誤解。
俺が支配人に通された部屋は本当に綺麗で、何よりものすごく広かった。
俺一人では十分に持て余してしまう。二人だったら、楽しく過ごせただろうに……。
ーーーーそういえば、水無瀬は何故こんな事をした……?
さっきは怒りの余り、我を忘れていたけど……水無瀬はこんな事をする奴だったか?
そもそもこんな事をして、水無瀬に何の利益がある? しかも、新神戸駅で降りて、それからどうするつもりだったんだ?
いや、待てよ……? 新神戸駅……神戸……。おいおいおいおい、嘘であってくれよ!?
俺はすぐさま仕事用に持ち出していたノートパソコンを接続する。とある場所を検索すると、その会社はすぐに出てきた。
「…………金持の奴、ハメやがったな!」
スマホを取り出し、すぐに「金持建設」に電話を掛けると、受付に俺の名前を出し、社長と代わらせた。
『城ヶ崎さん、ご無沙汰しております!本日はどのようなご要件で?』
何も知らされていないのだろう、社長である父親は仕事の件だと勘違いしているようだ。
「金持時生君の携帯番号を教えていただきたい。」
『と、時生の奴が何か御無礼を!?』
「いえ、それを確認する為に携帯番号が必要なんです。」
『わ、分かりました!えぇと………!』
アタフタしながらも社長は息子の携帯番号を俺に教えてくれた。息子はあんなだが、父親は真面目を絵に描いた様な方なのだ。
ーーーーさてと、ここからが本番だな。電話を掛けたところで、知らぬ存ぜぬを突き通されたらお終いだ。
ーーーープルルル、プルル……。
『誰だ、アンタ。』
開口一番これかよ……お父さんは真面目なのに、なんでこうなるかな……。まぁいい、取り敢えず聞いてみるか。
「城ヶ崎李玖だよ。君の父親から電話番号を聞いてね。」
『じ、じ、城ヶ崎……!? な、何でこんなに早く!?』
あ〜〜。これは……クロですね……。仕方が無い、核心を突いた話でもしてやるか。
「今日、俺と旅行に行くはずだった女の子が、予定していない駅で降りてしまった。だから、知り合いの君なら行き先を知っているんじゃないかと思って、お父さんに連絡して君の電話に掛けたんだ。」
『残念だったな、城ヶ崎!水無瀬さんは俺がいただく!彼女の父親は、俺の父さんの下請けで働いているんだ! 父親の事で脅してやったら、俺の彼女になるんだとさ! 今は実家に帰省してるから、神戸だぜ!? 貧乏人のお前には来られないだろ!?』
コイツ、本当に馬鹿なんだな。次から次へとベラベラ喋りやがって……まぁ、おかげで知りたい事大体知れたわ。
「そうか。色々と喋ってくれてありがとう。これでお前は終わりだ。」
『何言ってやがる!水無瀬さんから彼女になるって言ったんだ! お前の方が終わりなんだよ!』
「誰が水無瀬の事だと言ったんだ?」




