鏡の盾
「こんにちは」
「いらっしゃい」
「あら、盾の手入れをしているの?」
「うむ。最近、ダンジョンでメデューサと遭遇して石に変えられてしまった冒険者グループの話を聞かなかったか?」
「ああ、噂になってたわね。幸い、全員助け出されて石化も治してもらったみたいだけど、肝心のメデューサは行方知らずらしいわ」
「そこでメデューサへの対策アイテムをいくつかピックアップして並べておこうと思ってな。そのひとつがこの鏡の盾だ」
「盾に鏡と言われたら以前のバックラーを思い出すんだけど、さすがに今回はちゃんと表面が鏡で出来た盾なのね」
「お前は対策しなくて大丈夫なのか? 対策アイテムはセール期間中、少し値下げする予定だし、これを機にどうだ?」
「メデューサくらいなら、睨みつけながら突進すればそのまま倒せるわよ。大抵はあっちが先に目を逸らすから、勢いのまま、えいやっとね」
「お、おう……そうか……相変わらず豪胆だな……」
「私、メデューサとのガンのつけあいなら負けたことないのよね。というわけで、今日は何も買わずに帰るとするわ」
「むしろ鏡の盾が必要なのはメデューサのほうかもしれんな……メデューサですら目を逸らす形相……直視するのも恐ろしい……」
「……? よく聞こえなかったけど、何か言った?」
「い、いや! 別に何も言ってないぞ!?」
「ふーん。まあいいわ、それじゃあまたね」




