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俺の姉妹が鬼デレ過ぎていつまでも彼女が出来ない件。  作者: かむげん


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103/107

追跡。

「李玖君、私はもうこれ以上、李玖君に迷惑を掛けられない……。 ごめんなさい、ごめんなさい!」

 水無瀬は号泣しながら俺に何度も何度も頭を下げてくる。彼女と気まずい空気のまま、時間だけが過ぎてゆく。

 その時、そんな気まずい空気を切り裂くように、俺のスマホのバイブがテーブルの上で激しく振動する。


『もしもし、兄さんですか!? 姉さんから「李玖ちゃんは旅行に出掛けるから」と聞いていましたが、何で九州の小倉にいるんですか!? 今そちらに向かっています!待っててください!』

 電話の主は花凛だった。花凛は多分俺のスマホのGPS機能を探って来たのだろうが、普通に怖い。


「なんでお前は俺の位置を知ってるんだ!」

『兄さんのスマホのGPS機能を利用したに決まってます!当然の事をわざわざ聞かないで下さい!』

 そんな事だろうとは思っていたが、やはり花凛は俺のスマホのGPS機能を利用していたのか。というか、何で当然だと思っているのだろうか、この妹は。


『今、女と一緒にいますね!?』

 俺はスピーカーホンにしていたのだが、その間、水無瀬は勿論何も話していない。

 ギョッと目を丸くする俺と水無瀬だが、花凛は更に衝撃的な言葉を放つ。


『相手は水無瀬さんですね。』

 花凛のその言葉に、俺も水無瀬も驚愕のあまり、絶句してしまった。


『否定してこないという事は、肯定ととらせていただきます。』

 相変わらず水無瀬の事となると容赦しないな……花凛は。妹の直感なのか、女の直感なのか……。

「そうだよ、色々あってな。しばらくの間、現実逃避をしたくなったんだよ。」


『現実逃避って……兄さんには私がいるじゃないですか!? 私と付き合って、私と結婚して下されば、後は私が働きに出ますし、家事もこなします!』

 めちゃくちゃな言い分だな……。しかし、それだけ妹に慕われているという事だな。

 高校生ともなれば、普通なら『寄るな、触れるな、喋りかけるな!』ってなるところだしな……。

 そう考えれば実妹でもなく、義妹なのに慕ってくれるのはありがたい事なんだな。


ーーーーだが、俺は無言で通話を終了した。


 なに、理由は簡単。単にこれ以上、埒が明かないからだ。 勘の鋭い妹の事だ、すぐにこの旅館も突き止められる。そうなれば、どちらにせよ、さっき話していたような会話をまたする事になる。


「俺はこのまましばらくここにいるつもりだけど、水無瀬はどうしたい?」

 衝撃的な行動から今回の様な旅行は始まった。冷静になって考えてみれば、今回の旅行がどれだけお粗末な計画だったか分かるはずだ。

 でも、それでも俺は今のぐしゃぐしゃした気持ちから、少しでも逃れたかった。

 もうあと数日もしたら出校日もある。嫌でも帰らなきゃいけないなら、せめて今だけでも現実から逃げ出して、全てを忘れたかったのだ。


ーーーーブーッ、ブーッ!


 再度スマホのバイブが激しく震え出す。どうせまた花凛だろうと思い、スマホの画面を覗き込むと、そこには雪菜の名前が表示されていた。


ーーーー時間は夜中の1時を軽く超えていた。

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