高崎雪菜。
「少し散らかってるけど、どうぞどうぞー!入ってー!」
俺はあれから特に行くアテもないので、雪菜の家にお邪魔する事にした。 雪菜の言う通り、お世辞にも綺麗とは言えない位に家は散らかっていた。
「親はどうしてんの、仕事?」
俺の何気ない一言に、雪菜は暫くの間俯いていたが、やがてゆっくりと首を横に振る。
「実は……私の家も父子家庭なんだ。父親は仕事柄、家を空けがちで、一年を通してみても、私一人の時の方が多いかな……。」
「そうなんだ……ごめん……。」
「謝らなくていいよ。だからね、私も何か李玖の気持ち、何となくだけど分かるんだ。」
ーーーー俺は雪菜に案内され、リビングに入る。ここは他の部屋とは違い、意外と片付いている。
「あ、李玖はそこのソファーにでも、腰掛けてて!」
そう言って雪菜はパタパタとスリッパを鳴らし、キッチンに向かう。
「なぁ、雪菜の親父さんてどれくらい家にいないの?」
素朴な質問だったが、普通に考えて大事な娘を一人残して出張って……確かに仕事は大事だけど……。
ーーーー俺みたいにECサイトの運営ならパソコンあれば何とかなるけど……。
「さっきも言った様に、ほとんどいない。一年の間で一月分くらいかな……。」
そうか……じゃあ、殆ど一人で暮らしている事になるのか……大変だな……。
「家の中、片付けるよ。」
「そ、そんな!悪いよ!」
雪菜はアワアワしながら断ってくるが、こんなに散らかってるんだ。勉強も、家事も全て自分一人でこなさなきゃいけないなんて……大変過ぎだろ。
「いいから、いいから!困った時はお互い様なんだから!」
そう言って俺は、手早く近くにあるゴミを片付けていく。
「うぅ……恥ずかし過ぎるよぅ……!」
「あ、ゴメン……デリカシー無さ過ぎた……。」
「うぅん、大丈夫……。助かるよ、ありがとう、李玖!」
雪菜は笑顔を取り戻し、料理を作っている。強いな、雪菜は……。
ーーーーーー。
「こっちは大体片付いたぞ。次は洗濯物してきてもいいか?」
本来なら洗濯物をしている内に片付けをするのだが、部屋の中がとっ散らかり過ぎで、そっちを優先するしかなかったのだ。
「あ、お願い出来るかな……。」
「わかった。」
うーーん。まだ何かよそよそしいんだよなぁ……。まぁ、自分の家をガサガサイジられるのも確かに良い気分ではないよな……。
そして俺は、洗濯物を洗いに行った事を早々に後悔する事になるのだった。
「洗濯物が沢山あるのは予想してはいたけど、そういえば……ここで生活しているのはほぼほぼ雪菜だけだったの、思い出した。」
そう、俺の目の前には洗濯物が山積みになっているのだが、ほぼ女物のようふくばかりで、しかもそこには勿論下着もある訳で……。
ーーーー水色にピンク色、紫に赤色……。
スケスケや派手めな物……とにかく目の毒でしかない……!雪菜、普段からこんなの着用してんのかよ!
「李玖、やっぱり駄目ーー!!洗濯は無しな…………し………。」
急にバタバタと走ってきて止めに入ってくる雪菜と、水色の下着を持っている俺との目がバチッと合う。
ーーーー。
「李……玖……それ、わ、私のパ、パン……。」
「ま、待てよ!?俺は純粋に洗濯を!確かに派手な下着だなとは思ってたけど!!」
「いやーーー!!」
ーーーーーーバチーンッ!!
とはならなかった。下着を見ている俺と目がバチッと合って……。
「ほ、ほ、欲しいなら………ど、どどどうぞ!? も、勿論洗ってからだからね!!」
ーーーーーーーーん?




