美少女ギャルと学校一の美少女。その2
俺は愕然としていた。完全にごまかせたと思っていたのに、しかもよりによって、知られたくない相手に俺が本当は強いと知られてしまうなんて……。
「李玖君……本当は強いんだよね?」
今、俺は水無瀬に袖を掴まれて、そう小声で囁かれている。
「や、やだなぁ……俺が強いなんて、天地がひっくり返っても有り得ないですよぉ……。」
「李玖君って、嘘つくと敬語になるんだね。わかりやすい!」
水無瀬はニッコリと笑顔で微笑みかけて来てくれるが、俺は内心穏やかではない……。そんな時だった。
ーーキーンコーンカーンコーン……!
始業ベルが学校中に鳴り響き、クラスメイト達は急いで自分の席に戻りだした為、俺もどさくさに紛れて席に戻った。
俺の席は一番後ろの席で窓側。隣の席には仏頂面の雪菜……中央の列、一番前の席にはこちらをジッと見つめてくる水無瀬。
ーーーー勘弁してくれぇぇぇぇぇぇ!!
「それじゃあ、授業を始めるぞーー。って、何やってんだ、明智!?」
ガラガラッと教室のドアを開けて入って来たのは国語を担当するクラスの担任。名前は「霧島桔梗」という。
「明智、おい!くっさ!! ゲ○吐いてるじゃないか! 誰かバケツに水、後は保健室からキッチン○イター持ってきてくれ!」
流石は教師。というか教師でもなかなかこれだけ瞬時にテキパキと行動できる人はいないだろう。
「あ、あの…………実は……。」
事の成り行きを今まで見守っていたクラスメイトの一人が恐る恐る口を開く。
「…………そういう事か。確かにそれは明智が悪い。だが、こんなになるまで放ったらかしにしておいて、よく平然としていられるわね!! 今から自習だ。保健委員は明智を至急、保健室に連れて行きなさい! 城ヶ崎、高崎、水無瀬は生徒指導室に来なさい!」
霧島先生はキッと俺達を睨みつけると、黒板に『自習』と殴り書きし、ツカツカと教室を出て行ってしまった。
「アイツ、教師として最悪だな。まぁ、確かに明智を見捨てたのは悪いけどさ、自業自得だろ。」
雪菜は俺と水無瀬と共に、渋々生徒指導室に向かっていたが、その間、腕を組みプリプリと怒っていた。
「第一、李玖は全く悪くねぇじゃんか!李玖は水無瀬を守ろうとしたんだろ!?」
「まぁ……そりゃそうだけど……。」
「正当防衛?ってのになると思うんだよなぁ。クラスの奴も適当に話すから私達が悪い事にされちゃうんだよなぁ。」
「…………。」
そんな事を話している間も、水無瀬はずっと俯いたまま黙り込んでしまっていた。
ーーーーそんなこんなで、嫌な生徒指導室に着いてしまった。
「失礼します。」
ガラガラッと生徒指導室の扉を重苦しい気持ちで開けると、そこには凄まじい怒りを込めた眼光で、こちらを見つめる霧島先生の姿があった。
「そこに座りなさい。貴方達からもしっかり話を聞かなければ真意が分からないから呼びましたが……恐らくは貴方達に非は『それほど』ないのでしょう?」
俺達は指示された席に腰掛けるが、霧島先生は目を閉じ、腕を組んだまま、淡々と話していく。
「は、はい。僕と水無瀬さんが登校すると、明智が『城ヶ崎みたいな陰キャと水無瀬が一緒にいるなんておかしい』と。それから、明智は反抗する水無瀬さんに逆上し、拳を振り上げた為、僕が殴りました。」
「李玖の言うとおりだ。これで私達だけ怒られて、明智には何のお咎めも無しじゃ済まないよ?」
雪菜は俺の言葉の後、続けざまに話す。そこには凄まじい怒りすら感じられた。
「でも、実際に手を出したのは城ヶ崎君が先よね。水無瀬さんが殴られてからなら話は分かるけど。」
ジロッと水無瀬を見つめるその目。水無瀬に何か恨みでもあんのかよ……。
「そ、それは少し話が違うのでは……。」
水無瀬がやっとの思いで重い口を開いた。




