。
「せっかくの李玖の部屋を満喫したい気持ちはあるんだけど、ここは我慢してしっかりと話をしておきたい。」
雪菜はちょいちょい訳のわからない事を言っているが、まぁ話とやらを聞こう。
「私が話したいと言ったのは、さっきも言った李玖自身の事だ。李玖は自分の事、どう思っているのか聞かせてほしい。」
「自分の事……?前から言ってる通りだよ。『陰キャブサメンオタク根暗ボッチのヒョロガリもやし野郎』だよ。」
言葉の並び順はどうであれ、自分が思っている事と周りの奴らが思っている事には相違ないハズだ。
「………………。」
すると、俺と向かい合って座っていた雪菜と水無瀬は、ゆっくりとお互いの顔を見合わせた後に頷き、再度俺の方を向いてくる。
そして暫くの後、雪菜が口を開く。
「やっぱりな。そんな事思ってるの、李玖くらいなもんだぞ?水無瀬さんから何度か聞いてるとは思うけど、陰キャでもないし、ましてやブサメンなんてありえないから!」
雪菜は何やら憤慨している様だが、イマイチ状況が飲み込めない。
「いや、だってクラスの奴等からお前は陰キャだとか、ブサメンだとか言われてきてたし、自分でもそう思ってたから。」
「でも、それを言ってたのはクラスの男子達くらいなもんだろ?」
「ま、まぁ確かに……。」
雪菜の言う通り、大半は男子達が言ってくるばかりで、女子から言われる事は皆無に等しかった。
「この際だからハッキリ言っておく。私も水無瀬さんも李玖の事、陰キャだなんてこれっぽちも思って無いし、ブサメンどころかめちゃくちゃイケメンだからな。」
雪菜は俺に信じられない言葉を投げ掛けながら尚も続ける。
「知らないと思うけど、同クラどころか、他クラスの中でも、李玖を狙ってる女子はめちゃくちゃいるから。ただ、いつも私や水無瀬さんが近くにいる、そして李玖自身も自ら陰キャオーラ出してるから話しかけて来ないだけで、普通にしてたら凄くモテるからね。」
雪菜の話に耳を傾けていた水無瀬は、その言葉に思い切り首を縦に振る。
ーーーーしかし、雪菜はなぜこんな事を話すのだろうか。俺が万が一イケメンだったとしよう。それで調子に乗った俺がイメチェンして学校に行ってモテ始めたら、雪菜や水無瀬にとっては不利になるはず。
そんな事をわざわざ俺に教えてくるだろうか。いや、答えはノーだ。俺ならば、自らが不利になるような情報は提供しない。
何か企んでいるのか…………?
ーーーーそんなネガティブ思考になり、若干人間不信になっていた、まさにその時だった。
「やっぱり兄さんの部屋にいたんですね。泥棒猫が二匹、ギャーギャー喚いて何を話しているのかと思えば。わざわざ敵を増やす様な情報を兄さんに与えてしまって、もし学校でモテ始めてしまったら、どうするつもりですか!?」




