二人。
水無瀬は花凛の言葉に激しく動揺した様子を見せ俯いてしまい、何も言葉を発する事は無かった。
それの意味するところはつまり、『肯定』と取れるという事だ。
「確かに……私は明智さん達の行為を利用しようとしました。李玖君と近付けるから……。でも、李玖君の気持ちまでは知りませんでした! それは本当です!信じて下さい!」
明智達の嫌がらせを知っていて利用しようとした。でも、それは俺も知ってたら利用しようとしたかも知れない。下心というやつで、それは少なからず男女共にあるだろう。
ーーーーーーでも。
「俺の事、好きだったって言ってたけど、どうして好きになったの?キッカケはなんだったの?」
俺の問いかけに一切の返答をしない水無瀬。俺は水無瀬に疑問を抱く。
「水無瀬、取り敢えずは偽の恋人はもう解消しようと思っている。もう、偽の恋人同士になるメリットはお互いには無いはずだ。」
俺は不思議な位に冷静だった。この偽の恋人の解消が間違った行動だったとしても、俺は後悔しないだろう。
そして夏休みに入る事により、どちらにせよ俺も水無瀬も恋人のフリをする機会が無くなる。夏休みが開けた頃には、俺達の恋人話も落ち着いている。
ーーーーつまり、もう偽の恋人はしなくてもいいんだ。
俺は初恋であった筈の水無瀬を、クラスメイト位にしか考えられなくなってしまっていた。 あれ程迄に好きだったのに……何が駄目だったのか、いや、あんな小さな事に拘って、水無瀬の気持ちを害した自分が悪いから、敢えて突き放したのか……。
どちらにせよ、もう関係は終わりだ。俺自身もその方が気楽なのかも知れない。
「嫌です。関係は終わらせるつもりは一切ありません!」
俺が半ば諦めていたところ、強い口調と眼差しを向けて、水無瀬が口を開く。
「李玖君が別れるつもりでも、私は絶対に別れません! 李玖君が私にして欲しい事を言って下さい。何でもします!ですから、もう一度私の側にいてくれませんか!?」
「兄さん、騙されては駄目ですよ!この人は兄さんの弱みに付け込んで懐に忍び込んで来たんです!」
「花凛さん、私は本気で李玖君の事が好きなんです!邪魔しないで下さい!!」
「貴女こそ、あとから出て来て兄さんを奪って! 兄さんは私の大切な人!私の方が……貴女よりもずっとずっと兄さんの事を愛しています!」




