ややこしい。
「兄さん、兄さんは私の事、嫌いになってしまったんですか?」
俺は今、凄まじい修羅場と化した水族館に来ています。正確には、俺の前にいる美少女二人との間で修羅場ってるんだが……。
「いや、好きとか嫌いとかじゃなくて、花凛は俺の義理の妹だ。」
「では、兄さんの部屋にある同人誌やパソコンゲームはどうして義妹物ばかりなのでしょうか?」
花凛の超巨大爆弾投下に、さすがの水無瀬も凄まじい勢いでこちらを睨んでくる。
「李玖君、私そんな話聞いた事ありませんが!?」
てか、言える訳も無いですよね!?そんな睨まれても……。
「つまり、兄さんは私『義妹』が好きなんですよ!」
「ぐぬぬ……………!」
何なんだ、この戦いは。落とし所はどこなんだ?
「あ、水無瀬!イルカショー始まるぞ!」
俺はつい水無瀬の手を取って歩き出していた。だぁーっ!絶対に嫌がられるやつー!!
陰キャオブ陰キャの俺が何調子に乗ってるんだ!
「あっ、う、うん…………行こっ!!」
あれ?思ったより水無瀬が嫌そうな顔をしていない……。
「ちょっ、兄さん!わぷっ、押さないで!に、兄さ…………!」
何やら人混みの中に花凛は消えて行ったが、諦めてくれたのだろうか。
ーーーーーー。
イルカショーは思ったよりも大迫力で、最前列だった俺達はイルカからの水掛けサービスにあい、服がびしょびしょになってしまった。
「楽しかったです!イルカってあんなに高い場所のボールも取れるんですね!」
興奮未だ冷めやらぬといった感じの水無瀬は、今度はイルカグッズを買い漁りだしてしまった。
夏場だから服はすぐ乾くけど……水無瀬って意外とアクティブなんだな。俺みたいなインドアを絵に描いたような奴といて、楽しいのだろうか。俺は濡れた髪の毛をかきあげ、服も軽く絞って、同じくベンチで水無瀬の買い物待ちをしていた。
「あ、あのー、お兄さん。今、一人ですか?」
不意に見知らぬ女の子達に声を掛けられる。初めは人違いでは、とも思ったのだが、どうやら違う様だ。
「一人……ではないけど、どうかしましたか?」
「あの、もしよかったら、一緒に水族館回りませんか!?私達だけだと男の人に声掛けられやすくて。お兄さんイケメンだし、優しそうだから、私達と一緒なら声掛けられないかなって。」
確かに男の人が混じっていれば、声も掛けられないだろうけど、コレは完全に人選ミスだ!
まず、俺は水無瀬と来ているから無理!
そして次に俺は陰キャ!こんな陽キャお化け達と共に回ったら死ぬ!
そして何より、俺はイケメンじゃねぇ!バカにしてんのか、こいつ等!
「え、ちょ………なん、え?誰、その子達……。」
運悪く水無瀬がショップから出て来て、俺達と鉢合わせになったのだった。




