ショーテルと盾
「あら? どうしたの? お店の前に突っ立って。届け物でも待ってるの?」
「おや、いらっしゃい……と言いたいところだが、今はちょっと営業が出来ない状態でな……」
「そうなの? やっぱり届け物待ちだったりする? でもそれなら中で待てば良いのに」
「……店の中を見てくれ。そうすれば俺がこうしている理由がお前にも分かる」
「……? じゃあ見てみるけど……って、何これ!?」
「驚いたか?」
「そりゃあ驚くわよ! 店の中が剣と盾で埋まってたら! 足の踏み場も無いじゃないの!!」
「俺がこうして店の前に立っている理由がよく分かっただろう?」
「確かにそれは分かったけど、どうしてこうなったのかが全く分からないんだけど!?」
「無数に散らばっている剣をよく見ろ。あることに気付くはずだ」
「剣? ……あら? ここにある剣って、ひょっとして全部ショーテルなの?」
「うむ。盾に防がれないショーテルを作り、そんなショーテルを防げる盾を作り、そんな盾に防がれないショーテルを、そんなショーテルを防げる盾を……といった行為を繰り返していたらどちらも際限なく増えていってな。こうして店が埋まる事態になってしまったというわけだ」
「矛盾のような言葉が新たに生まれてしまいそうな出来事ね……」




