塔を砕く魔王と、輪を繋ぐ龍。

地水火風と氣。五元素が全てを成すことが理とされる、三つの大陸を擁する世界。他二つを西と南に見るジン大陸は、五つの国が栄える。その一つアマツ国。南部に広がるシヨウ山地は、大陸の中央に位置し、ジン大陸に恵みをもたらすとされる四大大河の源流全てを抱えていた。
シメグリの一族はその四つの源流を祈りながら巡り歩く部族であった。ゴウもその幼馴染のヒナノも一族の子であった。
ある日、一族を隣国のテイワ五大将軍が一人タジカとその兵が襲う。その目的はシメグリの一族が知るという、堕天者を産み出す秘術にあった。堕天者とは常人を越える身体の力と、森羅万象の一つを自在に操る天意と呼ばれる力を持つ。堕天者であるタジカは、ゴウを見てその秘術がそこにあると確信する。彼もまた堕天者であった。
しかし、タジカの目的は一変する。それは、一族が雇った用心棒にあった。牛の獣人牛頭法士と、火狂いの女魔術士ユリであった。
牛頭法士は過去、テイワにおいて強者として知られていた。闘うことを喜びとするタジカは、牛頭と闘い、更にその前座として力に目覚め始めたゴウを試す為、ある画策をする。
術中にはまり、二人の用心棒を遠ざけられた一族を、再びタジカが襲う。ゴウは、一族の長クレハとマサクニと共にタジカへ挑む。
一方、ユリは独りテイワの兵へ臨み、牛頭法士は暗い洞穴で嘗ての殺戮の力を取り戻す為、闇に染まる様な瞑想を続けていた。
果たして、ゴウは、シメグリの一族は、タジカを退け生き残ることが出来るのだろうか？