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俺の姉妹が鬼デレ過ぎていつまでも彼女が出来ない件。  作者: かむげん


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李玖。

「李玖君、好き……大好き!」

 思い掛けない告白に正直、俺は戸惑ってしまった。

 あの学校一の美少女、『水無瀬歩乃華』が俺の事が好き……?さっき金持ち君を助けたから、その反動で好きだと錯覚しているだけなんじゃないのか……?


「ちょ、ちょちょ、ちょい待ち、ちょい待ち!?」

 そんな俺と水無瀬の間に、雪菜が慌てた様子で割って入ってくる。

「何でドサクサに紛れて告白してんの、水無瀬さん!?」

 何をそんなにアワアワしてんのか分からないけど、雪菜が物凄い勢いで俺と水無瀬を引き剥がそうとしてくる。


「もしかして、今朝の私との出来事、もう忘れたの……?さっき話したばかりで?」

 ま、まさか……言わないよな……? 俺は必死で雪菜にアイコンタクトを送る。言うな、言うなよ!と。


「私さっきも言ったけど、李玖と本当にキスしたから!」


改めて言いやがったーーーーーーーー!!


 雪菜はバッと振り向いたかと思うと、次の瞬間、水無瀬に向かってハッキリとキスの件を暴露していた。

 俺の全身からサーッと血の気が引いていくのが分かる。そして、この状況が最悪だという事も分かる。


「り、李玖君……さっきのキスの話は、本当なの…………?」

 やっぱり聞いてたのか、さっきの話! やっぱり信じられない、といった表情で俺の顔を覗き込んでくる水無瀬。その瞳にはうっすらと涙を浮かべていた。


「だーかーら、近いんだってば! とにかく、偽物の関係もこれでおしまい。だからもう、李玖を自由にしてあげて。 元々は明智達から李玖を遠ざける為にやってたみたいだけど、李玖が力を見せる事になっちゃったから、意味無くなっちゃったしね。」

 雪菜はこの際とばかりに色々と思いをぶちまけている。確かに、雪菜の言う通り、俺が彼氏でいる必要はもう無いけど……。


「わ、私は……李玖君に聞いているんです! 雪菜さんとキスしたのは本当なんですか……?」

 

「キスしたのは…………間違い、無い……。」

 俺は必死で絞り出した声で、水無瀬に白状した。した事を無かった事には出来ない。


「そ、そう……ですか……。」

 それだけ言うと、水無瀬はヘナヘナと腰が抜けた様に椅子に座り込んで俯いてしまった。 スカートにポツリポツリと涙が落ちている。何て事をしたんだ……俺は……。


ーーーーそれからは殆ど覚えていない。


 半ば抜け殻状態で授業を受けていた気がするし、昼飯も屋上で一人寂しく食っていた気もする。 何度か徹が話し掛けてきてくれてた気もするけど、ハッキリ覚えてない。

 雪菜からも話し掛けられた気はしたけど、覚えてないから、恐らくは左から右へと話が抜けていったんだろう。


ーーーー水無瀬は、授業中は話を聞いてる感じで、休み時間はずっと机に突っ伏してた。


 気が付けば、下校時間。そして、明後日からは夏休み。毎年、夏休みはずっと楽しみにしていたのに、今は何もウキウキしない。

 そういえば、今日は帰りに図書委員の当番があるんだけど、水無瀬も当番で来るだろうから、気まずいし会いたくないな……。


ーーーーズル休みするか。


 俺はそーっと、他の図書委員に見つからない様に、隠れながら下駄箱に向かう。

「よし、さっさと帰ろう!」

 俺がダッシュで下駄箱目掛けて走り出した瞬間だった。


「り、李玖君!待ってーーーー!!」

 俺の後ろから聞こえてきたその声は、水無瀬だった。 どんな理由であれ、まさか水無瀬から俺に声を掛けてきてくれるとは思わなかった。


「な、何…………?」

 ぎこちなく振り返る俺に対し、水無瀬はグッと拳を握り、一点に俺を見つめていた。 夕日が水無瀬の顔をオレンジ色に染め上げる。 


「逃げるの…………?」

 俺は水無瀬のその一言に、心臓を一突きされた。


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