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俺の姉妹が鬼デレ過ぎていつまでも彼女が出来ない件。  作者: かむげん


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美少女ギャルと学校一の美少女。

「ねぇ、李玖はさ、水無瀬さんの事好きなの?」

 雪菜の思いがけない言葉に俺はつい、たじろいでしまう……。

 そりゃ、水無瀬の事を好きか、好きじゃないかで言ったら正直好きだけど、この『好き』は恋愛によるものなのか、それとも憧れによるものなのか……。


「いや、そんな事を言えるわけ無いだろ!だとしても、雪菜には関係無い事だろ!」

「は?何その言い方……。ただ聞いただけなのに、何なん、その言い方。」

 ヤバッ……と思ったが、既にとき遅し。雪菜はあからさまに不機嫌な顔つきをし、無言のまま去って行ってしまった。


「な、なんかごめんなさい……私のせいで、李玖君と雪菜さんが喧嘩する事にまでなってしまって……。」

 水無瀬は深々と頭を下げると、上目遣いで俺の顔を本当に申し訳無さそうに見つめてくる。

「気にしなくていいよ……雪菜とは席も隣同士だし、なんだかんだで仲はいいからさ!」

 そうは言ってみたものの、雪菜があれ程までに感情を剥き出しにして怒ってきたのは初めてだった。


 俺達は学校に着くと、上履きに履き替えて教室へと向かった。その間も俺は内心雪菜とどう接したらいいのか悩みっ放しで、水無瀬と何を話していたのか、よく覚えていなかった。

「お、おはよー……………。」

 俺は水無瀬と教室に入ると、その瞬間に冷たい視線が刺さる。クラスメイトの男子生徒達だ。 俺と水無瀬が一緒に登校している事に、疑問と嫉妬が生まれたが故の視線なのだろう。

「はぁ〜?なぁんでお前みたいな陰キャブサイクオタクボッチ野郎が、水瀬さんみたいな学校一の美少女と一緒に登校してきてんのぉ!?」

 同じクラスの不良グループのリーダー格「明智浩正あけちひろまさ」が生徒の群れを掻き分けて俺の前に現れた。

「あ、明智……。でも、俺が誰と登校してきても関係無い気がするんだけど……。」

 俺のその一言に、余程頭にきたのか明智は俺の胸ぐらに掴みかかってくる。


「いい加減そういう事やめたら?明智君。見苦しい……何で李……城ヶ崎君にこんな事をするの!?」

 フッと水無瀬が間に入ると、次の瞬間、明智の頬をバチンッ!と引っ叩く。その姿にクラスメイト達の口は開きっぱなしになっている。 奥の俺の席の隣に既に着席していた雪菜も、完全に面食らった様な顔をしていた。

「…………ってぇなぁ!!ちょっと顔がいいからって調子に乗ってんじゃねぇぞ!!」

 明智は水無瀬に食らったビンタに怒りをおぼえたようで、思い切り拳を振り上げる。


「……………テメェみたいなゲス野郎がまだ存在してたなんてなぁ……。」

 俺は明智の振り上げた拳よりも早く懐に入り込み、間髪ボディーブローを叩き込んだ。喧嘩パンチなんてのは、大抵大振りで隙が出来やすい。

「おぐえおぉぉぉぉ………。」

 明智は情けなくその場に膝から崩れ落ち、ゲ○を吐いた。女の子に手を上げ、更にはその哀れな姿をクラスメイトに見られてしまうとは……本当にしょうもない奴だ。


「大丈夫?怪我はない?」

 俺はこういう事に慣れてはいるけど、水無瀬みたいなタイプは全く免疫無いだろうしな……。

「だ、大丈夫……ありがとう……。」 

 やはり俺の予想通り、水無瀬はあんな絡まれ方をされたはずも無いだろう、膝を小刻みにカタカタと震わし、真っ青な顔をしながら俺に礼を言ってきた。

「いや、お礼を言うのは俺の方だよ。ありがとう、庇ってくれて。」

 俺は立つのも精一杯な水無瀬に声をかける。だが…………。


「李玖って強かったんだ!」

「李玖君、かっこいいーー!」

「全然陰キャじゃねぇじゃん!」

 等とさっきまでとは打って変わってクラスメイトが沸き立つ。俺はこの『手のひら返し』が大嫌いで、今まで喧嘩が強い事は隠してひっそり陰キャとして過ごして来たのだ。

 だが、もうそれも通用しない……どうしたら……。


「李玖は喧嘩全然強くないよ。だってそのカウンターは、私が対明智用に李玖に教えたやつだから。たまたま出来ただけ。」

 それまで教室の奥の席に不貞腐れたように座っていた雪菜が、手をヒラヒラしながら、俺のカウンターを教えたのは自分だと主張し始めたのだった。


ーーーーナイス、雪菜!!

 さっきまで喧嘩していたのに、どうして助けてくれたのか分からないが、ここは乗っておくことにした。 

「そ、そうそう!だって俺はオタクの陰キャだよ?俺みたいなヒョロガリモヤシが、明智を倒すなんて無理だよ!」

 自分で言ってて我ながら頭に来る誤魔化し方だが、ここはグッと堪らえて我慢するとしようか。


「そうだよなー。」

「だって李玖君って、もやしだもんね!」

 再度『手のひら返し』発動。何と流されやすい奴等なのだろうか。クラスメイト達は明智はそのままに、各自自分達のグループの輪に戻り、談笑し始めた。


「どいつもこいつも……『自分』ってものを持ってねぇのかよ……。」

 俺はまだ少し震えている水無瀬を支えながら席まで案内した。

「あ、ありがとう……李玖君。」

「いや、気にしないで、それじゃ!」

 俺は水無瀬を席に座らせて、自分も席に向かおうとするが、不意に水無瀬に袖を掴まれた。


「李玖君……本当は強いんだよね?」


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