ドラゴンのうろこ
「この前、あるツテを頼ってドラゴンの血を手に入れたことを覚えているか?」
「ああ……あの無敵の鎧が生まれそうになった時の話ね……さすがに忘れようがないわ……」
「高い買い物をしたことへのサービスなのか、その時にドラゴンの鱗を一枚オマケでもらっていてな。その鱗を加工してアクセサリーにしてみたんだ」
「あら、それは興味あるわ。見せて見せて」
「ほら、これだ」
「うわあ、さすがに元々ドラゴンの鱗だけあってかなり硬質ね。それをここまで綺麗に磨き上げるなんて、あなたの加工技術、大したものだわ」
「ありがとう。ちなみに今は文鎮代わりに使っている」
「なんてもったいない使い方をしてるのよ!」
「いや、重しとしてちょうど良くてな……だが、俺も最近もったいない使い方のように思えてきた。これを買う気はないか?」
「うーん……たしかに気になるけど、そもそも何の役に立つのよ? さすがに文鎮として使う気はないわよ?」
「ドラゴンの鱗の加工品を持ち歩いている者は滅多にいない。話題性抜群だと思わないか? しかもお前が先ほど褒めてくれたように、アクセサリーとしての出来栄えもかなりのものだ」
「う……た、たしかに……」
「それにお守り代わりに身に着けておくことで、流れ矢などを防いでくれるかもしれんぞ? なにしろ元はあの巨大なドラゴンの一部だったものなのだ。それくらいの恩恵があっても不思議ではない」
「くっ……そう言われるとだんだん欲しくなってきたわ……アイテム屋の主人をやっているだけあって商売上手ね……買うわ」




