水無瀬への気持ち。
「ふぇっ!?り、り、りりり李玖君!?」
「ごめん……もうちょっとだけ………。」
「う、うん…………。」
水無瀬は了承してくれたが、落ち着いて考えてみたら、これってめっちゃセクハラでは!?
でも、何だろう……この甘い香り、安心感。俺が水無瀬を見失った時の焦燥感、ヤンキー達に言い寄られていた時の怒り、助けた時の安堵……。
「ありがとう………ってか、ごめん!いきなり女の子に抱きつくとか、あり得ないよね……!」
「うぅん、大丈夫!なんか安心したし……。さっきまでは凄く怖くて……足も手もカタカタ震えちゃって……。でも、李玖君が来てくれて、本当に安心した……。」
俺達はスタッフや警備員から詳しく話を聞くハメになり、ナンパヤンキー達はそのまま行方をくらましたそうな。
むしろ、俺達よりもそいつ等をとっちめて欲しかったのだが……。
「どうする水無瀬……今日はもう帰るか?」
俺はあれから水無瀬の様子が気になって仕方がなかった。知りもしない男達に連れて行かれそうになったんだ……。怖いに決まってる……。
「嫌です!もし、李玖君がまださっきの事を気に掛けてくれているのなら、ありがとうございます。でも、私はこんなチャンス逃したくはありません!」
チャンスって……水族館はいつでも来られる距離にあるんだが……。まぁ、本人が見て回りたいと言うのなら、そうするか。
「わかった!じゃあ、さっきの事は綺麗サッパリ忘れて楽しもう!」
「はい!行きましょう!」
ーーーー熱帯魚コーナー。
「熱帯魚って、カラフルな色の魚が多いんですね。何故なんでしょうか……。」
「色々理由はあるんだろうけど、警戒色って言うらしいよ。食べても不味いぞ、毒があるぞ!みたいな。」
「なるほど!じゃあ、私ももっと奇抜な服装にしたら誰も言い寄ってこなくなるかも!」
「ははは、でもそうしたら俺も近寄らなくなったりして!」
「むぅ!それは絶対に嫌です!」
プクッと頬を膨らませて拗ねてくる水無瀬はとても可愛い。学校では絶対に見せない、俺だけが知るレアな顔だ。
「でも、本当に綺麗……。ゆっくりと優雅に泳いでいて、まるでフラダンスを踊ってるみたい……。」
水無瀬は水槽に手を触れ、ゆっくりと熱帯魚をなぞる。その姿はとても魅惑的で、俺は正直見惚れていた。
ーーーーやっぱり初恋の相手って……特別なんだな……。




