失念。
俺は今まで大事な事を忘れていた。それは柚葉と花凛が二人揃って極度のブラコンだったという事。
そしてよく花凛からは「兄さんと結婚出来たら幸せなのに」と言われ、柚葉姉さんからは「李玖ちゃんが私だけのものになればいいのに」と言われていた事を。
「雪菜、もしこのDNA鑑定が、姉が一縷の望みを賭けて提出した物だとしたら……。」
「……それは李玖が非常に危ないと思うわ。そこまで考えて無かった……。」
雪菜も花凛のブラコンの異常性には、思う所があったようだ。
だが、血縁関係では無かったという真実を知った今、姉妹がどんな手で出てくるか、全く予想が出来なかった。
逆に、血縁関係で無かった事を知り、一気に俺へのブラコン愛が冷めてしまった、という展開がむしろ一番望ましい。
俺がそんな今の自分の気持ちを、雪菜に打ち明けたところ、『そんな事が起きるはずがない』と冷たい目と口調で一蹴されてしまった。
もう水無瀬に頼む事は不可能。むしろ、何かを頼んだ所で、『偽の恋人』と言う名は付いて回る。雪菜とも今はお友達状態。
「要は、李玖と姉妹がどんな位置関係にあるかが分かればいいんだよね?」
「ま、まぁ、そうなるかな。」
「んじゃ、ちょっと待ってて!」
そう言って雪菜はスマホに何かを打ち込み始めた。
ーーーー約5分後。
「まずはお姉さん。えっと、『李玖ちゃんは、将来は私の旦那様になってもらう予定だから、貴女の出る幕はありません。』ですって。」
雪菜、何送ったんだ!?
「続いて妹さん。こちらは『兄さんとはいずれ結婚し、そして子宝に恵まれた幸せな生活を築きます!万が一、いえ、億が一にもあり得ませんが、兄さんに結婚相手が出来たとしても、私は肉体関係だけでも構いせんので、兄さんと共に生涯を添い遂げます。』って、凄まじく重い長文が来たんだけど。」
いやいや雪菜、何を送ったんだ!花凛のブラコンっぷりは知っていたけど、まさかここまでとは……。
姉妹の若干サイコじみた文に、ドン引きする俺と雪菜。
「さすがにギャル仲間にもここまでの子はいないよ……。ガチでここら辺で手を打っておいた方が良くない?」
そうだよな、さすがにここまで来ると狂気の沙汰としか思えないからな。
「でも、まずやらなきゃいけない偽恋人の解除も、直接会って話さなきゃいけないし、メッセージで済ますのも失礼だよな。」
「いや、偽恋人の契約してる時点でどうかと思うけどね〜。」
いや、ま、まあそりゃ分かってたけど、ハッキリ言われると傷付くな……。




