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悪魔の斧
「決して使ってはならない斧を見たくはないか?」
「な、なにそれ……? 呪いのアイテムのような危ない感じの斧なの?」
「うむ。昔、ある山に登った時に手に入れた一品でな。これを使う者にはいつか必ず不幸をもたらすと言われている。持ち主の血肉を喰らうともな。その名も悪魔の斧だ」
「……! 言い伝えも名前も恐ろしいわね……でもなんだか、だんだん興味が湧いてきたわ……」
「ほう……いい傾向だ……お前も悪魔の斧に魅入られたのかもしれんな」
「へ、変なこと言わないでよ……ただの怖いもの見たさよ」
「いいだろう。ならば、お前にも見せてやろう。ちょっと待っていろ……」
「しょ、しょせんはただの武器よ……大したことはないはずだわ……」
「……待たせたな。これが悪魔の斧だ」
「こ、これが……! たしかにいわく付きなのも頷ける、重厚で物々しい斧ね……ところで、なんでいたるところに熊の彫り物や装飾がされてるの?」
「……分からないのか?」
「……? 何が?」
「あ、クマの斧……と言ってほしかっただけなんだ……」
「……! そのネタ、もう分からない人の方が多いと思うわよ……」




