ぎこちない。
俺はもっと早く気付くべきだったのだ。もっと周りに、というか水無瀬に気遣いをするべきだった。して、然るべきだったのだ。
水無瀬にニセコイ終了のお知らせをしっかりしておく事、そして雪菜と付き合う事になった事を何故伝えなかったのだろうか……と。
ーーーーーー。
「この際だからハッキリ言うね。私、李玖の事が好き。ずっと前から好き。ニセコイするって聞いた時、正直チャンスだと思ったんだ……。でも、水無瀬さんとニセコイになっちゃって、焦ったよ……本当は。 でも、焦っているのに、焦ってないフリして余裕かましてたら、何か胸騒ぎがして……。で、慌てた結果……こんな感じに家に連れ込んで、私何やってんだろ……。」
雪菜はお風呂から出てくると、髪の毛を乾かし終えて、リビングにやってくる。
俺と少し離れた場所に静かに座ると、ゆっくりと申し訳無さそうにそう語った。
「まぁ、俺もさ……なんかどっちつかずな感じになっちゃって、雪菜や水無瀬に申し訳無いと思ってる……。だから、もっとハッキリしないとって思う。 やっぱりもう少しだけ、俺に時間をくれないか?水無瀬と雪菜の事、ニセコイの事……しっかりしたいんだ。」
俺の言葉に、雪菜は静かにコクリと頷いた。
「その方がいいよね……。やっぱり私、ちょっと慌てちゃってたかな……。 ごめんね、私一人で浮足立っちゃって……。」
「そんな、俺こそ……色々ごめんな。」
ーーーーーー翌日。
俺はそのまま何かする訳でもなく雪菜の家で一晩過ごし、夜を明かした。
「おっはよ、李玖!」
寝室から出てきた雪菜は、いつものように元気にリビングに顔を出す。 俺は他の部屋で寝る訳にもいかず、リビングのソファーで寝ていた。
「んぁ、おはよ〜……。」
俺はゴロンっと起き上がる。改めて雪菜の家にいるという事を再認識した。
「あ、あのさ、昨日の事は……その気にしなくていいからね!」
どの事を言っているのか分からなかったが、取り敢えず頷く。
「その、李玖……。もしよかったら何だけど、今日どこかに出掛けない……?」
昨日の事を気にしているのか、俺と目がバチッと合った瞬間に、ササッと目を逸らしてしまう。
ーーーーそういえば、俺って昨日雪菜から告白されたんだっけ……。
そう考えた瞬間、俺の顔がボンッと熱くなり、赤くなっているのが分かる。
「じゃ、じゃあ……水族館……とか、どうかな……。」
あぁ、ぎこちない上に、なんてとこチョイスしてんだ、俺は! 水族館なんてカップルが行くような場所じゃないか!




