ズル休み。
あの水族館の時、俺は一体どう過ごしたのだろう……。
何も覚えていない……。それだけ忘れたかったって事なのか……。スマホを見てみたが、雪菜からも水無瀬からも何も連絡が無かった……。
ところでだ。義理でブラコンの姉妹が出来るなんて最高じゃん!って思う人もいるかも知れないが、実際になってみると全然違う。
今までは本当の姉妹だと思っていたのが、義理だと知った瞬間に、人間ってのは対応がガラリと変わるものだ。
「おはよ、李玖ちゃん!」
……………ガラリと対応が変わるものだ。
「おはようございます、兄さん!それとも、お兄ちゃん、お兄様、兄たま、兄上?」
「シ○プリか、ヤメロ。そのままでいい。」
……………ガラリと対応が変わるはずなのに。
強引に俺の部屋をぶち破って入ってきた義理の姉妹に、俺は早々に叩き起こされた。
「今日は学校行かねぇぞ。」
「兄さん、今日は終業式なので出た方が……。」
「そうよ……。せっかくの皆勤賞も無しになっちゃうわよ?」
俺はそれからも引っ被った布団を剥ぎ取られそうになりながらも、学校を初めて欠席した。
姉は大学へ、妹は高校へと登校して行き、俺だけが家に残る事になった。
どうせなら終業式出たかったけど、水無瀬や雪菜にどんな顔して会えばいいか分からないし、姉達の事もあるから正直、終業式どころじゃないんだよなぁ。
ーーーー姉妹とも仲良かっただけに、余計にどう接していったらいいか、全く分からない。
俺は、一階のリビングルームに降り、ソファーに寝転がると、ボーッと天井を眺めていた。
義理の姉妹の事は嫌いじゃない。だけど、今朝の感じからすると、今までと同じ対応を取ってくるはず。 俺にはそれが非常に困るのだ。
ーーちょっとここで考えてみて欲しい。
まず、義姉はとても美人で、スタイル抜群。セクシーフェロモン丸出しのブラコン大学生。
義妹は、学校でも一、二を争う程の美少女。才色兼備で男女問わず人気者。いつも『兄さん』と呼んできて甘えてくるブラコンJK。
そんな子達とひとつ屋根の下、共に暮らして平常心でいられるだろうか。 否、そんな事は不可!
なんて事を考えている辺り、俺も結構毒されて来てるんだよな……。
取り敢えず今日は終業式もズルした事だし、テレビでも見ながら一日を過ごすか、若しくは真面目に勉強するか……。
そんな事を考え、決めあぐねていると玄関のインターホンが鳴り響く。我が家のインターホンはモニター付きなので、相手がすぐに分かるのだが、その相手というのがなんと高崎雪菜だったのだ。
ーーーーーーガチャッ!!
俺は勢い良く玄関を開けると、庭先の門の前で待っている雪菜とバチッと目が合った。その瞬間、あろう事か雪菜の方から目を逸らしたのだ。
これは…………確実に俺が雪菜に何かしたパターンだ。てか、学校はどうした!?(俺が言えた事ではないが)
「ど、どうしたの!?学校は?」
俺は閉まっていた門を開け、雪菜を通した。
「サボった。李玖こそ、学校はどうしたの?」
ギンッ!と鋭い目つきで睨まれて、俺は完全に萎縮していた。
「サボりました…………。」
「私はギャルだから大丈夫だけど、優等生の李玖がサボっちゃ駄目だろ?」
いや、偏差値71以上って言われてる学校に入れてる雪菜も、充分に優等生だから!
「と、取り敢えず入る……?」
「う、うん……。」
俺は立ち話もなんだし、雪菜を家に入れ、リビングに通した。
「いいの?終業式出なくて……。」
俺の言葉に雪菜は静かに頷く。
「李玖のいない終業式なんて、行かなくても良いかなって……。」
それを聞いて俺はハッとする。もしかして……。
「もしかして、学校に行ったら俺がいなくて、そのまま帰ってきたの!?」
俺は雪菜の座っているソファーのすぐ隣りに座っていたのだが、彼女の驚きの発言についつい立ち上がり、彼女の両肩を掴んでしまっていた。
「そ、そうだよ!朝行ったら、隣の席に李玖がいなくて、始業のチャイムも鳴って皆体育館に移動し始めたのに、李玖が来ないから、何かあったのかもって……居ても立っても居られなくなって、仮病使って早退したんだ……。」
「そしたら李玖、ピンピンしてるし……何も無かったかの様な顔しちゃってさ……!!」
あ、これ……ヤバいやつだ……雪菜、怒ってる!?
ーーーーーーーー。
「心配したんだよぉ、李玖ぅ!!」
気が付けば俺は雪菜に抱き締められていた。




