疑念。
「コレ、なぁんだ?」
数通の封筒を片手に、不敵な笑みを浮かべている姉は、ヒラヒラと封筒を見せてくる。
「何これ……DNA……鑑定……?」
俺は姉から手渡された封筒を裏表確認する。それぞれの封筒は既に開けられているため、姉は確認済みなのだろう。
「噂には聞いた事あるけど、実在したのか……。」
俺は既に開けられた封筒から用紙を取り出すと、ゆっくりと目を通した。
「待て、待て待て待て待て…………!? な、何だよコレ!?」
俺は通知書を全て見て驚愕する。そこには俺と花凛、俺と柚葉姉さんの名前があり、DNA鑑定の結果……。
「俺と花凛、俺と姉さんは血が繋がってない、のか……?」
そう、俺と花凛のDNA鑑定の結果、血が繋がっている確率は0%。姉も同様だった。
「因みに私と花凛ちゃんは、姉妹だったわ。」
つまり、俺は……家族じゃ……ない? いや、そんなバカな……俺達は小さな頃から一緒だったはず……。 親父も母さんも何も言ってなかったじゃないか……。
「……姉さん、どういうつもりだよ、こんな事して……。 俺を仲間外れにして、家から追い出そうってのか!?」
俺は怒りのあまり、姉を跳ね除ける。こんな事して……俺を……。
「李玖ちゃん、違うの!」
「違う!?何が違うって言うんだよ!? 第一、なんで今更DNA鑑定なんてしてるんだよ!!」
俺はDNA鑑定の通知書を机に叩き付けた。すると、その騒ぎを聞きつけてか、花凛が慌てた様子で階段を駆け下りてくる。
「ど、どうしたんですか、兄さん! 兄さんと柚葉お姉ちゃんが喧嘩するなんて……何があったんですか!?」
「コレでも見てろよ。俺は出掛けてくる。胸クソ悪い……!」
完全に頭に血が上っていたんだと思う。俺は手早く着替えを済まし、スマホと財布を持って家から飛び出した。
ーーーークソッ!何だってんだよ! 俺はあの家族の人間じゃない……? なら、俺は一体誰なんだよ!
どれだけ時間が過ぎただろうか。行くアテもなく只々ひたすら歩いて、公園を見つけてはベンチに腰掛けて、一人物思いに耽って、また歩いて……。
「実にくだらない休日だ。今日も学校だったら良かったのに……。腹減ったな……。」
スマホで時間を確認すると、ちょうど昼時。 花凛と柚葉からの鬼電があったみたいだが、無視を貫いた。
「コンビニでも行くか……。」
俺はベンチから重い腰を上げると、一番近くのコンビニに足を進めた。
「…………李玖?」
不意に後ろから誰かに声を掛けられた。振り向くとそこには、雪菜が立っていた。休みの日でもギャルな彼女は、白色の肩出しのトップスに、黒のミニスカート、赤のハイヒールを履き、バケットハットを被っていた。
「雪菜……。相変わらず可愛いカッコしてんな……。」
「ふぇ!?あ、ありがとう!てか、どうかした?元気なさげだけど…………良かったら話聞くよ? 暇でブラブラしてただけだし……。」
雪菜は本当に細かい所に気が付くんだよなぁ……。
俺は、今までの事を話した。こんな事まで話していいもんか悩んだけど、溜め込んでても何もいい気はしなかった。
「なるほどね。確かにお姉さんと李玖、花凛ちゃんと李玖。丸っきし似てないもんね。」
「結構バッサリ言うのな、雪菜って……。」
「ごめん……。でも、受け入れられないよね、いきなり過ぎて……。」
雪菜の言う通りだった。今まで家族として暮らしてきて、ある日いきなり家族では無かった事が判明……。 いやいや、受け入れられる訳がない。
「はぁ…………。今更あの家に帰るのもなぁ……。」
俺は正直、どんな顔をして家に帰ればいいのか分からないでいた。そんな俺の心中を察してか、雪菜はとんでもない事を言い放った。
「じゃあ、家に……………来る?」




