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パルチザンその2
「こんにちは」
「いらっしゃい」
「今日は槍のパルチザンを探してるんだけど、置いてある?」
「ほう、それは良いところに来てくれた」
「……この前みたいなチーズネタをする気じゃないでしょうね?」
「あの時はそれを披露する前にお前に潰されてしまったが……安心しろ。今回は歴とした槍だ。俺が作ったものではないが、とっておきの業物を仕入れることが出来てな」
「へえ、それは楽しみね。見せてもらえる?」
「取ってくるから待っていろ……ほら、これだ」
「あら、これは確かにあなたが言う通りの業物だわ。さすがに目利きは一流ね……飾り気がないのがちょっと寂しい気がするけど」
「うむ。人を感動させるような芸術的要素はほとんどないが、職人としての技術が込められた高品質な一品だからな」
「それパルチザンじゃなくてアルチザンじゃないの!!」
「買わないのか? さっき言った通り、上質な槍であることは間違いないぞ」
「……いつもの癖で突っ込んだだけよ。冒険者として持ち歩く分には、この槍にまったく不満はないわ。ぜひとも買わせてちょうだい」




